福岡県で5歳児が餓死した事件で、母親のママ友であり、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた被告の裁判が30日、福岡地裁でありました。2人の共通の知人や幼稚園教諭が証言。衰弱する5歳児を突き放し、幼稚園側の接触を阻む被告の様子が浮かびました。■一家を支配…“ママ友”被告が出廷「ママ、ごめんね」。まだ5歳と幼い子どもが、力の限り伝えた最期の言葉でした。一昨年四月に息を引き取った碇翔士郎くん。亡くなった時の体重は、5歳児の平均の半分ほどの10キロでした。母親の碇利恵被告(40)は、翔士郎くんを餓死させた保護責任者遺棄致死の罪に問われ、懲役5年の実刑判決を言い渡されています(控訴中)。

碇被告一家の生活を支配していたとされ、保護責任者遺棄致死などの罪に問われているママ友の赤堀恵美子被告(49)の裁判が30日、福岡地裁で開かれました。赤堀被告は初公判の29日と同様、髪を1つに束ねていました。裁判長に「体調、変わりはないですか」と聞かれ、「はい」と答えました。■共通のママ友、「下を向くように」30日の午前中、証人としてリモートで出廷したのは、被告2人の共通のママ友です。涙ながらにこう証言しました。「碇さんが赤堀さんと付き合ううちに、いつも下を向くようになった。明るい碇さんがどんどんいなくなった」この女性は赤堀被告から頼まれ、碇被告に3度金を貸したといいます。立ち会った赤堀被告は「貸してもらうなら、ちゃんとせな」と指示し、碇被告は正座をして、頭を下げたということです。■赤堀被告から「ライン消した方が」女性が翔士郎くんに最後に会ったのは、亡くなる9日前。「立ち上がるのもきつそうで…。何かにつかまらないと立てないくらい。やせていて、全く表情がなかった。座るときに腕をつかんだら、洋服と骨だけに感じた」と証言しました。女性が、何か食べたいものはないかと聞くと、翔士郎くんは小さな声で「ホットケーキ、マーボー豆腐」と答えました。その晩、女性はマーボー豆腐を差し入れたといいます。この時赤堀被告は、「翔見てかわいそうとは思うけどね、してやろうという気にはならんもんね」と突き放したといいます。翔士郎くんは「頭が痛い」と訴えたといいますが、赤堀被告は「頭痛いのは目に見えんけん。ウソつく時もあるもんね」と話したといいます。翔士郎くんが亡くなった後は、赤堀被告から碇被告とのラインのやりとりについて「消した方がいい」と言われたといいます。■幼稚園教諭も証言…接触試みるも妨害続いて、翔士郎くんが通っていた幼稚園の教諭が証言しました。亡くなる約7か月前、夏休み明けの翔士郎くんの様子について教諭は「元気がなく、やせたかなと感じていた」と語りました。体重も減っていったといいます。気にかけて一家に接触しようと試みましたが、それを拒もうとする赤堀被告の姿がありました。幼稚園の送り迎えは赤堀被告が行っていたため、母親である碇被告に会うことはできませんでした。後日、家庭訪問に行ったところ、車で帰宅した赤堀被告と碇被告に遭遇しました。赤堀被告は車から降りると「何ですか、押しかけたりして」と話したといいます。教諭が「翔ちゃんがやせて心配なのでお母さんと話したい」と伝えると、赤堀被告に「(碇被告は)体調が悪く3日間病院で点滴している。碇はうつ病なので、今はそっとしておいてほしい」と一方的に言われたといいます。しかし、続いて車から降りた碇被告に、具合が悪そうな様子はなかったといいます。ただ、赤堀被告がそばにいたため、この日は碇被告とほとんど話をすることはできませんでした。翌日、翔士郎くんを幼稚園に送りにきた赤堀被告は「昨日家庭訪問が来たことで碇が過呼吸になった。家庭訪問は困る」と言ったといいます。その後、手紙で接触を試みるも、これも赤堀被告に阻まれたということです。■赤堀被告が持ち出した「ボス」とは「あなたの夫は浮気をしている」などと、ウソで碇被告の一家を支配してきたとされる赤堀被告。そこで持ち出してきたとされるのが、「ボス」と呼ばれる女性の存在です。碇被告の判決文によると、赤堀被告がでっち上げたとされる、暴力団に顔が利くボスの調査により、碇被告の夫の浮気が判明したとされました。ボスが慰謝料請求の離婚裁判を起こしてくれる、裁判費用などを立て替えてくれたボスに金を返さなければならない、食事制限など質素な母子の生活を裁判所に見せるため、ボスが家に監視カメラをつけた。こうウソを重ね、金銭や食事の面で支配したとされています。碇被告の判決文によると、弱った翔士郎くんを病院に連れて行かなかった理由について、赤堀被告は「警察や病院に行くとボスに迷惑がかかる」と述べていました。検察側は「『ボスが管理する監視カメラに、翔士郎くんが隠れて食事する様子が映っていた』と言って赤堀被告が食事を抜きにした」と主張しています。■赤堀被告の弁護側は「ボス」で反論ボスの存在について碇被告は今年6月の裁判で、「赤堀を信じ、ボスを恐れ、翔士郎を守ってあげられなかった」と悔やんでいました。一方、8月29日の初公判で赤堀被告の弁護側は「ボスを言い出したのは碇被告の方だ」と主張しました。「ボスは碇被告が相談をしている人物のこと」であり、赤堀被告は「眉唾物の話に付き合うのは楽しいものではなかったが、久しぶりにできた友達をなくしたくないので(碇被告に)付き合っていた」と反論しています。勝手にボスと呼ばれた女性は、実在するママ友の1人でした。検察側が読み上げた供述調書によると、この女性は碇被告とほとんど面識はなく、「慰謝料を求める裁判などは一切知らない。赤堀被告からも碇被告からも1円も受け取ったことはない。一切関わりはない」などと、事件との関わりを否定しているということです。被告2人の証言が食い違います。31日、碇被告が検察側の証人として出廷します。(8月30日『news zero』より)
福岡県で5歳児が餓死した事件で、母親のママ友であり、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた被告の裁判が30日、福岡地裁でありました。2人の共通の知人や幼稚園教諭が証言。衰弱する5歳児を突き放し、幼稚園側の接触を阻む被告の様子が浮かびました。
「ママ、ごめんね」。まだ5歳と幼い子どもが、力の限り伝えた最期の言葉でした。
一昨年四月に息を引き取った碇翔士郎くん。亡くなった時の体重は、5歳児の平均の半分ほどの10キロでした。母親の碇利恵被告(40)は、翔士郎くんを餓死させた保護責任者遺棄致死の罪に問われ、懲役5年の実刑判決を言い渡されています(控訴中)。
碇被告一家の生活を支配していたとされ、保護責任者遺棄致死などの罪に問われているママ友の赤堀恵美子被告(49)の裁判が30日、福岡地裁で開かれました。赤堀被告は初公判の29日と同様、髪を1つに束ねていました。
裁判長に「体調、変わりはないですか」と聞かれ、「はい」と答えました。
30日の午前中、証人としてリモートで出廷したのは、被告2人の共通のママ友です。涙ながらにこう証言しました。
「碇さんが赤堀さんと付き合ううちに、いつも下を向くようになった。明るい碇さんがどんどんいなくなった」
この女性は赤堀被告から頼まれ、碇被告に3度金を貸したといいます。立ち会った赤堀被告は「貸してもらうなら、ちゃんとせな」と指示し、碇被告は正座をして、頭を下げたということです。
女性が翔士郎くんに最後に会ったのは、亡くなる9日前。「立ち上がるのもきつそうで…。何かにつかまらないと立てないくらい。やせていて、全く表情がなかった。座るときに腕をつかんだら、洋服と骨だけに感じた」と証言しました。
女性が、何か食べたいものはないかと聞くと、翔士郎くんは小さな声で「ホットケーキ、マーボー豆腐」と答えました。その晩、女性はマーボー豆腐を差し入れたといいます。
この時赤堀被告は、「翔見てかわいそうとは思うけどね、してやろうという気にはならんもんね」と突き放したといいます。
翔士郎くんは「頭が痛い」と訴えたといいますが、赤堀被告は「頭痛いのは目に見えんけん。ウソつく時もあるもんね」と話したといいます。
翔士郎くんが亡くなった後は、赤堀被告から碇被告とのラインのやりとりについて「消した方がいい」と言われたといいます。
続いて、翔士郎くんが通っていた幼稚園の教諭が証言しました。
亡くなる約7か月前、夏休み明けの翔士郎くんの様子について教諭は「元気がなく、やせたかなと感じていた」と語りました。体重も減っていったといいます。
気にかけて一家に接触しようと試みましたが、それを拒もうとする赤堀被告の姿がありました。
幼稚園の送り迎えは赤堀被告が行っていたため、母親である碇被告に会うことはできませんでした。後日、家庭訪問に行ったところ、車で帰宅した赤堀被告と碇被告に遭遇しました。赤堀被告は車から降りると「何ですか、押しかけたりして」と話したといいます。
教諭が「翔ちゃんがやせて心配なのでお母さんと話したい」と伝えると、赤堀被告に「(碇被告は)体調が悪く3日間病院で点滴している。碇はうつ病なので、今はそっとしておいてほしい」と一方的に言われたといいます。
しかし、続いて車から降りた碇被告に、具合が悪そうな様子はなかったといいます。ただ、赤堀被告がそばにいたため、この日は碇被告とほとんど話をすることはできませんでした。
翌日、翔士郎くんを幼稚園に送りにきた赤堀被告は「昨日家庭訪問が来たことで碇が過呼吸になった。家庭訪問は困る」と言ったといいます。その後、手紙で接触を試みるも、これも赤堀被告に阻まれたということです。
「あなたの夫は浮気をしている」などと、ウソで碇被告の一家を支配してきたとされる赤堀被告。そこで持ち出してきたとされるのが、「ボス」と呼ばれる女性の存在です。
碇被告の判決文によると、赤堀被告がでっち上げたとされる、暴力団に顔が利くボスの調査により、碇被告の夫の浮気が判明したとされました。
ボスが慰謝料請求の離婚裁判を起こしてくれる、裁判費用などを立て替えてくれたボスに金を返さなければならない、食事制限など質素な母子の生活を裁判所に見せるため、ボスが家に監視カメラをつけた。こうウソを重ね、金銭や食事の面で支配したとされています。
碇被告の判決文によると、弱った翔士郎くんを病院に連れて行かなかった理由について、赤堀被告は「警察や病院に行くとボスに迷惑がかかる」と述べていました。
検察側は「『ボスが管理する監視カメラに、翔士郎くんが隠れて食事する様子が映っていた』と言って赤堀被告が食事を抜きにした」と主張しています。
ボスの存在について碇被告は今年6月の裁判で、「赤堀を信じ、ボスを恐れ、翔士郎を守ってあげられなかった」と悔やんでいました。
一方、8月29日の初公判で赤堀被告の弁護側は「ボスを言い出したのは碇被告の方だ」と主張しました。
「ボスは碇被告が相談をしている人物のこと」であり、赤堀被告は「眉唾物の話に付き合うのは楽しいものではなかったが、久しぶりにできた友達をなくしたくないので(碇被告に)付き合っていた」と反論しています。
勝手にボスと呼ばれた女性は、実在するママ友の1人でした。
検察側が読み上げた供述調書によると、この女性は碇被告とほとんど面識はなく、「慰謝料を求める裁判などは一切知らない。赤堀被告からも碇被告からも1円も受け取ったことはない。一切関わりはない」などと、事件との関わりを否定しているということです。
被告2人の証言が食い違います。31日、碇被告が検察側の証人として出廷します。