「宗教イベント」運営で過労自死、30代男性の労災認定 「絶望するには十分な状況でした」

東京都内のイベント会社につとめていた男性社員(当時38)が自死したのは、過労による精神障害が原因だとして、渋谷労働基準監督署が8月までに労災認定したことがわかった。遺族の代理人らが8月25日、記者会見を開いて明らかにした。
亡くなった男性は、2019年に和歌山で開催された宗教イベントの運営にあたり、時間外労働が前月より70時間も急増する環境の変化があったという。
遺族側の説明によると、男性は2019年2月から正社員としてイベント会社で働き、集客や現場運営などの業務を担当してきた。
2020年1月6日、宿泊中のホテル内で自死をはかったが、病院に搬送されて一命を取り留めた。精神科も受診したが、同30日に自死した。
そうした事態の前に何があったのか。
労基署は、複数の連続勤務など、心理的強度の負荷を「中」とする3つの出来事があったとし、総合評価を「強」とする業務上の精神障害「気分(感情)障害」を発症したと認定した。
最も重い負担となったとみられるのが、2019年10月に開催された宗教イベントの業務だ。
男性は実行委員メンバー(事務局のトップ)として、準備に向けた作業をする中で、1カ月あたりの時間外労働時間はおおむね45時間以上となっている(発病前4カ月から発病前3カ月にかけて)。
特に9月上旬から10月上旬にかけての時間外労働時間は85時間を超えており、前月分から約70時間もの急激な仕事量の増加があった。
また、このイベントが大幅な赤字となったことで、終了後も赤字解消のための対応にあたっていたという。
さらに、このイベントなど、3つのプロジェクトにかかわり、10日以上の連続勤務も3度繰り返していた(7月21日~8月2日、8月5日~8月16日、10月14日~10月24日)。
この宗教イベントは、和歌山県の高野山で実施されたもの。遺族側代理人らによると、男性は9月4日にLINEで「今月来月休み無し」などと送信していたことが確認されている。
また、同イベントで一緒にプロジェクトを組んでいた同業者からは「本番中は数十分の仮眠しかとれなかった」などの証言があるという。
なお、男性は2019年11月末に退職しているが、退職後の12月中も在職中の後始末のため、会社からの呼び出しに対応していたという。結局、2020年1月末に「なんとかリカバリしようと思ってやって来ましたが、絶望するには十分な状況でした」と書かれた遺書を残して、この世を去った。遺族は同年11月2日、遺族補償給付を渋谷労基署に申し立て、今年5月以降、支給決定された。●代理人側の計算では「1か月の総労働時間400時間超」男性の勤務はコアタイムが決められたフレックスであり、始業・休憩・終業は自己申告で、会社が管理していなかった。労基署は会社から提出された勤務報告書にもとづき労災と認定した。しかし、代理人をつとめた白神優理子弁護士らによると、遺族側調査では、LINEやフェイスブックのメッセンジャーの内容から、さらに多い労働時間が算出されたという。たとえば、宗教イベント本番および直前1カ月で、総労働時間は400時間を超えていたという。労災認定を受けて、男性が働いていた会社にコメントをもとめている。回答があれば、追記する。
なお、男性は2019年11月末に退職しているが、退職後の12月中も在職中の後始末のため、会社からの呼び出しに対応していたという。
結局、2020年1月末に「なんとかリカバリしようと思ってやって来ましたが、絶望するには十分な状況でした」と書かれた遺書を残して、この世を去った。
遺族は同年11月2日、遺族補償給付を渋谷労基署に申し立て、今年5月以降、支給決定された。
男性の勤務はコアタイムが決められたフレックスであり、始業・休憩・終業は自己申告で、会社が管理していなかった。
労基署は会社から提出された勤務報告書にもとづき労災と認定した。しかし、代理人をつとめた白神優理子弁護士らによると、遺族側調査では、LINEやフェイスブックのメッセンジャーの内容から、さらに多い労働時間が算出されたという。
たとえば、宗教イベント本番および直前1カ月で、総労働時間は400時間を超えていたという。
労災認定を受けて、男性が働いていた会社にコメントをもとめている。回答があれば、追記する。