キングサーモンをニジマスが産卵、代理親で養殖の効率化期待…東京海洋大の研究チーム

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高級なサケの一種「キングサーモン」の卵や精子を、体内で何度も作るニジマスを誕生させたと、東京海洋大の研究チームが発表した。
養殖の効率化などが期待される成果で、論文が25日、科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載される。
キングサーモンは、和名で「マスノスケ」と呼ばれ、ステーキやすしで食される。脂の乗った厚い身が特長だが、成熟するまでに3~7年程度かかり、産卵は生涯で1回だけしかできないため、養殖には不向きとされる。これに対しニジマスは1~2年で成熟し、産卵は複数回できるため養殖に適している。
そこでチームの吉崎悟朗教授(魚類発生工学)らは、ニジマスを代理親にキングサーモンの卵と精子を作らせることにした。まず、キングサーモンから精子や卵の元になる細胞(生殖幹細胞)を採取。その生殖幹細胞をニジマスの稚魚に移植し、稚魚を代理親に育て上げた。この代理親のオスは少なくとも4年間、メスは3年間、それぞれ精子と卵を毎年作り、受精するとキングサーモンが生まれた。
チームは2007年、ヤマメを代理親にニジマスを誕生させており、今回はその技術を応用した。吉崎教授は「新しい養殖スタイルになり得ると思っている。高級サケの品種改良を進めていきたい」と話す。
北海道大の藤本貴史教授(魚類育種遺伝学)の話「キングサーモンの精子や卵が安定的に得られる技術で、養殖に大いに役立つ。産卵回数が生殖細胞ではなく、代理親で決まることも意義深い発見だ」

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