「ルーズソックス」「厚底ブーツ」「ヘソだしルック」が再流行 “コギャル”を復活させた渋谷で大人気「Y2K」ブームの意外な裏側

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センター街を闊歩する女子高生の足元に、ルーズソックスや厚底のアムラーブーツ――。今、渋谷で“コギャル”ルックが再流行しているという。その背景にある「韓国アイドル」の存在と、Z世代との意外な親和性をリポートする。【鈴木ユーリ/ライター】
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【写真を見る】「えっ、こんな美形だったの!?」伝説の“黒ギャルのカリスマ” 驚きの今の姿とゴリゴリ時代の超イケイケ写真 渋谷を歩く女子高生のあいだで“コギャル”ルックが再流行している。昨年の「マイナビ」トレンドランキングでは「ルーズソックス」が上半期1位に輝き、今夏には“ヘソだしルック”などの懐かしの平成ファッションもリバイバル。人気のSNS「TikTok」で「#平成ギャル」と検索すれば、ド派手なつけまつ毛をカールさせ、カーディガンを腰巻きにした制服ギャルファッションの投稿で溢れている。

20年以上の時を経て“復活”(01年撮影) しかし、なぜ今になってコギャルがブームなのか? 答えはZ世代を中心に流行っている2000年代ファッション「Y2Kブーム」にあるという。 今から20年以上前、「2000年問題」や「ミレニアム」にわいた時期によく耳にした「Y2K」。Year 2000を省略した“Y2K”(kは1000倍の意)を指し、つまり「Y2Kブーム」とは、2000年前後に流行ったファッションやアイテムをあらわす言葉になる。 この現象は日本国内にかぎったことではなく、世界中で流行中だ。インスタグラムでは「#y2k」というタグが付いた投稿はなんと400万件にもおよび、モード界でもカルバン・クラインなどの有名ブランドが、近年こぞって「Y2K」を意識したコレクションを発表している。ところが、日本のムーブメントは少し様相が違うのだ。“コギャル復活”の理由 世界的な潮流とは異なり、日本では懐かしのギャル雑誌「egg」(WEB版)で「コギャル復活」という形で「Y2Kブーム」があらわれている。今や小学生まで「平成ギャル可愛い!」とブームになっている現象はどうやって生まれたのだろうか?“黒ギャルのカリスマ”として「SOUL SISTER」など数々のギャル雑誌で表紙を飾ってきたモデルのみぽちサンはいう。「日本での『Y2K』の火付け役はTWICEとかの韓流アイドル。『Y2Kブームをアジアに置きかえたら、日本のギャルじゃない?』って、ライブやPVの衣装でルーズソックスを穿いたりして、若い子がみんな憧れるようになったっぽい。みほ的には中学の頃からずっとギャルだから、勝手に復活してくれてラッキーすぎるんだけど?(笑) だってもっとゴリゴリのギャルだった昔の写真とか、SNSに上げたらいつもより全然、やばいくらい『いいね!』がつくの」 みぽちサンが“ギャル”になった2000年代とは、流行の先端を走り、渋谷の街を舞台にした「egg」をはじめとする、多くのギャル系ファッション誌が売れに売れていた時代だ。ちょうどこの時期に生まれたのが、現在Y2Kブームの当事者であるZ世代――。没個性に悩み、目立てばすぐ叩かれる令和世代には、メイクも盛り髪も、何もかもがド派手だった「平成ギャルファッション」が眩しく映るのだという。ギャルは“場面” K-POPアイドルを火付け役に、一昨年あたりから一気に爆発したY2Kブームの波は、もはやファッションだけにとどまらない。Z世代の若者の間では、ファッションはギャルほど派手に着飾らずとも、心にギャル精神を持つ「マインドギャル」なる言葉も流行しているのだとか。「そらそうよ。え、知らないの?」 と言うのは前出のみぽちサン。笑ってるが、目の奥はけっこう真剣だ。「ファッションの流行は変わってもギャルは永遠じゃん。だってギャルって本当にファッションじゃなくてマインドなんだよ。なんにも縛られないし、いつも自由なのがギャル。モテとか意識して男に媚びるとかマジなくって、いつでも自分の好きなカッコとかメイクしてて、他人の眼とか気にしないから、へーきで道ばたとか溜まったりするし(笑)。でもギャルはいつだって“場面”じゃん、みほなんて人生がもう“場面”じゃん。なんかそこへんが、今の時代とか若い子に合ってるっぽくない?」「リバイバル」にあらず みぽちサンの言う“場面”とは、「その時の気分や状況で、自分の好きに行動する」「その場その場で楽しめば、人生それでいい」という昔から伝わるギャル用語だ。 そんなギャル特有の底抜けに明るいノリや、誰にも振りまわされずハッキリと自分の意見を言う「マインド」が、既存社会の価値観に合わせるのではなく、自らの価値観で生きようとしている若者の憧れの対象となっている。 街で声を聞けば、Z世代にとって「Y2Kブーム」とは、もはや“ギャル・マインド”をあらわすファッションではあっても、「2000年代のリバイバル」という意味合いすら少なくなっているという。 ルーズソックスに鼻の下を伸ばしながら、ノスタルジーを感じているのはおじさん世代だけ。令和の女子高生たちは、大人たちの視線を歯牙にもかけず、誰にも縛られない未来を目指している。鈴木ユーリ(すずき・ゆーり)ライターデイリー新潮編集部
渋谷を歩く女子高生のあいだで“コギャル”ルックが再流行している。昨年の「マイナビ」トレンドランキングでは「ルーズソックス」が上半期1位に輝き、今夏には“ヘソだしルック”などの懐かしの平成ファッションもリバイバル。人気のSNS「TikTok」で「#平成ギャル」と検索すれば、ド派手なつけまつ毛をカールさせ、カーディガンを腰巻きにした制服ギャルファッションの投稿で溢れている。
しかし、なぜ今になってコギャルがブームなのか? 答えはZ世代を中心に流行っている2000年代ファッション「Y2Kブーム」にあるという。
今から20年以上前、「2000年問題」や「ミレニアム」にわいた時期によく耳にした「Y2K」。Year 2000を省略した“Y2K”(kは1000倍の意)を指し、つまり「Y2Kブーム」とは、2000年前後に流行ったファッションやアイテムをあらわす言葉になる。
この現象は日本国内にかぎったことではなく、世界中で流行中だ。インスタグラムでは「#y2k」というタグが付いた投稿はなんと400万件にもおよび、モード界でもカルバン・クラインなどの有名ブランドが、近年こぞって「Y2K」を意識したコレクションを発表している。ところが、日本のムーブメントは少し様相が違うのだ。
世界的な潮流とは異なり、日本では懐かしのギャル雑誌「egg」(WEB版)で「コギャル復活」という形で「Y2Kブーム」があらわれている。今や小学生まで「平成ギャル可愛い!」とブームになっている現象はどうやって生まれたのだろうか?
“黒ギャルのカリスマ”として「SOUL SISTER」など数々のギャル雑誌で表紙を飾ってきたモデルのみぽちサンはいう。
「日本での『Y2K』の火付け役はTWICEとかの韓流アイドル。『Y2Kブームをアジアに置きかえたら、日本のギャルじゃない?』って、ライブやPVの衣装でルーズソックスを穿いたりして、若い子がみんな憧れるようになったっぽい。みほ的には中学の頃からずっとギャルだから、勝手に復活してくれてラッキーすぎるんだけど?(笑) だってもっとゴリゴリのギャルだった昔の写真とか、SNSに上げたらいつもより全然、やばいくらい『いいね!』がつくの」
みぽちサンが“ギャル”になった2000年代とは、流行の先端を走り、渋谷の街を舞台にした「egg」をはじめとする、多くのギャル系ファッション誌が売れに売れていた時代だ。ちょうどこの時期に生まれたのが、現在Y2Kブームの当事者であるZ世代――。没個性に悩み、目立てばすぐ叩かれる令和世代には、メイクも盛り髪も、何もかもがド派手だった「平成ギャルファッション」が眩しく映るのだという。
K-POPアイドルを火付け役に、一昨年あたりから一気に爆発したY2Kブームの波は、もはやファッションだけにとどまらない。Z世代の若者の間では、ファッションはギャルほど派手に着飾らずとも、心にギャル精神を持つ「マインドギャル」なる言葉も流行しているのだとか。
「そらそうよ。え、知らないの?」
と言うのは前出のみぽちサン。笑ってるが、目の奥はけっこう真剣だ。
「ファッションの流行は変わってもギャルは永遠じゃん。だってギャルって本当にファッションじゃなくてマインドなんだよ。なんにも縛られないし、いつも自由なのがギャル。モテとか意識して男に媚びるとかマジなくって、いつでも自分の好きなカッコとかメイクしてて、他人の眼とか気にしないから、へーきで道ばたとか溜まったりするし(笑)。でもギャルはいつだって“場面”じゃん、みほなんて人生がもう“場面”じゃん。なんかそこへんが、今の時代とか若い子に合ってるっぽくない?」
みぽちサンの言う“場面”とは、「その時の気分や状況で、自分の好きに行動する」「その場その場で楽しめば、人生それでいい」という昔から伝わるギャル用語だ。
そんなギャル特有の底抜けに明るいノリや、誰にも振りまわされずハッキリと自分の意見を言う「マインド」が、既存社会の価値観に合わせるのではなく、自らの価値観で生きようとしている若者の憧れの対象となっている。
街で声を聞けば、Z世代にとって「Y2Kブーム」とは、もはや“ギャル・マインド”をあらわすファッションではあっても、「2000年代のリバイバル」という意味合いすら少なくなっているという。
ルーズソックスに鼻の下を伸ばしながら、ノスタルジーを感じているのはおじさん世代だけ。令和の女子高生たちは、大人たちの視線を歯牙にもかけず、誰にも縛られない未来を目指している。
鈴木ユーリ(すずき・ゆーり)ライター
デイリー新潮編集部

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