「イエローハット」CM出演のグラドルが立憲民主へ 枝野氏の元で議員を目指し勉強中

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「ミスFLASH2013」グランプリも受賞し、「イエローハット」のCMにも出演した人気グラビアアイドルの永井里奈さん(30)。ここ最近、グラビアでの活動を見なくなったが、実は立憲民主党から出馬すべく、現在は枝野幸男議員が総支部長を務める埼玉県第5区総支部で政策委員として活動している。グラドル時代には全くイメージのなかった政治の世界になぜ彼女は飛び込んだのだろうか。【徳重龍徳/グラビア評論家】
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【画像10枚】特技の“Y字バランス”は封印で…永井里奈さんのビラ配り ほか 埼玉・大宮にある立憲民主党の枝野幸男事務所。永井里奈さんはいかにも政治家という白のフォーマルスーツに身を包み、私たちを出迎えてくれた。 永井さんは2011年からグラビアアイドルとして活躍し、「ミスFLASH2013」グランプリに輝いた。グラドル時代は愛くるしい笑顔とグラマラスなボディー、そして体の柔らかさを活かしたY字バランスが売りで、「有吉反省会」などバラエティー番組などにも出演、アイドルグループ「G☆Girls」のメンバーも務めた。2017年から3年間「イエローハット」CMにも出演しており、顔を見れば見覚えのある人も少なくないだろう。 そんな永井さんは今、埼玉県第5区総支部でさいたま市北区市政担当の政策委員をしている。政策などを学ぶ日々を送り、来年の統一地方選挙で同地区からさいたま市議に立候補する予定だ。 「今は駅前でビラを配ったり、小川寿士市議や周りの議員の方について市民の方からの陳情を聞いています」 永井さんをグラドル時代に何度か取材しているが、当時は政治と全く結びつかないイメージだった。枝野議員のパネルと共に(撮影・徳重龍徳)「母に政治の道に進むと伝えたら『芸能の次はそっちなの!』とびっくりしていました(笑)。元マネージャーさんなどにも、私が政治家になりたいと伝えたら、驚いて言葉をなくしてました」なぜグラドルから政界へ? 永井さんは2019年から半年間、オーストラリアへ留学したが、帰国すると待っていたのは新型コロナウイルスの流行だった。留学前からグラドル引退を考えていた永井さんは、これを機に興味のあった地域社会に関わる仕事ができないかと考えた。 「私のおばは知的障害があり、体も不自由なんです。私自身も母子家庭で、4歳の頃に母が離婚し一人で兄と私と妹を苦労しながら育ててくれました。そうした環境から地域社会による支援の必要性を感じていました。そんなときに、知人だった議員秘書の方から『衆議院選があるから手伝ってみませんか?』と言われ、2021年に立候補した杉村慎治さんの選挙、その後2022年の参議院議員選挙に立候補、当選しました高木まり参議院議員のお手伝いをすることになりました」 両選挙では候補者付きの運転から、パソコンの打ち込み、ビラ配り、陳情に来た人の意見のメモなどの作業をこなしたという。 「ビラ配りをしていると様々な方の声が聞けます。障害のある方に『もっとバリアフリー化してほしい』と言われたり、おじいちゃん、おばあちゃんに『もっと住みやすくして。車を返したらどこにもいけない』と言われたり。困っている人が多いことに改めて気づきました」 この経験から、改めて地域社会に貢献する仕事がしたいとの思いを強めた永井さんは、自身が住むさいたま市北区が選挙区の枝野幸男事務所の門を叩いた。立憲民主党を選んだ理由については「私の家はもともと民主党をずっと応援していたこともありますし、党が多様性を大事にしていることにも共感していました」という。 枝野議員といえばアイドルオタクとして知られるが「枝野さんがアイドル好きだから選んだとよく言われるんですけど、全く別なんです。入ってから枝野さんがアイドル好きだと知ったくらいです」と笑う。「グラドルなんて」と言われても 現在はさいたま市の実家で暮らしをしながら、議員と一緒に市民からの陳情を聞き、毎朝7時から駅前に立ち、枝野議員や小川市議らとビラを配っている。 「目新しいのかビラを配っていると受け取ってもらえています(笑)。芸能の経験から人前に立つのには慣れていますし、人とコミュニケーションを取るのも好き。だから政治家は私にとって生きがいだなと思います」 一方で、芸能人から政治への転身となると、懐疑的な目で見られるケースも少なくない。特に永井さんはグラビアアイドルだけに、あらぬ批判を受けることがあるという。 「政治の世界で活動し始めてから、グラビアアイドルについて、女性のやる仕事として地位が低い、議員を目指すべきではないというような差別的発言もあります。でも私自身はそうは思いません。私自身、誇りと信念を持ってグラビアで活動してきたので、毅然とした対応をして参りたい。現在、グラビアアイドルをやっている方にも、頑張ってほしいと応援していきたい立場です」 自分だけでなく、枝野議員など周囲へも被害が及ぶのでは?と不安になったこともあるが、枝野議員からは「気にしなくて大丈夫だから、自信を持っていこう」と言葉をかけられたという。 政治用語など、日々わからないことを書き込んでいるというノートも見せてもらうと、びっしりと文字が書き込まれていた。こうした熱意もあり、支部の議員や秘書からも信頼を得ているという。 枝野議員の秘書を務める男性は「永井さんは、誰とは言いませんがぽっと出で出馬される芸能人の方とは一線を画している。選挙も手伝っていますし、自身の家庭環境から問題意識をきっちり持ち、皆が暮らしやすい社会を作りたいというビジョンもしっかりある」と評価する。グラドルとしての今後は… 永井さんが地方議員となり解決したいのが、特に母子家庭の問題だ。「この地区にはひとり親世帯が8,000世帯いますが、支援がぜんぜん足りていない。先日も小川市議と一緒に陳情をうかがった方は『貯金もなく、手持ちに数百円しかなく、もう生活ができないので勇気を振り絞って来ました』と相談に来られた。私の母も自分の洋服であったり楽しみを我慢して、私たち子どもに恥ずかしくない暮らしをさせてくれた。ひとり親というのは、貯金ができずお金が常に出続けるという感じなんです。そうした声をしっかり吸収して、私は市政に届けていきたいです」 永井さんは来年の統一地方選に出馬し、自身が生まれ育ったさいたまで市議を目指す。国政については現在考えてはおらず「私は永遠のさいたま市議がいいです」とさいたま愛を語る。 これまで公言はしていなかったが、グラビアアイドルは引退だといい、芸能活動についても引退の方向で考えている。多様性が求められる現在、永井さんのようなほかとは違ったバックボーンを持つ人が政治家になることは大事なことだろう。 ちなみに売りであるY字バランスは「もう封印です」とのことで、当選しても議員としてのY字バランスを見られないのは少々残念だ。徳重龍徳(とくしげ・たつのり)ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritokuデイリー新潮編集部
埼玉・大宮にある立憲民主党の枝野幸男事務所。永井里奈さんはいかにも政治家という白のフォーマルスーツに身を包み、私たちを出迎えてくれた。
永井さんは2011年からグラビアアイドルとして活躍し、「ミスFLASH2013」グランプリに輝いた。グラドル時代は愛くるしい笑顔とグラマラスなボディー、そして体の柔らかさを活かしたY字バランスが売りで、「有吉反省会」などバラエティー番組などにも出演、アイドルグループ「G☆Girls」のメンバーも務めた。2017年から3年間「イエローハット」CMにも出演しており、顔を見れば見覚えのある人も少なくないだろう。
そんな永井さんは今、埼玉県第5区総支部でさいたま市北区市政担当の政策委員をしている。政策などを学ぶ日々を送り、来年の統一地方選挙で同地区からさいたま市議に立候補する予定だ。
「今は駅前でビラを配ったり、小川寿士市議や周りの議員の方について市民の方からの陳情を聞いています」
永井さんをグラドル時代に何度か取材しているが、当時は政治と全く結びつかないイメージだった。
「母に政治の道に進むと伝えたら『芸能の次はそっちなの!』とびっくりしていました(笑)。元マネージャーさんなどにも、私が政治家になりたいと伝えたら、驚いて言葉をなくしてました」
永井さんは2019年から半年間、オーストラリアへ留学したが、帰国すると待っていたのは新型コロナウイルスの流行だった。留学前からグラドル引退を考えていた永井さんは、これを機に興味のあった地域社会に関わる仕事ができないかと考えた。
「私のおばは知的障害があり、体も不自由なんです。私自身も母子家庭で、4歳の頃に母が離婚し一人で兄と私と妹を苦労しながら育ててくれました。そうした環境から地域社会による支援の必要性を感じていました。そんなときに、知人だった議員秘書の方から『衆議院選があるから手伝ってみませんか?』と言われ、2021年に立候補した杉村慎治さんの選挙、その後2022年の参議院議員選挙に立候補、当選しました高木まり参議院議員のお手伝いをすることになりました」
両選挙では候補者付きの運転から、パソコンの打ち込み、ビラ配り、陳情に来た人の意見のメモなどの作業をこなしたという。
「ビラ配りをしていると様々な方の声が聞けます。障害のある方に『もっとバリアフリー化してほしい』と言われたり、おじいちゃん、おばあちゃんに『もっと住みやすくして。車を返したらどこにもいけない』と言われたり。困っている人が多いことに改めて気づきました」
この経験から、改めて地域社会に貢献する仕事がしたいとの思いを強めた永井さんは、自身が住むさいたま市北区が選挙区の枝野幸男事務所の門を叩いた。立憲民主党を選んだ理由については「私の家はもともと民主党をずっと応援していたこともありますし、党が多様性を大事にしていることにも共感していました」という。
枝野議員といえばアイドルオタクとして知られるが「枝野さんがアイドル好きだから選んだとよく言われるんですけど、全く別なんです。入ってから枝野さんがアイドル好きだと知ったくらいです」と笑う。
現在はさいたま市の実家で暮らしをしながら、議員と一緒に市民からの陳情を聞き、毎朝7時から駅前に立ち、枝野議員や小川市議らとビラを配っている。
「目新しいのかビラを配っていると受け取ってもらえています(笑)。芸能の経験から人前に立つのには慣れていますし、人とコミュニケーションを取るのも好き。だから政治家は私にとって生きがいだなと思います」
一方で、芸能人から政治への転身となると、懐疑的な目で見られるケースも少なくない。特に永井さんはグラビアアイドルだけに、あらぬ批判を受けることがあるという。
「政治の世界で活動し始めてから、グラビアアイドルについて、女性のやる仕事として地位が低い、議員を目指すべきではないというような差別的発言もあります。でも私自身はそうは思いません。私自身、誇りと信念を持ってグラビアで活動してきたので、毅然とした対応をして参りたい。現在、グラビアアイドルをやっている方にも、頑張ってほしいと応援していきたい立場です」
自分だけでなく、枝野議員など周囲へも被害が及ぶのでは?と不安になったこともあるが、枝野議員からは「気にしなくて大丈夫だから、自信を持っていこう」と言葉をかけられたという。
政治用語など、日々わからないことを書き込んでいるというノートも見せてもらうと、びっしりと文字が書き込まれていた。こうした熱意もあり、支部の議員や秘書からも信頼を得ているという。
枝野議員の秘書を務める男性は「永井さんは、誰とは言いませんがぽっと出で出馬される芸能人の方とは一線を画している。選挙も手伝っていますし、自身の家庭環境から問題意識をきっちり持ち、皆が暮らしやすい社会を作りたいというビジョンもしっかりある」と評価する。
永井さんが地方議員となり解決したいのが、特に母子家庭の問題だ。
「この地区にはひとり親世帯が8,000世帯いますが、支援がぜんぜん足りていない。先日も小川市議と一緒に陳情をうかがった方は『貯金もなく、手持ちに数百円しかなく、もう生活ができないので勇気を振り絞って来ました』と相談に来られた。私の母も自分の洋服であったり楽しみを我慢して、私たち子どもに恥ずかしくない暮らしをさせてくれた。ひとり親というのは、貯金ができずお金が常に出続けるという感じなんです。そうした声をしっかり吸収して、私は市政に届けていきたいです」
永井さんは来年の統一地方選に出馬し、自身が生まれ育ったさいたまで市議を目指す。国政については現在考えてはおらず「私は永遠のさいたま市議がいいです」とさいたま愛を語る。
これまで公言はしていなかったが、グラビアアイドルは引退だといい、芸能活動についても引退の方向で考えている。多様性が求められる現在、永井さんのようなほかとは違ったバックボーンを持つ人が政治家になることは大事なことだろう。
ちなみに売りであるY字バランスは「もう封印です」とのことで、当選しても議員としてのY字バランスを見られないのは少々残念だ。
徳重龍徳(とくしげ・たつのり)ライター。グラビア評論家。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。現在は退社し雑誌、ウェブで記事を執筆。個人ブログ「OUTCAST」も運営中。Twitter:@tatsunoritoku
デイリー新潮編集部

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