警察署から出てきた男は、独特の雰囲気を漂わせていた。首や手、顔面にまでびっしりとタトゥーが彫られていたのだ――。
2月16日に警視庁蒲田署に、偽計業務妨害の疑いで逮捕されたのは住所、職業不詳の久永小太郎容疑者(36)だ。久永容疑者は大田区内のビジネスホテルで、非常ベルを複数回鳴らしスタッフの仕事を妨害したとされる。
「久永容疑者は当該ホテルに、22年6月から断続的に80日ほど泊まっていたそうです。そのたびにスタッフへ無謀な要求をし、難癖をつけていたといわれます。事件前にも『自分が買った消臭剤がなくなっている』などと、クレームを入れていたとか。ホテル側も対応に困りはてていたそうです。
事件が起きたのは2月15日夜8時過ぎでした。火が出ていないにもかかわらず、廊下に設置された火災報知器が鳴り始めます。スタッフは久永容疑者がボタンを押したと判断し、ベルを止め110番通報。しかし久永容疑者は4分後に再び非常ベルを鳴らし、別の宿泊客が『火災報知器が鳴っている』と警察に連絡しました。情報が東京消防庁に転送され、救急車やパトカーが駆けつける騒動になったんです」(全国紙社会部記者)
警察の調べに対し、久永容疑者は「宿泊していた部屋からフロントへ何度も電話したが応答がなかった」と説明。「火災報知器を押して非常ベルが鳴れば従業員が来ると思った」「それでも従業員が来なかったので、もう一度押した」などと供述しているという。
「久永容疑者が逮捕されるのは、今回が初めてではありません。16年にも脅迫の疑いで捕まっているんです。
東京都港区内のラーメン店で、料理を注文して間もないにもかかわらず『いつまで待たせるんだ!』『どうなっても知らないぞ!』と店員を怒鳴りつけたとされます。当時、久永容疑者は警察の調べに対し『どの言葉が脅迫になるんだ』と犯行を否認していました」(同前)
不当なクレームで、たびたびトラブルを起こしていた久永容疑者。警察への供述などからは、反省の様子はうかがえない。