「ポスト岸田は岸田」という政界で名前があがるダークホース 石破、河野、小泉、茂木ではない「国民人気ほぼゼロ」の意外な大臣が

8月5・6に実施されたJNNの世論調査で、ポスト岸田にふさわしい自民党議員について聞き取りしたところ、1位・石破茂元幹事長16%、2位・河野太郎デジタル相16%、3位小泉進次郎元環境相14%……といった順番で岸田首相は5位で5%だった。一時に比べれば内閣支持率は下げ止まっているものの、再び上昇に転じる要素はなく、秋以降はさらに苦しい政権運営を迫られそうなのだが、一方で政界では「ポスト岸田は岸田」との声があがっているという。
【写真を見る】「ロールスロイスの男」に呼び出される岸田首相、「国民人気ほぼゼロ」の意外な大臣など「JNNの今回の調査については、石破、河野、小泉の各氏の国民人気の高さを改めて感じました」低空飛行を続ける岸田政権 と、政治部デスク。「一方でこの3人は永田町ではあまり人気がありません。各人に共通するのは、派閥やグループの面々の面倒をちゃんと見ているという声が聞こえてこないこと。石破氏については“2021年の総裁選に出馬できなかったのが良くなかった。終わった人だ”と評する人がいますね。小泉氏は無派閥ですが、彼のために尽力したいと言っている人を見たことはないですね。実際にはいるのかもしれませんが」(同)下げ止まったが「政界の常識は国民の非常識」という言葉をなぞるような調査結果だったということになるだろうか。 圧倒的な国民的人気を背景に総裁選に地滑り的勝利を収め、首相の座に就くというやり方がないわけではないが、永田町での人気がある程度なければその座を射止めることは難しいだろう。「仲良しクラブとしての派閥が機能している以上、その内部を固め、他派閥の幹部とも気脈を通じ、協力体制を築いておくということが総裁への必須ルートでしょう。国民的人気で突っ走れるのは自民党が政権を失うとか、そういう危機的状況だけです。石破、河野、小泉が浮上するのはそういうタイミングでしょうが、今はそうではありません」(同) 一方、内閣支持率に目を転じると、「日韓首脳会談、ウクライナ電撃訪問、G7広島サミット開催とトピックの続いた5月をピークに、マイナンバーカードでの不手際などがあり、内閣支持率は下落を続けました。さすがに下げ止まったかなというところですが、“再び上昇に転じる要素もないよね”というのが永田町の住人らの一致した見解のように感じます」(同)ほくそ笑む茂木幹事長 9月半ばには内閣改造、党役員人事が行われる予定だ。「それで支持率をぶち上げて解散総選挙に打って出ようというスタンスではありません。5月時点で解散があれだけ取り沙汰されていたことを思うと、何があっても驚きはありませんがね」(同) そういった体たらくにほくそ笑んでいるのが、茂木敏充幹事長なのだという。「支持率が低下すれば自分にお鉢が回って来る可能性が高まるからということのようです。かねて首相への意欲を隠さず、岸田首相、麻生太郎副総裁と自分を並べて、三頭政治などと称してしまうあたりが失笑を買ってきました。自身が領袖を務める平成研究会を十分まとめられていないので岸田首相は脅威には感じていないようですが。岸田首相を支える姿勢を鮮明にする麻生氏からは“変な気を起こさず、岸田を支えろ”と告げられているようです」(同) ちなみに先のJNNの調査では、茂木幹事長は6位で2%と、岸田首相の後塵を拝している。ダークホース 他方、安倍晋三元首相の死去から1年が経過したものの、最大派閥である安倍派は突出した存在がおらず、トップを決められずにいる。 内閣支持率は低空飛行を続けるが、岸田首相にとって強力なライバルがいないという状況のようだ。「そうですね。来年9月の総裁選再選に向けてのらりくらりと政権をかじ取りしていくなか、党内で“ポスト岸田は岸田”のムードが出来て行くことを狙っているのかもしれません。実際、そのように指摘する声は少なくないですからね。首相をやりたいと言っている人はたくさんいますけれど、推薦人が確保できて見切り発車で出馬したとしても惨敗でもしたら政治生命を失いかねず、二の足を踏む候補の方が多い印象です」(同) 有力候補が見当たらず、「ポスト岸田は岸田」の声が高まりそうな気配があるなか、ダークホースの存在を指摘する、こんな声も聞こえてきた。「加藤勝信厚労相ですね。政界では嫌われていないし、元財務官僚として霞が関のこともわかっているので河野氏や茂木氏と違って当たりも柔らかいと言われています」(同)「岸田支持」の理由 先程触れた世論調査では、加藤氏の名前が上位にはあがっていない。失礼ながら、現時点での国民人気はゼロに等しいのだが……。「どうしても岸田首相ではダメだとなったときに、各派閥が一番まとまりやすいのが加藤氏だと言われています」(同) 平成研所属で、トップの茂木氏とは同年齢だ。「派閥の総裁候補として茂木氏が素直に認めるとは到底思えませんが、先ほどもお話したように茂木氏が派内を掌握しているとは言い難いので、加藤氏にチャンスがないわけではない。加藤氏は普段から慎重なタイプではありますが、首相への意欲を隠すことはありません。安倍派所属の萩生田光一政調会長とは親しい間柄ですね。麻生氏も含めて党内の重鎮は軒並み“加藤ならやれる”と見ているようです」 それでも麻生氏が「岸田支持」を堅持しているのは、かつて自身が所属した宏池会を率いる岸田首相へのシンパシーもあるのだろうか。「そもそも副総裁をやってほしいと岸田首相に頼まれていますからそれを裏切れないということでしょうし、一番の動機は勝ち馬に乗ろうとしているのだと思いますよ(笑)。主流派はやはり美味しいですからね」(同)デイリー新潮編集部
「JNNの今回の調査については、石破、河野、小泉の各氏の国民人気の高さを改めて感じました」
と、政治部デスク。
「一方でこの3人は永田町ではあまり人気がありません。各人に共通するのは、派閥やグループの面々の面倒をちゃんと見ているという声が聞こえてこないこと。石破氏については“2021年の総裁選に出馬できなかったのが良くなかった。終わった人だ”と評する人がいますね。小泉氏は無派閥ですが、彼のために尽力したいと言っている人を見たことはないですね。実際にはいるのかもしれませんが」(同)
「政界の常識は国民の非常識」という言葉をなぞるような調査結果だったということになるだろうか。
圧倒的な国民的人気を背景に総裁選に地滑り的勝利を収め、首相の座に就くというやり方がないわけではないが、永田町での人気がある程度なければその座を射止めることは難しいだろう。
「仲良しクラブとしての派閥が機能している以上、その内部を固め、他派閥の幹部とも気脈を通じ、協力体制を築いておくということが総裁への必須ルートでしょう。国民的人気で突っ走れるのは自民党が政権を失うとか、そういう危機的状況だけです。石破、河野、小泉が浮上するのはそういうタイミングでしょうが、今はそうではありません」(同)
一方、内閣支持率に目を転じると、
「日韓首脳会談、ウクライナ電撃訪問、G7広島サミット開催とトピックの続いた5月をピークに、マイナンバーカードでの不手際などがあり、内閣支持率は下落を続けました。さすがに下げ止まったかなというところですが、“再び上昇に転じる要素もないよね”というのが永田町の住人らの一致した見解のように感じます」(同)
9月半ばには内閣改造、党役員人事が行われる予定だ。
「それで支持率をぶち上げて解散総選挙に打って出ようというスタンスではありません。5月時点で解散があれだけ取り沙汰されていたことを思うと、何があっても驚きはありませんがね」(同)
そういった体たらくにほくそ笑んでいるのが、茂木敏充幹事長なのだという。
「支持率が低下すれば自分にお鉢が回って来る可能性が高まるからということのようです。かねて首相への意欲を隠さず、岸田首相、麻生太郎副総裁と自分を並べて、三頭政治などと称してしまうあたりが失笑を買ってきました。自身が領袖を務める平成研究会を十分まとめられていないので岸田首相は脅威には感じていないようですが。岸田首相を支える姿勢を鮮明にする麻生氏からは“変な気を起こさず、岸田を支えろ”と告げられているようです」(同)
ちなみに先のJNNの調査では、茂木幹事長は6位で2%と、岸田首相の後塵を拝している。
他方、安倍晋三元首相の死去から1年が経過したものの、最大派閥である安倍派は突出した存在がおらず、トップを決められずにいる。
内閣支持率は低空飛行を続けるが、岸田首相にとって強力なライバルがいないという状況のようだ。
「そうですね。来年9月の総裁選再選に向けてのらりくらりと政権をかじ取りしていくなか、党内で“ポスト岸田は岸田”のムードが出来て行くことを狙っているのかもしれません。実際、そのように指摘する声は少なくないですからね。首相をやりたいと言っている人はたくさんいますけれど、推薦人が確保できて見切り発車で出馬したとしても惨敗でもしたら政治生命を失いかねず、二の足を踏む候補の方が多い印象です」(同)
有力候補が見当たらず、「ポスト岸田は岸田」の声が高まりそうな気配があるなか、ダークホースの存在を指摘する、こんな声も聞こえてきた。
「加藤勝信厚労相ですね。政界では嫌われていないし、元財務官僚として霞が関のこともわかっているので河野氏や茂木氏と違って当たりも柔らかいと言われています」(同)
先程触れた世論調査では、加藤氏の名前が上位にはあがっていない。失礼ながら、現時点での国民人気はゼロに等しいのだが……。
「どうしても岸田首相ではダメだとなったときに、各派閥が一番まとまりやすいのが加藤氏だと言われています」(同)
平成研所属で、トップの茂木氏とは同年齢だ。
「派閥の総裁候補として茂木氏が素直に認めるとは到底思えませんが、先ほどもお話したように茂木氏が派内を掌握しているとは言い難いので、加藤氏にチャンスがないわけではない。加藤氏は普段から慎重なタイプではありますが、首相への意欲を隠すことはありません。安倍派所属の萩生田光一政調会長とは親しい間柄ですね。麻生氏も含めて党内の重鎮は軒並み“加藤ならやれる”と見ているようです」
それでも麻生氏が「岸田支持」を堅持しているのは、かつて自身が所属した宏池会を率いる岸田首相へのシンパシーもあるのだろうか。
「そもそも副総裁をやってほしいと岸田首相に頼まれていますからそれを裏切れないということでしょうし、一番の動機は勝ち馬に乗ろうとしているのだと思いますよ(笑)。主流派はやはり美味しいですからね」(同)
デイリー新潮編集部