妊娠中に街頭活動 立憲・神奈川県連、ハラスメント被害の訴え相次ぐ

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立憲民主党神奈川県連の女性地方議員が、マタニティーハラスメントやパワーハラスメントの被害に遭ったと訴えるケースが相次いでいる。県連の男性議員から妊娠中に街頭活動を求められたり、公認権をちらつかせて泉健太代表への支持を強要されたりしたなどと主張。立憲は「ジェンダー平等」や「ハラスメント禁止」を掲げており、問題が長引けば痛手だ。県連はハラスメントに対応する委員会の設置に動くなど対策に乗り出した。 横浜市の大野知意(ともい)市議は9月に記者会見を開き、5月に党本部に対してハラスメント調査を申し立てたことを明らかにした。2021年8月に実施された横浜市長選で、当時出産間近だったにもかかわらず、同党の男性衆院議員から街頭活動を求められたことが「マタハラに当たる」と主張。産休取得を伝えたが、「毎週水曜、計3時間以上、駅頭で200枚以上のビラ配布」を担当するシフト案が作成されたとしている。 大野氏はこの要請を断ったが、大野氏が所属する立憲の支部は今年4月、大野氏の「活動量が足りない」との理由で来春の横浜市議選の公認申請を県連に上申しないと決めたという。大野氏は「女性が妊娠、出産などで活動が一時的に停滞することを許容してほしい」と訴えた。 一方、マタハラを訴えられた格好の男性衆院議員は取材に「大野氏の主張は事実と異なる。大野氏側を含むシフト案と含まない案の二つを提案した。大野氏側からも党務に対応すると示唆するメッセージを受け取っていた」などと反論した。 逗子市の加藤秀子市議も8月、党本部に対し、当時県連幹部だった男性県議の除名処分を求めた。21年11月の党代表選の際、この県議から泉健太代表への支持を求められて断ると、「公認を取れなくても知らねえぞ」などと脅されたと主張した。 加藤氏によると、今年3月にあった同市議選の際、この県議が他の地方議員に対し、加藤氏の選挙運動の応援をしないよう強要したという。またこの県議は7月の参院選で、同党公認で出馬した新人の水野素子氏を支援した女性議員らについて、中傷するメッセージを同僚県議らに送った。 男性県議は取材に「加藤氏に公認うんぬんということを言った記憶は無いし、市議選でも応援しないようにと言った記憶も無い」と説明。ただ水野氏を支援した女性議員を中傷したことに関しては、「どういう事情であれ言ってはならないことで軽率だったと反省している」と釈明した。 県議でも野田治美、佐々木奈保美両氏が、県議選の定数や区割りを変更する条例案に会派と異なる反対の立場をとっていたが、複数の県議から賛成するように強く求められ、体調を崩した際には辞職を求められたなどと主張している。 立憲の県連は、所属議員の3割以上が女性。来春の統一地方選でも女性候補の擁立に力を入れており、問題がこじれれば統一地方選に悪影響を及ぼしかねない。県連代表の青柳陽一郎衆院議員は17日、「倫理ハラスメントコミュニケーション委員会」を設置する方針を表明。「委員会設置の趣旨は未然防止すること。早期に相談を受け、解決を図っていく」と強調した。 県連は逗子市の加藤市議の訴えの調査を担当。党本部が他の3人についての調査を進めており、調査結果を踏まえて対応を検討する方針だ。【宮島麻実】

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