「日中も性的なシーンが頭から離れない…」しっかり者の“29歳キャリアウーマン”がハマった「女性のポルノ依存症」の深刻な実態

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「少し見るつもりが、気づけば夜中の2時」「自己嫌悪に苛まれながら次の動画を開いてしまう」――。インターネットでポルノコンテンツを見漁ることを止められない人たちがいる。
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近年では、ストレスを抱えた女性がそうした依存に陥るケースも急増しており、男性とは違う深刻な症状も報告されているという。ここでは、専門家である石川有生氏の著書『脳が壊れるインターネットポルノ依存症』(すばる舎)より、現代の静かなる病の実態を抜粋して紹介する。
◆◆◆
事例 リョウタさん(45歳)
ふと時計を見て呆然としました。気づけば夜の2時だったんです。
仕事が終わって家に帰ってから、軽い気持ちで、スマホでポルノを見始めたときは、すぐ終わらせるつもりでした。でも次から次に新しい動画に手を伸ばしているうちに、時間が飛ぶように過ぎ去っていたんです……。
筆者のもとに相談に来てくれたリョウタさん(仮名)はそう話してくれました。
写真はイメージ AFLO
彼が10代の頃、ポルノに接する手段としては、父親が持っていたアダルトビデオや雑誌をこっそり見ることくらいでした。
手間もかかるし、常に「家族の誰かに見つかるかもしれない」という不安もありました。それに、父親のコレクションにも限りがありました。
ところが、今は違います。
スマホを手に入れてから、リョウタさんのポルノ視聴時間は確実に増えていきました。なにせ、スマホさえあれば、無限に、しかも誰にも知られずにポルノをいつまでも楽しむことができます。
最初は寝る前の数分だったものが、そのうち1時間、2時間と過ぎていくようになりました。彼はポルノを見続けるたびに「自分は時間を無駄にしている……」という自己嫌悪に苛まれながら、つい次の動画に手を伸ばしてしまうのでした。
ひと昔前は成人向け雑誌やアダルトビデオ、アダルトDVDがポルノコンテンツの主役でした。
これらには、「調べる」「店に行く」「買う」「機器を用意する」「再生する」といった、少なくないコストや手間が伴いました。
さらに、消費する場所も主に自宅だったため、家族がいる環境では視聴できる時間や場所が制限され、おまけに「恥ずかしさ」という壁も存在しました。
ポルノはほとんどの場合、一時的なものとして消費され、生活や精神に深刻な悪影響を与えることは少なかったのです。
しかし、スマートフォンが本格的に普及した2010年代以降、状況は一変しました。スマホでインターネットを使えば、膨大な量のポルノコンテンツが簡単に手に入るようになったのです。海外のサーバーに違法にアップロードされたコンテンツについては、無料で視聴している人も少なくありません。
こうして、リョウタさんのように、時間を忘れてポルノを見続けてしまう人が増えているのです。
また、スマホやインターネットサイトには、かつてのDVDにはなかった、数々の機能があります。
新たなコンテンツの存在を教えてくれる「通知機能」、ユーザーの趣味・嗜好に沿ったおすすめを表示してくれる「アルゴリズム」などです。
AIに嗜好を学習され、関連するコンテンツを次々に見せられたリョウタさんは、視聴をやめるタイミングを完全に見失ってしまったのです。
事例 ミサキさん(29歳)
私は、周りから「しっかり者」と言われるようなキャリアウーマンでした。
仕事では誰にも負けない努力をしていましたが、ストレスから思わぬ悩みを抱えることになってしまいました。「ポルノ依存症」です。
最初は帰宅後にスマホでポルノを少し視聴するだけでした。
でも、疲れとストレスでどんどん時間が延びて、単なるストレス解消法とは言えなくなって、日中も頭から離れないようになってしまったんです。
ミサキさん( 仮名)は、ポルノ依存症はあくまで男性が抱えるもの、と思い込んでおり、うまくストレスを解消できていると自らに言い聞かせていました。
しかし、これまで紹介してきた男性と同様、彼女もいつの間にかポルノが日常の一部になり、視聴がやめられなくなっていきました。
一般的には、ポルノ依存症というと男性の問題だと考えられがちです。
実際、ポルノに関するデータは男性に偏っており、ポルノ依存症の研究や議論でも男性のケースが多く取り上げられています。
しかし、近年では私のクライアントもふくめ、女性から相談が増えてきているのです。ミサキさんのケースでは、ストレスの多い仕事を抱える中でポルノ依存症が始まりました。
彼女は、仕事から帰宅するとリラックスするためにポルノを視聴するようになり、次第に時間が増え、視聴するコンテンツも過激になっていきました。
一般的に、男性は視覚的な刺激に反応しやすい傾向があり、ポルノ動画や写真にも視覚的に依存していくことが多いのですが、女性の場合は視覚だけではなく、強い想像力でポルノ依存症に陥っていくようです。
ミサキさんも、最初は受動的に動画を見るだけだったのですが、次第にその映像をもとにした、性的なファンタジーを頭の中で繰り返し再生するようになっていきました。これによって、彼女は仕事中や友人と過ごしている間もそのシーンが頭から離れなくなってしまったのです。

男性同様、女性がポルノ依存症に陥る背景には、さまざまな要因があります。
たとえば、ストレス、孤独感、恋愛や性的な欲求への不満などが挙げられます。
ミサキさんの場合、仕事でのストレスが主な引き金でした。長時間労働や人間関係の摩擦で心が疲れ切っているとき、ポルノを視聴することで一時的な安心感や快楽を得ていました。
これが逃げ場になり、日常生活の中でポルノに依存するようになったのです。
女性のポルノ依存症が進行する理由としては、これも男性同様、スマホの普及が大きな要因となっています。ミサキさんも「スマホを使って手軽にポルノにアクセスできる環境が、依存を助長した」と漏らしていました。
夜寝る前や休憩時間に、シチュエーションを選ばず手軽に視聴できるため、習慣化しやすいのです。
ミサキさんのポルノ依存症は、現実の恋愛や人間関係にも深刻な影響を及ぼしました。
ポルノを通じて感じる性的な快楽やファンタジーに満足しすぎてしまい、実際のパートナーとの関係に不満を感じるようになったのです。現実のパートナーに対する期待が高まりすぎたり、逆に性的な関心が薄れてしまったりすることがあるのも、男性と共通しています。
女性がポルノ依存症に陥ってしまった場合も、適切な支援を受けることが大切ですが、ポルノ依存症自体への社会的な関心すら十分ではないので、女性がこの問題について相談できる環境が整っていないのが実情です。
実際、私も女性からの相談を受けることはありますが、私が男性ということもあって、それがハードルになっているのを感じます。
ミサキさんは、自分の依存行動を見つめ直し、なぜポルノに依存してしまったのかを理解することから始めました。
そしてストレスの管理方法を学び、日常生活におけるリラックス法や健康的な習慣を取り入れることで、少しずつ依存から抜け出すことができたのでした。
〈「うちの子のスマホは制限しているから大丈夫」は甘すぎる…“無限のポルノ”に囲まれた子どもを守るために親ができる“意外な方法”〉へ続く
(石川 有生/Webオリジナル(外部転載))

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