エリザベス女王の国葬での「マスクの色」事情を振り返る。日本でも葬儀では「黒マスク」が好ましいのか

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天皇皇后両陛下がエリザベス女王の国葬に出席され、「マスクの色」に注目が集まりました。9月17日に皇居・御所を出発されたときは、両陛下は白い不織布マスクをつけていましたが、同日、ロンドン郊外のスタンステッド空港に到着された際には、黒い不織布マスクに。両陛下に同行した皇宮警察も、同じように黒いマスクをつけていました。
9月19日、エリザベス女王の国葬では、両陛下のノーマスク姿も注目を集めました。イギリスから国葬へ招待された各国の元首たち約500人の大半は、葬儀が行われたロンドンのウェストミンスター寺院へ向かうためにバスを利用。両陛下にとって、各国の元首の多くは旧知の間柄です。挨拶の場面はあったものの、国際的な儀礼の場であり、黙とうを捧げる場なので、大きな声を張り上げる人やおしゃべりに興じる人はいません。
天皇陛下は親交の深かったエリザベス女王との最後のお別れをすると、同日夜、帰国の途に。9月20日、羽田空港の貴賓室にて秋篠宮殿下ご夫妻、イギリス大使などのお迎えを受けたとき、両陛下は白い不織布マスクをつけていました。 両陛下の「黒いマスク」、イギリスSPの「白いマスク」両陛下が英国で黒いマスクにつけかえたのは、2021年4月17日に行われたフィリップ王配の葬儀にならったのではないでしょうか。このときの葬儀はパンデミック対策への配慮もあり、参列者は近親者30人のみに限られました。葬列の行進は屋外なのでノーマスク、葬儀が執り行われたセント・ジョージ礼拝堂では、マスク着用とソーシャルディスタンスが義務付けられ、エリザベス女王をはじめ全員が黒いマスクをつけました。
今回、エリザベス女王の国葬に際して宿泊先となったロンドンの名門ホテル「クラリッジズ」では、両陛下の警備を担当するSPは白い不織布マスクをつけて待機していました。2022年2月、イギリスでは新型コロナウイルスの規制が撤廃されたため、マスクをつける人はほとんどいません。おそらく、SPたちは日本の皇室にならって白いマスクをつけたのでしょう。日英両国の配慮がうかがえる印象的なシーンが見られました。
日本人にとって、もともとなじみ深い「マスク」一般的にマスクは、次の3つの種類があります。
1. 産業用マスク:主に工場などで防塵(ぼうじん)のために使用される2. 医療用マスク:主に医療現場で感染防止用のために使用される。サージカルマスクとも呼ばれ、主に外科の手術に用いられることから、手術着と同じ青や緑が普及している3. 家庭用マスク:カゼ、ウイルス、花粉、PM2.5対策などの目的で日常的に使われる。布製マスク(ガーゼ)、不織布マスク、ウレタンマスクなどがあり、ファッション性を考慮した製品も多い
日本には約2000万人もの花粉症患者がいるため、家庭用マスクが普及しています。日本では、家庭用マスクを製造・販売する企業はすでにあり、新型コロナウイルスを1つのきっかけに、ユニクロ、シャープなどの大企業も新規参入しました。
一方、花粉症は海外にも症例はありますが、日本のように深刻な状況ではないため、日常的にマスクをつける習慣はありません。イギリスでマスクをつける人が少ないのは、そもそも家庭用マスクの流通量が少ないことも要因の1つでしょう。 イギリス王室ではマスクをファッションアイテムとしても愛用?ちなみに、イギリス王室のキャサリン皇太子妃は「アマイア(Amaia Kids)」というブランドのリバティプリントの布製マスクを愛用していました。ファッションとマスクのコーディネートが行き届いているので、専属のスタイリストがマスクもファッションの一部として用意したのでしょう。ベルギー王室のマティルド王妃、モナコ公国のシャルレーヌ公妃なども、布製のマスクを愛用していました。
一方、皇后陛下雅子さま、スペイン王室のレティシア王妃、デンマーク王室のメアリー皇太子妃などは、不織布マスクをつけた姿が確認されています。雅子さまは白ですが、レティシア王妃やメアリー皇太子妃は青が多かったようです。 葬儀のマスクは黒が正解?2021年4月17日のフィリップ王配の葬儀では、エリザベス女王など全員が黒いマスクをつけました。2020年6月17日、モナコ公国でアルベール2世大公の従姉にあたるエリザベート=アンヌの葬儀が行われた際は、黒いマスクが多かったものの、白や青のマスクも見られました。

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