マンホールの蓋(ふた)が突然、ひとりでに開くことがある。大雨で下水道の水かさが急増し、内部の空気圧や水圧が高まって蓋が吹き飛ばされる現象が起きるためだ。蓋が開いて落とし穴となったマンホールに人が落下し、死亡した例もある。専門家は「溺水トラップ」と呼び、注意を呼び掛けている。
危機一髪 家がミシミシ→1時間後に家崩壊 マンホール蓋製造の業界団体「日本グラウンドマンホール工業会」(東京都)によると、2001~20年度の20年間で、こうした現象が原因とみられるけがや物損事故が全国で100件近くあった。蓋が勢いよく開いた衝撃で飛び散った小石などが建物を傷付けるケースのほか、蓋が外れたマンホールに走行中の車がはまり、運転手がけがをした事例もあったという。
死亡事故も起きている。高知市によると1998年9月、冠水した市内の道路を歩いていた男子高校生がマンホールに落ちて死亡。市内の別の場所でも40代女性が横断歩道を歩いている途中、マンホールに落下して亡くなった。冠水した道路だと蓋が外れているか歩行者が目で確認するのは困難で、マンホールに落ちて溺れる恐れがある。 この死亡事故を受けて、マンホール蓋の交換が各地の自治体で進んでいる。古いタイプの蓋は穴が狭かったり、穴の数が少なかったりしてマンホール内部に空気や水がたまってしまうため、穴を大きくするなどした新型に取り換えているのだ。ただし、同工業会によると、全国で約1600万基あるマンホール蓋のうち、2割にあたる約350万基は旧型のままと推定される。 マンホールの構造に詳しい長岡技術科学大(新潟県長岡市)の斎藤秀俊教授(材料工学)は、ゲリラ豪雨が近年増えているため、旧型の蓋だと飛ぶリスクが高まると指摘。「普段は注意することが少ないマンホールだが、思わぬ『落とし穴』になりかねない」とし、大雨の時は注意するよう呼び掛けている。【平家勇大】
マンホール蓋製造の業界団体「日本グラウンドマンホール工業会」(東京都)によると、2001~20年度の20年間で、こうした現象が原因とみられるけがや物損事故が全国で100件近くあった。蓋が勢いよく開いた衝撃で飛び散った小石などが建物を傷付けるケースのほか、蓋が外れたマンホールに走行中の車がはまり、運転手がけがをした事例もあったという。
死亡事故も起きている。高知市によると1998年9月、冠水した市内の道路を歩いていた男子高校生がマンホールに落ちて死亡。市内の別の場所でも40代女性が横断歩道を歩いている途中、マンホールに落下して亡くなった。冠水した道路だと蓋が外れているか歩行者が目で確認するのは困難で、マンホールに落ちて溺れる恐れがある。
この死亡事故を受けて、マンホール蓋の交換が各地の自治体で進んでいる。古いタイプの蓋は穴が狭かったり、穴の数が少なかったりしてマンホール内部に空気や水がたまってしまうため、穴を大きくするなどした新型に取り換えているのだ。ただし、同工業会によると、全国で約1600万基あるマンホール蓋のうち、2割にあたる約350万基は旧型のままと推定される。
マンホールの構造に詳しい長岡技術科学大(新潟県長岡市)の斎藤秀俊教授(材料工学)は、ゲリラ豪雨が近年増えているため、旧型の蓋だと飛ぶリスクが高まると指摘。「普段は注意することが少ないマンホールだが、思わぬ『落とし穴』になりかねない」とし、大雨の時は注意するよう呼び掛けている。【平家勇大】