2022年度から高校1年生が使っている教科書大手「東京書籍」(東京都北区)発行の教科書「新高等地図」に約1200カ所の訂正があったことが同社への取材で判明した。全国で約3万6000冊が出回っており、今年1月から訂正版を配布している。文部科学省の教科書検定に合格した教科書で、再配布が起きるのは異例という。
平和教材「はだしのゲン」掲載終了 「被爆実相伝わりにくい」 東京書籍によると、地名の表記が索引と地図で異なっていたのが約600カ所で最も多く、索引が示す該当ページなどの誤りも約400カ所あった。地図部分で地名を誤って記したり、都市などの位置がずれたりしていたケースが約50カ所あった。カンボジアの首都「プノンペン」の地図上の表記を「ブノンペン」と誤り、「ドレーク海峡」を「マゼラン海峡」と間違えるなどしていた。
この他の訂正は、社会情勢の変化による修正で約150カ所。ロシアによる侵攻でウクライナの首都名の表記をロシア語読みの「キエフ」から、現地語読みの「キーウ」に変えるなどしたケースが該当する。 今回の教科書は、高校で22年度から実施された新学習指導要領に合わせて大規模に改訂したために編集作業が遅れた。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増え、業務を委託している地図専門の編集プロダクションとのコミュニケーションも不足し、校閲作業が不十分になったことが大量訂正の原因という。東京書籍の担当者は、取材に対し「過去の教科書にはないような訂正の数で、非常に申し訳ない」と話している。 文科省の検定には21年3月に合格したが、22年4月に学校教員から指摘があり、大量のミスが発覚した。同社は同年10月に文科省に訂正申請し、教科書を使っている学校に謝罪。約2万5000冊の再配布の要望があったとしている。 教科書検定は、出版社が作成した教科書の内容が教科書として適切かどうかを国がチェックする制度。不適切な部分があれば検定意見を付け、修正などが適切と判断されれば合格する。【深津誠】
東京書籍によると、地名の表記が索引と地図で異なっていたのが約600カ所で最も多く、索引が示す該当ページなどの誤りも約400カ所あった。地図部分で地名を誤って記したり、都市などの位置がずれたりしていたケースが約50カ所あった。カンボジアの首都「プノンペン」の地図上の表記を「ブノンペン」と誤り、「ドレーク海峡」を「マゼラン海峡」と間違えるなどしていた。
この他の訂正は、社会情勢の変化による修正で約150カ所。ロシアによる侵攻でウクライナの首都名の表記をロシア語読みの「キエフ」から、現地語読みの「キーウ」に変えるなどしたケースが該当する。
今回の教科書は、高校で22年度から実施された新学習指導要領に合わせて大規模に改訂したために編集作業が遅れた。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が増え、業務を委託している地図専門の編集プロダクションとのコミュニケーションも不足し、校閲作業が不十分になったことが大量訂正の原因という。東京書籍の担当者は、取材に対し「過去の教科書にはないような訂正の数で、非常に申し訳ない」と話している。
文科省の検定には21年3月に合格したが、22年4月に学校教員から指摘があり、大量のミスが発覚した。同社は同年10月に文科省に訂正申請し、教科書を使っている学校に謝罪。約2万5000冊の再配布の要望があったとしている。
教科書検定は、出版社が作成した教科書の内容が教科書として適切かどうかを国がチェックする制度。不適切な部分があれば検定意見を付け、修正などが適切と判断されれば合格する。【深津誠】