「普通、気づくだろ!」「コンプラ大丈夫?」きらぼし銀行“4.6億不審送金”見逃しに業界は唖然 5年前には“マザコン行員”の「凶悪事件」も

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プロでなくても怪しいと気づくだろう。嘘の投資話を信じた50代の会社経営者は、わずか1カ月の間に「きらぼし銀行」の支店窓口を何度も訪れ、数百万単位の会社のカネを約80回にわたり外国人名義などの不審な口座に送り続けた。そして約4億6000万円を送り終えた後、騙されていたことに気づいた。口座はすぐさま凍結されたが、時すでに遅し。この間、同行は送金の目的などを社長に確認しようとせず、言われるまま送金手続きを繰り返していたというのだ。
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【写真8枚】懐かしすぎる「チリ人妻」アニータ・アルバラドさんのセクシー写真。アニータさんにも青森県住宅供給公社から横領された 約5億5000万円が約60回にわたって銀行送金された
この問題は4月25日、読売新聞のスクープで発覚した。記事を読んだメガバンク勤務の40代男性が呆れて語る。
「たった1カ月に80回でしょう? あまりの杜撰さに衝撃を受けました。今回は詐欺にあったということですが、こうした海外への不審な送金は、真っ先にマネー・ロンダリングを疑わなければならないところです。当然、ロマンス詐欺などの犯罪も考えます。本人が拒んでも目的や送金先について確認を重ね、不自然な回答だったならばストップするのが常識です」
確かに最近の金融機関では窓口だけでなく、ATMで不審な送金をしようとしている顧客にも声がけするのが当たり前になっている。怪しいと思ったら顧客が聞き入れなくても何度も説得を試みる。そうして詐欺を未然に防いだ銀行員のお手柄がよくニュースにもなっている。
「記事には、1日に500万円ずつ十数の口座に送ることもあったと書かれていましたが、これをスルーするなんてありえない。銀行員としてモラルを疑います」(同)
読売によれば、窓口で対応した職員は社長が最初に窓口を訪れた際、送金の目的を尋ねたが明確な回答を得られなかったという。にもかかわらず、その後続いた不審な送金を再確認しなかった。
しかも社長は会社の口座にあった金を、きらぼし銀行を含む複数の金融機関にある自分の口座に移してから送金を始めたという。この行動ひとつ取っても怪しい。
事情通によれば、被害にあったのは同族企業を経営する女性社長だという。
「SNSの詐欺勧誘に引っかかって、カネが増えると完全に信じ込んでしまった。騙した相手は外国人とのことで、ロマンス詐欺だった可能性もある。会社の資金は今回の送金でほぼ底をついてしまったようだが、収益性のある事業を展開しているのでなんとか持ち堪えている。もちろんカネを失ったのは自己責任ですが、きらぼし銀行へは『なんで止めてくれなかったんだ』という思いもあるでしょう」(事情通)
きらぼし銀行の杜撰すぎる対応には、金融庁も眉を顰めている。犯罪収益移転防止法では金融機関に、200万円以上の送金を依頼する顧客に送金目的を確認するよう義務付けている。きらぼし銀行はこうした法令に違反していた可能性があり、金融庁は同行へ聴取に入っている。
同種のケースは2002年に地銀2行で起きていた。青森県住宅供給公社で起きた約14億6000万円に上る横領事件、俗に言う「アニータ事件」である。
同公社の経理担当主幹だった男はチリ人の美人妻・アニータさんに貢ぐために公社のカネを横領。アニータさんに渡った約11億円のうち約5億5000万円が、男の依頼で青森銀行とみちのく銀行から約60回にわけて送金された。
「発覚した際、金融庁は両行にマネー・ロンダリングに対する認識や社内体制が不十分だったとして業務改善命令を出しています。今回も厳しい処分が出る可能性はある」(経済紙記者)
きらぼし銀行は東京都民銀行と八千代銀行、新銀行東京の3行が合併して2018年5月に誕生したが、発足直後から不祥事が立て続けに起きた。
世間の記憶に残るのは、18年7月に「マザコン行員」が妻殺しの容疑で逮捕された事件だろう。
「中小企業向け融資担当だった男性行員は、育児をめぐり妻と喧嘩が絶えなかった。男性行員は妻が口にするカレーに睡眠導入剤を混入させ、眠り込んだところを絞殺。その後、遺体の処理に困って母親に打ち明け、2人で自宅の庭に妻の遺体を埋めた。母親も死体遺棄容疑で逮捕された」(前出・記者)
同年9月には、石神井支店勤務の男性行員が顧客の口座から不正に約6億8000万円の現金を引き出し、失踪する騒ぎも発生。
さらに22年10月に「週刊新潮」は、同行執行役員から不正融資を受けたと打ち明ける不動産会社社長X氏の告発記事を報じた。X氏は執行役員に女子大生をあてがうなどの接待攻勢をかけ、1億1000万円の融資を受けることに成功。その見返りに数百万円をキックバックしていたと告白した。執行役員はX氏の紹介先にも同様の不正融資した際、100万円のキックバックを受けていたが、カネの受け渡し現場を動画で隠し撮りされていた。
そして、今回の不始末である。
金融業界関係者は「きらぼし銀行のコンプライアンスは大丈夫なのか」と一様にいぶかっているという。きらぼし銀行に取材したが「個別の取引や顧客情報に関する事項になりますのでお答えできません」との回答だった。
デイリー新潮編集部

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