都会の中心で華やかな生活を送る港区女子。しかし、そのキラキラとした世界の裏側には、彼女らを深淵に引きずり込む罠が無数に張り巡らされていた。欲望渦巻く港区に翻弄された女たちの物語に迫る。◆「ドラッグは通過儀礼」。お酒にMDMAを盛られる
港区に通い始めてから、軽いノリで薬物を常用するようになった吉野芽衣さん(仮名・26歳)。薬物に近い成分が入っている電子タバコを吸いながら、彼女はこう語る。
「実は、最初に薬物を摂取した時の記憶はないんです。ある日、パパ活アプリで仮想通貨の投資家と飲みに行ったところ、グラスを口にすると急に時空が歪んだような感覚が襲い、気づいたら男性とタワマンに……。後日、友人に話すと『それ薬盛られたんじゃない?』って。港区界隈ではよくある話らしく、MDMAか何かを飲み物に入れられてたんだと思います」
◆クスリへの抵抗は薄れ、ついに覚醒剤にまで手を出す
薬の正体は今も不明だが、吉野さんはこれを機に薬への抵抗がなくなってしまった。
「港区に染まれば染まるほどドラッグへの抵抗感も薄れてくるんです。一度高級ホテルでの会員制パーティに行ったら、みんな大麻を吸ってて、拒否するのも野暮だなって。みんな、のめり込むというより“嗜む”という感覚。飲み会に行けば反社や半グレらしき人が普通に大麻吸ってたり、クラブではコカイン入りのパケが回ってきたりする」
付き合い感覚で薬物を摂取している吉野さんは、ついに覚醒剤にも手を出した。
「ぶっちゃけ会員制のバーやホテルなどの密室でキメるのでバレないし、バーの個室トイレに何人かで入っていく光景を見ると『ああやってんな』と思いますね」
れっきとした犯罪行為だが、罪の意識がまったくなかった。
◆和彫り男に脅された血だらけのギャラ飲み
桁違いの金持ちがザラにいる港区は、暴力団関係者がまぎれていることは珍しくない。
大学2年生から港区に通う河野美奈さん(仮名・24歳)は、ギャラ飲みで最高で月50万円を稼ぎ、会社員の今も副業で続けている。
「ギャラ飲みアプリで六本木の会員制バーに行くと、いつもと様子が違う。和彫りのイカつい集団で、嫌な予感がしました」
ギャラ飲みアプリは、飲みの場に女性が応募し、ランダムで選ばれた人が会場に行く仕組み。アプリでやりとりした男の情報は確認できても、どんな同席者がいるかまでは、行くまでわからない。
「『13年も臭い飯食っててよ』と語る男がいて、やっぱり反社だと確信しました」
◆「君が2軒目を断るからだよ」舎弟がボコボコに殴られ…
一刻も早く、その場から逃げ出したかったが……。
「ボスっぽい男に気に入られて10万円のチップを渡されたんです。普段は多くても3万円だからラッキーと思って受け取ったら、『2軒目来いよ』って腕を掴まれて。振り払って断ったら、男は不満げに舎弟を店の外に連れ出したんです。数分後、2人が戻ってくると、舎弟がボコボコに殴られて血だらけで、眼鏡まで割られていた。『君が2軒目を断るからだよ』と言われたときは、鳥肌が立ちました」
それでも相も変わらず港区にいるのはなぜなのか。
「反社は、たまに出くわす程度だし、今はすっかり慣れちゃって。やっぱり羽振りのいい人は、反社と関係があるんだなと勉強になりました」
前向きに捉えている場合ではない。
取材・文/週刊SPA!編集部