今年に入って過去最多のペースで増え続けているのが、“人食いバクテリア”とも呼ばれる致死率の高い劇症型の溶連菌感染症。高齢者や糖尿病など持病がある人は死亡のリスクが高く、40代以上で増えているといいます。一体どんな病気なのか?そこで今回の#みんなのギモンでは、「なぜ?“最多”勢い 劇症型溶連菌」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。●致死率30% 子供から感染も?●“新型”に要注意 どう防御?
■致死率高い感染症 過去最多のペースで増加小野高弘・日本テレビ解説委員「今年に入って過去最多のペースで増え続けているのが、“人食いバクテリア”とも呼ばれる致死率の高い劇症型の溶連菌感染症なんです。高齢者や糖尿病など持病がある方は死亡のリスクが高く、40代以上で増えているというんです」鈴江奈々アナウンサー「溶連菌って、子育てをしていると子供たちの中に割とあるな、というイメージがあるので、大人もかかるものなのですか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「一体どんな病気なのか。見てみましょう」■劇症型溶連菌 去年同時期の約2.8倍小野高弘・日本テレビ解説委員「正式な病名としては、『劇症型溶血性レンサ球菌感染症』という長い名前がついています。『溶血性』『レンサ』『球菌』で『溶連菌』。溶連菌の感染症が劇症化する、つまり症状が極めて劇烈になるという意味ですね。この劇症型、今年、過去最多のペースで増えています」「15年前は100人程度でした。年々少しずつ増えてきて、去年が941人でこの時すでに過去最多でした。それが、今年は今の時点で891人。去年の同じ時期の約2.8倍に上っているんです」森圭介アナウンサー「まだ今は5月ですから、このままいくと去年の倍くらいになる可能性もあるということですか…?」■菌は常に身の回りに…命の危険も小野高弘・日本テレビ解説委員「では、この劇症型のどこが怖いのか。溶連菌の写真を見ますと、その名の通り『球』ですから、ボール状の菌が連鎖して連なっています。実は、溶連菌自体は常に私たちの身の回りにいて、例えば、タオルや食器など身の回りのものを介して感染する可能性があるということなんです」「さらに、感染しても無症状なことも多く、小学生くらいの子供に多いのが、溶連菌による咽頭炎、のどの風邪です。ただ、まれに大人を中心として、劇症型になることがあって、これが命の危険もあるやっかいなモノなんです」忽滑谷こころアナウンサー「劇症型にかんしては、大人も子供もかかるものなんでしょうか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「のどの風邪は子供が主にかかりますよね。劇症型になるのは大人が多いんだそうです。ただ、すべての年代でかかる可能性があると思っておいた方がいいです」■致死率3割 死亡まで48時間以内のケースも山崎誠アナウンサー「症状としてはどういったものが出てくるんですか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「最初は風邪のような症状。例えば、発熱や悪寒などから始まることも多い。手や足の激しい痛みです。人によっては『人生で経験したことがない』『何日も眠れなかった』というほどの痛みだそうです。手足が大きく腫れるといったこともあり、これを放っておくと壊死をもたらすこともある」「ここから病状の進行が非常に早く、息苦しさや冷や汗、血圧の低下といった症状が現れて、数十時間以内に多臓器不全を起こして死亡するケースもある。発症してから死亡するケースも48時間以内と、非常に早いんです」「急速に手足の壊死や病状が進んで、致死率は約30%と非常に高いことから、“人食いバクテリア”と呼ばれることがあるんです」森圭介アナウンサー「溶連菌というと、子供に多くて薬を飲んだらすぐ治るというイメージだったのですが、全く違うんですね…」■感染経路は? 飛まつ感染の可能性も…小野高弘・日本テレビ解説委員「東京感染症対策センターの賀来満夫所長にうかがいました。ケガによる手足の傷や手術、高齢者は床ずれなどで菌が侵入することが多いとされています。ただ、最近では感染経路が不明、傷などが確認できない人でも劇症化するケースが相次いでいる」「こうした事例では、くしゃみや咳などによる『飛まつ感染』が起きている可能性も高い、ということですね。先月、東京都では医療従事者向けのマニュアルを改訂して、『飛まつ感染』を感染経路に追加したそうです」鈴江奈々アナウンサー「飛まつ感染となると、子育てをしていると家庭内感染も気をつけた方がいいんでしょうか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「さきほども触れましたが、もともと子供は溶連菌によるのどの風邪などにかかりやすいですよね。だから、溶連菌をもらってしまった子供から親にうつるとかあるかもしれませんが、家族の誰かが感染して、家族から家族へという『家庭内感染』が起きる可能性はありえるかもしれないといいます」「ただ、溶連菌自体はどこにでもいるもので、劇症化することはまれなので、家庭内感染を過剰に怖れる必要はない、ということです」■変異株など感染者急増に関連か小野高弘・日本テレビ解説委員「そして、次のポイント。“新型”に要注意…どう防げるか?ということですが…」「今年に入って、過去最多のペースで増えている『劇症型』ですが、その理由について賀来所長は、『新型コロナが落ち着いて、感染対策を徹底する人が減ってきていること』。そして、海外から入ってきた『溶連菌の新たな変異株【M1UK(エムワンユーケー)株】の存在』を挙げました」「この『M1UK株』は従来の株より、毒素の量が9倍多く、感染力も強いとされています。今年に入って、都内ではすでに4割以上がこの株に置き換わりが進んでいるといいます。ということで、感染者の急増にも関連している可能性があるということなんです」■持病がある人や高齢者、妊婦が死亡リスク高山崎誠アナウンサー「体質などでかかりやすい、発症しやすいというのはあるんですか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「まず、糖尿病などの持病がある人、体力がない高齢者、妊婦さんなどは死亡するリスクが高く、特に注意が必要です。ただ、基礎疾患のない人でも感染する場合はあるので、油断をしてはいけません」■治療までのスピードが大事忽滑谷こころアナウンサー「なるべく早く気づくために、どんなところに注目したらいいんですか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「ケガなどをしたとき、傷口のまわりの腫れや赤み、強い痛みが急激に広がる、これは気をつけた方がいいです。または、意識がもうろうとする、息苦しさや冷や汗、顔面蒼白になるなど、ショック症状がある場合には、劇症型の可能性が考えられます」鈴江奈々アナウンサー「気づきがあって心配なとき、治療方法というのは何かあるのでしょうか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「この病気は進行が早いので、治療までのスピードが大事です」「劇症型とわかれば、しっかりと切開手術や抗菌薬を投与することで十分治療することが可能だということです。適切な処置ができる大きな医療機関につなげるためにも、できるだけ早く医師に相談してほしいということです」■マスクや手洗いなどの感染対策も効果あり小野高弘・日本テレビ解説委員「また、そもそも溶連菌への感染を防ぐのも大事です」「傷ができてしまったら、傷口を清潔にする。打撲の場合も皮膚の炎症が起きていることもあるので清潔にするということ。そして、マスクや手洗いといった基本的な感染対策も効果があるということです」森圭介アナウンサー「劇症化する人としない人の違いはあるんですか?」小野高弘・日本テレビ解説委員「賀来所長によると、免疫力や菌の病原性の違いなどが関係しているということが考えられるそうですが、今はまだはっきりとわかっていないので、今後の解析が必要だということを話していました」鈴江奈々アナウンサー「ちょっとおかしいな…と異変が感じられたときには、自分自身や周りの人も早く気づいて、早く病院にかかるということが何よりも大事ですね」小野高弘・日本テレビ解説委員「まれに、とはいえ劇症型になってしまったとしても、早く発見すること、そして早く治療することができれば、命が助かることも多いといいます」「誰でもかかりうる病気なので、よく知って正しく怖れることが重要です」(2024年5月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
今年に入って過去最多のペースで増え続けているのが、“人食いバクテリア”とも呼ばれる致死率の高い劇症型の溶連菌感染症。高齢者や糖尿病など持病がある人は死亡のリスクが高く、40代以上で増えているといいます。一体どんな病気なのか?
そこで今回の#みんなのギモンでは、「なぜ?“最多”勢い 劇症型溶連菌」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●致死率30% 子供から感染も?●“新型”に要注意 どう防御?
小野高弘・日本テレビ解説委員「今年に入って過去最多のペースで増え続けているのが、“人食いバクテリア”とも呼ばれる致死率の高い劇症型の溶連菌感染症なんです。高齢者や糖尿病など持病がある方は死亡のリスクが高く、40代以上で増えているというんです」
鈴江奈々アナウンサー「溶連菌って、子育てをしていると子供たちの中に割とあるな、というイメージがあるので、大人もかかるものなのですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「一体どんな病気なのか。見てみましょう」
小野高弘・日本テレビ解説委員「正式な病名としては、『劇症型溶血性レンサ球菌感染症』という長い名前がついています。『溶血性』『レンサ』『球菌』で『溶連菌』。溶連菌の感染症が劇症化する、つまり症状が極めて劇烈になるという意味ですね。この劇症型、今年、過去最多のペースで増えています」
「15年前は100人程度でした。年々少しずつ増えてきて、去年が941人でこの時すでに過去最多でした。それが、今年は今の時点で891人。去年の同じ時期の約2.8倍に上っているんです」
森圭介アナウンサー「まだ今は5月ですから、このままいくと去年の倍くらいになる可能性もあるということですか…?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「では、この劇症型のどこが怖いのか。溶連菌の写真を見ますと、その名の通り『球』ですから、ボール状の菌が連鎖して連なっています。実は、溶連菌自体は常に私たちの身の回りにいて、例えば、タオルや食器など身の回りのものを介して感染する可能性があるということなんです」
「さらに、感染しても無症状なことも多く、小学生くらいの子供に多いのが、溶連菌による咽頭炎、のどの風邪です。ただ、まれに大人を中心として、劇症型になることがあって、これが命の危険もあるやっかいなモノなんです」
忽滑谷こころアナウンサー「劇症型にかんしては、大人も子供もかかるものなんでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「のどの風邪は子供が主にかかりますよね。劇症型になるのは大人が多いんだそうです。ただ、すべての年代でかかる可能性があると思っておいた方がいいです」
山崎誠アナウンサー「症状としてはどういったものが出てくるんですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「最初は風邪のような症状。例えば、発熱や悪寒などから始まることも多い。手や足の激しい痛みです。人によっては『人生で経験したことがない』『何日も眠れなかった』というほどの痛みだそうです。手足が大きく腫れるといったこともあり、これを放っておくと壊死をもたらすこともある」
「ここから病状の進行が非常に早く、息苦しさや冷や汗、血圧の低下といった症状が現れて、数十時間以内に多臓器不全を起こして死亡するケースもある。発症してから死亡するケースも48時間以内と、非常に早いんです」
「急速に手足の壊死や病状が進んで、致死率は約30%と非常に高いことから、“人食いバクテリア”と呼ばれることがあるんです」
森圭介アナウンサー「溶連菌というと、子供に多くて薬を飲んだらすぐ治るというイメージだったのですが、全く違うんですね…」
小野高弘・日本テレビ解説委員「東京感染症対策センターの賀来満夫所長にうかがいました。ケガによる手足の傷や手術、高齢者は床ずれなどで菌が侵入することが多いとされています。ただ、最近では感染経路が不明、傷などが確認できない人でも劇症化するケースが相次いでいる」
「こうした事例では、くしゃみや咳などによる『飛まつ感染』が起きている可能性も高い、ということですね。先月、東京都では医療従事者向けのマニュアルを改訂して、『飛まつ感染』を感染経路に追加したそうです」
鈴江奈々アナウンサー「飛まつ感染となると、子育てをしていると家庭内感染も気をつけた方がいいんでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「さきほども触れましたが、もともと子供は溶連菌によるのどの風邪などにかかりやすいですよね。だから、溶連菌をもらってしまった子供から親にうつるとかあるかもしれませんが、家族の誰かが感染して、家族から家族へという『家庭内感染』が起きる可能性はありえるかもしれないといいます」
「ただ、溶連菌自体はどこにでもいるもので、劇症化することはまれなので、家庭内感染を過剰に怖れる必要はない、ということです」
小野高弘・日本テレビ解説委員「そして、次のポイント。“新型”に要注意…どう防げるか?ということですが…」
「今年に入って、過去最多のペースで増えている『劇症型』ですが、その理由について賀来所長は、『新型コロナが落ち着いて、感染対策を徹底する人が減ってきていること』。
そして、海外から入ってきた『溶連菌の新たな変異株【M1UK(エムワンユーケー)株】の存在』を挙げました」
「この『M1UK株』は従来の株より、毒素の量が9倍多く、感染力も強いとされています。今年に入って、都内ではすでに4割以上がこの株に置き換わりが進んでいるといいます。ということで、感染者の急増にも関連している可能性があるということなんです」
山崎誠アナウンサー「体質などでかかりやすい、発症しやすいというのはあるんですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「まず、糖尿病などの持病がある人、体力がない高齢者、妊婦さんなどは死亡するリスクが高く、特に注意が必要です。ただ、基礎疾患のない人でも感染する場合はあるので、油断をしてはいけません」
忽滑谷こころアナウンサー「なるべく早く気づくために、どんなところに注目したらいいんですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「ケガなどをしたとき、傷口のまわりの腫れや赤み、強い痛みが急激に広がる、これは気をつけた方がいいです。または、意識がもうろうとする、息苦しさや冷や汗、顔面蒼白になるなど、ショック症状がある場合には、劇症型の可能性が考えられます」
鈴江奈々アナウンサー「気づきがあって心配なとき、治療方法というのは何かあるのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「この病気は進行が早いので、治療までのスピードが大事です」
「劇症型とわかれば、しっかりと切開手術や抗菌薬を投与することで十分治療することが可能だということです。適切な処置ができる大きな医療機関につなげるためにも、できるだけ早く医師に相談してほしいということです」
小野高弘・日本テレビ解説委員「また、そもそも溶連菌への感染を防ぐのも大事です」
「傷ができてしまったら、傷口を清潔にする。打撲の場合も皮膚の炎症が起きていることもあるので清潔にするということ。そして、マスクや手洗いといった基本的な感染対策も効果があるということです」
森圭介アナウンサー「劇症化する人としない人の違いはあるんですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員「賀来所長によると、免疫力や菌の病原性の違いなどが関係しているということが考えられるそうですが、今はまだはっきりとわかっていないので、今後の解析が必要だということを話していました」
鈴江奈々アナウンサー「ちょっとおかしいな…と異変が感じられたときには、自分自身や周りの人も早く気づいて、早く病院にかかるということが何よりも大事ですね」
小野高弘・日本テレビ解説委員「まれに、とはいえ劇症型になってしまったとしても、早く発見すること、そして早く治療することができれば、命が助かることも多いといいます」
「誰でもかかりうる病気なので、よく知って正しく怖れることが重要です」
●あなたの身の回りの怒りやギモンをお寄せください。お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。#みんなのギモンhttps://www.ntv.co.jp/provideinformation/houdou.html
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お寄せいただいた情報をもとに日本テレビ報道局が調査・取材します。
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