ビッグモーター「高給保証」でいまだ反省も危機感もナシ 関係者が明かした「信頼回復はムリ」な呆れた社内事情

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業績の急速な悪化によって“スポンサー探し”に奔走する中古車販売大手「ビッグモーター」だが、驚くことに「社内の危機感はいまも希薄」なのだという。その裏側を取材すると、世間の感覚とはズレまくった同社の“呆れるほかない”内部事情が透けて見えてきた。
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【写真を見る】「さすがにデカすぎ」成金趣味全開な“20億円の自宅”には茶室に噴水、滝まで… 兼重氏が住む約500坪の大豪邸と、別荘2棟の全容をみる 8月以降、中古車販売台数は例年より7割超減少し、買い取り台数も半減したと伝えられるビッグモーター。取引のある銀行団も融資を引き揚げ、資金繰りが逼迫するなか「10月末までに支援企業を選定」し、経営再建を目指す意向を表明している。しかし金融庁による立ち入り検査や街路樹問題で警察当局の捜索を受けるなど、同社を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。

問題山積! 当然、“社内はさぞ、不安と悲壮感に包まれているだろう”と思いきや、「内情は大きく異なる」と明かすのは同社関係者だ。「私の周りにいる社員の危機感は正直、非常に薄いです。実際、お客さんが来なくなってヒマになったため、この8月に10日間の海外旅行に出かけていた社員もいた。“ま、何とかなるっしょ”と口にして、呑気に構えている社員は少なくありません」 その背景には、ビッグモーターが8月に発表した「今後、半年間、歩合給(マージン)を補填する」との方針があるという。車の販売などで得られる利益の一定割合が社員の給与に反映される「インセンティブ制度」を指すが、営業職だけでなく、板金や保険業務に携わる社員も対象とされる。つまり実績に関係なく、高水準のマージンがいまだ多くの社員に保証されているというのだ。マージンだけで「月100万円」「営業職の場合、補填額の算定は“1年でも稼ぎのいい時期に当たる”4~6月の平均マージン額をもとに算出され、さすがに社内からも“大盤振る舞い”との声が上がっています。社員の給与は基本給とマージンで成り立っていますが、マージンの占める割合が大きく、基本給だけでは生活できない社員も少なくない。マージン額はケースバイケースですが、だいたい下のランクで月15万円前後、上のランクだと月100万円を超える社員もいると聞きます」(同) ただし売上が激減しているため補填の原資を捻出しようと、ビッグモーターは9月以降、整備工場併設の店舗で500万円、買い取りがメインの小型店舗で250万円の利益の上積みを求めている。「そもそも客が来ないので“目標達成はとてもムリ”と社員同士でも囁き合っている。なかには“とりあえず、補填が続く間はいるわ。なくなったら辞める”と堂々と宣言する社員もいて、士気を高めるより“(マージン補填は)モラルハザードを生んでいる”と指摘する声が社内にもある。実際、いま残っている社員は、会社の建て直しや顧客からの信用を取り戻すといった責任感からでなく、もっぱら生活やお金のために“あえて辞めない”選択をしている人が多い印象です」(同) 悪評が立ち「転職が難しい」という事情も影響しているというが、“懲りてない”とも映ってしまう……。ビッグモーターにマージン補填の理由を訊くと「社員の生活の安定向上を図るため」と回答した。「カネの切れ目」で一斉退職 別の同社関係者が補足する。「もともとビッグモーターには40代以上の社員が他の一般企業と比べて少ないという特徴があります。連日の残業や過酷なノルマなどで心身を病んだり、嫌気がさして転職していく人間が絶えなかった。必然、いまの社員で主流を占めるのは“稼げるからビッグモーターにいる”といったイケイケ系タイプ。言葉を換えれば、ドライな感覚の社員が多いので“カネの切れ目が縁の切れ目”となりかねない。会社が迷惑をかけた関係者や被害者への補償よりも社員を優遇するのは、給与を保証しないと一斉離職を招き、組織が一気に崩壊しかねないからです」 組織の維持に躍起となっているためか、「8月以降、退職を申し出た社員に配置転換や異動、減給の可能性をチラつかせ、脅しなだめて翻意させる」(前出・社員)ケースも増えているという。ビッグモーターに事実確認を求めると、「個別の事案につきましては、回答を控えさせていただく。具体的な情報を把握した事案については適切に確認、対応を進める」と答えるにとどまった。 本社が六本木ヒルズ(都内港区)から多摩市へと“都落ち”しようとも、社員の意識は一朝一夕に変わらないようだ。「全社員一丸となって信頼回復に努めていきたい」との新社長の言葉もむなしく響く。デイリー新潮編集部
8月以降、中古車販売台数は例年より7割超減少し、買い取り台数も半減したと伝えられるビッグモーター。取引のある銀行団も融資を引き揚げ、資金繰りが逼迫するなか「10月末までに支援企業を選定」し、経営再建を目指す意向を表明している。しかし金融庁による立ち入り検査や街路樹問題で警察当局の捜索を受けるなど、同社を取り巻く環境は悪化の一途をたどっている。
当然、“社内はさぞ、不安と悲壮感に包まれているだろう”と思いきや、「内情は大きく異なる」と明かすのは同社関係者だ。
「私の周りにいる社員の危機感は正直、非常に薄いです。実際、お客さんが来なくなってヒマになったため、この8月に10日間の海外旅行に出かけていた社員もいた。“ま、何とかなるっしょ”と口にして、呑気に構えている社員は少なくありません」
その背景には、ビッグモーターが8月に発表した「今後、半年間、歩合給(マージン)を補填する」との方針があるという。車の販売などで得られる利益の一定割合が社員の給与に反映される「インセンティブ制度」を指すが、営業職だけでなく、板金や保険業務に携わる社員も対象とされる。つまり実績に関係なく、高水準のマージンがいまだ多くの社員に保証されているというのだ。
「営業職の場合、補填額の算定は“1年でも稼ぎのいい時期に当たる”4~6月の平均マージン額をもとに算出され、さすがに社内からも“大盤振る舞い”との声が上がっています。社員の給与は基本給とマージンで成り立っていますが、マージンの占める割合が大きく、基本給だけでは生活できない社員も少なくない。マージン額はケースバイケースですが、だいたい下のランクで月15万円前後、上のランクだと月100万円を超える社員もいると聞きます」(同)
ただし売上が激減しているため補填の原資を捻出しようと、ビッグモーターは9月以降、整備工場併設の店舗で500万円、買い取りがメインの小型店舗で250万円の利益の上積みを求めている。
「そもそも客が来ないので“目標達成はとてもムリ”と社員同士でも囁き合っている。なかには“とりあえず、補填が続く間はいるわ。なくなったら辞める”と堂々と宣言する社員もいて、士気を高めるより“(マージン補填は)モラルハザードを生んでいる”と指摘する声が社内にもある。実際、いま残っている社員は、会社の建て直しや顧客からの信用を取り戻すといった責任感からでなく、もっぱら生活やお金のために“あえて辞めない”選択をしている人が多い印象です」(同)
悪評が立ち「転職が難しい」という事情も影響しているというが、“懲りてない”とも映ってしまう……。ビッグモーターにマージン補填の理由を訊くと「社員の生活の安定向上を図るため」と回答した。
別の同社関係者が補足する。
「もともとビッグモーターには40代以上の社員が他の一般企業と比べて少ないという特徴があります。連日の残業や過酷なノルマなどで心身を病んだり、嫌気がさして転職していく人間が絶えなかった。必然、いまの社員で主流を占めるのは“稼げるからビッグモーターにいる”といったイケイケ系タイプ。言葉を換えれば、ドライな感覚の社員が多いので“カネの切れ目が縁の切れ目”となりかねない。会社が迷惑をかけた関係者や被害者への補償よりも社員を優遇するのは、給与を保証しないと一斉離職を招き、組織が一気に崩壊しかねないからです」
組織の維持に躍起となっているためか、「8月以降、退職を申し出た社員に配置転換や異動、減給の可能性をチラつかせ、脅しなだめて翻意させる」(前出・社員)ケースも増えているという。ビッグモーターに事実確認を求めると、「個別の事案につきましては、回答を控えさせていただく。具体的な情報を把握した事案については適切に確認、対応を進める」と答えるにとどまった。
本社が六本木ヒルズ(都内港区)から多摩市へと“都落ち”しようとも、社員の意識は一朝一夕に変わらないようだ。「全社員一丸となって信頼回復に努めていきたい」との新社長の言葉もむなしく響く。
デイリー新潮編集部

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