SNSフォロワー数が急増で話題! 中国人観光客を「青森県」に惹き付ける意外な「食べ物」と影を落とす“国内事情”

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中国の旧正月(春節)が始まった。2月10日からの8連休で、延べ90億人が帰省や旅行などで大移動するなか、日本の「人気観光スポット」として本州最北端の青森県が急浮上しているという。なぜ、青森なのか?――その秘密を探った。
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中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」の“異変”に注目が集まっている。青森県がウェイボーに開設した公式アカウントのフォロワー数が130万8000人に達し、動画の累計再生回数も665万回を超える異例の事態となっているのだ。
「同じウェイボー内で、たとえば大阪府のフォロワー数は14万7000人、神奈川は9万4000人、佐賀8万人など、他府県と比べても青森はケタ違いの関心の高さです。中国人の投稿を見ると〈八甲田山のスキー場〉や〈新鮮な海産物〉などが絶賛されていますが、いずれも青森に限ったスポットやグルメではない。実をいえば、中国人の間で青森がここまで突出した人気となっている理由はよく分かっていません」(民放キー局記者)
そこで、当の青森県に訊ねてみると、
「ウェイボーにアカウントを開設したのが2011年。以降、中国の方から質問が寄せられれば『WeChat(中国のSNS)』で回答したりと、地道に継続して情報発信してきた結果ではないかと考えています」(同県誘客交流課)
と話した。しかし、これで「納得できた」と考える人は少ないのではないか。
青森県を訪れる外国人旅行客は2019年まで年々増えていたが、コロナ禍を境に減少。それでも「昨年8月以降はコロナ前の7割程度の水準にまで戻りつつある」(同)という。
同県の宿泊施設関係者によると、
「中国や台湾からの旅行者が最近、増えているのは事実です。ただ団体客だと直行便でまず東京や仙台に降り立ち、幾つかの名所などを回ったあとに青森へやってくる人が多い。一方で単独や少人数で来る若い世代は、青森を目的に訪日した人が多い印象です」
そんな「青森人気」の背景について、中国事情に詳しいインフィニティ・チーフエコノミストの田代秀敏氏がこう話す。
「実は昨年から私のもとに、“完全無農薬栽培”で話題になり、映画化もされた同県弘前市のりんご農家がつくった『奇跡のりんご』に関する問い合わせが増えていました。中国では日本の高品質の果物は“超”のつくプレミア商品。たとえば北京の富裕層向けスーパーでは日本の高級な桃やりんごが1個数万円で売られていたりします。でも日本に行けば同じ品質のものが数百円程度から買えるとあって、日本の果物は以前から“安全で美味”な食材として人気が高かった。『奇跡のりんご』に関する書籍は中国でも翻訳発売されていて、その存在を知る人は想像以上に多いそうです」
中国人が「安心・高品質」な日本産食材を求める裏側には「国内の根深い食品汚染問題がある」と話すのは現地の日本人ジャーナリストだ。
「経済発展とともに、中国においても『食の安全性』は昔と比べると格段に向上しましたが、それでも残留農薬や食品添加物の問題はいまも消えていない。なかでも果物は防腐剤など化学物質が広く使用されているとの指摘が以前からあり、中国人にとって“無農薬でおいしいフルーツ”は、庶民には手の届かない貴重品になっている。近年、中国人富裕層が高価な日本産食材を旺盛に買い求めているのも、自国産に対する不安の裏返しといった面があります」
一方、違った角度から興味深いエピソードを披露するのは前出・田代氏である。
「周囲の中国人と話をしていると、彼らが青森を“日本のなかの異郷”として、まるで“少数民族自治区に行く”感覚で訪れているように感じます。青森の雪景色も十和田湖もねぶた祭も“ソコに行かないと見ることのできない”――その希少性に強く惹かれているようです。青森以外にも中国人に人気のスポットは幾つかありますが、変わったところではトヨタの自動車工場や道路上のカーブミラーが挙げられます。トヨタの工場を見学した中国人は『なんて清潔で機能的なんだ』と驚き、日本のカーブミラーを目にして『鏡面を拭いている人を見かけないのに、なぜいつもピカピカなんだ』と目を丸くする。中国のカーブミラーは曇って役に立たないのが普通なので、不思議で仕方ないようです。つまり中国人のツボにハマる“日本のアメージングスポット”は、私たちの想像を超えていくケースもある」
青森にひと足早い“春”は訪れるか。
デイリー新潮編集部

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