風俗店グループ「ブルー」の実質的経営者、佐藤義徳被告は裏社会で名を馳せた存在だ。グループの売上の一部が指定暴力団「山口組」の中核組織「弘道会」に流れ込んでいたと目され、警察当局から「反社認定」されている。一方で、元プロ野球選手の清原和博、芸能界では山本譲二や吉幾三らとの交遊関係も過去に報じられた。この「名古屋の風俗王」が、実の娘との骨肉の争いを演じている。
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佐藤被告は昨年、詐欺と組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の仮装)の疑いで愛知県警に逮捕され、裁判を控えた身。その佐藤被告によると、海外に保有していた自身の資産をめぐって娘との間に亀裂が生じたという。
「愛知県警の警部に対する脅迫、さらに、別の警部に自動車の所有者情報を漏洩させたという地方公務員法違反などに問われ、名古屋刑務所で5年余りの服役生活を送りました。2019年2月に出所後、オーストラリアに持つ資産を日本に引き揚げることにした。日本での犯罪歴で、オーストラリアへの再入国が困難になったからです」
資産額は、日本円にして12億円ほどだった。
「そのうちの半分の6億円をオーストラリアの“ウエストパック銀行”から三菱UFJ銀行の私名義の口座に移しました。その手続きは何の問題もなかった。ところが、20年の春先、残りの資産の一部を預けていた“ANZ(オーストラリア・ニュージーランド)銀行”が、私の口座の強制解約に踏み切りました。その後、私のもとに解約通知と当時のレートで6000万円相当の小切手が送られてきた。しかし、国内の銀行ではその小切手を換金する手立てがありませんでした」
さらに、ANZ銀行関連の金融機関で運用していた投資信託も満期となり、
「その償還金を預ける銀行も探さなければなりませんでした。オーストラリアの弁護士と契約し、一旦、その弁護士が持つ“オーストラリア・コモンウェルス銀行”の口座に小切手の6000万円と償還金を合わせて3億5000万円を入金することにしました」
弁護士の口座から、ウエストパック銀行のときと同様に三菱UFJ銀行へと振り込む段取りだった。しかし、三菱UFJ銀行は“総合的判断”で受け入れを拒否。知人に相談したところ、佐藤被告の娘名義の口座なら受け取り可能との案が持ち込まれた。
「週刊新潮」2023年2月9日号「MONEY」欄の有料版では、佐藤被告と実娘の間に亀裂が生じた経緯を詳報する。
「週刊新潮」2023年2月9日号 掲載