紅麹サプリ問題、患者100人の8割超で腎機能が回復せず…日本腎臓学会が発表

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、日本腎臓学会は30日、横浜市内で開かれた同学会学術総会で、腎機能のデータに関する報告があったサプリを摂取後の患者約100人の8割超で腎機能が回復していないと発表した。
関連死とみられる事例の詳しい状況も初めて明らかにした。
同学会には3~5月に全国の医師から患者206人分の症状や治療経過などの情報が寄せられた。そのうち腎機能の指標となるデータを確認できた105人分を分析。治療を続けても腎機能の数値が正常値を下回っていたのは、85・7%(90人)に上った。
治療当初は回復がみられたが、その後正常な状態まで戻らない患者が多かったという。同学会副理事長の猪阪善隆・大阪大教授(腎臓内科)は「多くの患者で慢性腎臓病が残っている状態だ」と指摘した。
また、同社が3月に発表した死者5人のうち1人についても報告された。
90歳代の女性で、昨年3月よりも前から同社のサプリ「紅麹コレステヘルプ」を飲んでおり、昨年12月に発熱や倦怠(けんたい)感などに見舞われ、医療機関を受診。腎臓の機能が低下していたため入院した。
その後、全身の筋力が低下する「サルコペニア」が進行し、尿路感染症を合併するなどして今年2月に亡くなったという。猪阪教授は「サプリが直接の死因ではないが、関連死といえる」との見方を示した。
この問題を巡っては、厚生労働省が6月28日、同社が摂取との因果関係を調査している死者が新たに76人いると発表した。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。