そば屋で「つゆ使い回し」入れてもないワサビの味が…店主は開き直り「忙しいとたまにあるんですよ!」

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そば屋のそばつゆが使い回しだった–。飲食店であってはならないトラブルについての相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者によると、店で出されたそばつゆが、一緒に食べていた友人のものと比べて明らかに薄く、入れてもいないのにワサビの味がしたそうです。「これは前のお客さんが使ったものかもしれない」とすぐに店員を呼んで、新しいものに替えてもらいました。
会計時に店主に話を聞くと「忙しいとたまにあるんですよ!」と言われただけで、謝罪の言葉はありませんでした。
「まったく納得がいきません」と憤慨する相談者。このような場合、店側に慰謝料請求できるのでしょうか。佐藤光子弁護士に聞きました。
–店主が謝罪しないことに対する精神的苦痛について、慰謝料請求はできるのでしょうか?
「慰謝料請求するためには、民法上の不法行為が成立しなければなりませんが、そのためには加害者の故意過失、違法行為、損害の発生、因果関係が必要です。
そば屋は、蕎麦つゆが使い回しであることは認識しているので、故意はあるといえます。損害は、この行為に対して、店主からの謝罪がなかったことによる客の精神的苦痛になります。
あとは、違法行為があるといえるかです。
過去に高級料亭の船場吉兆が、食べ残し料理を別の客に出していたことが問題になったことがありましたが、新聞報道によると、厚生労働省は『食品衛生法は、腐敗などで健康を損なう恐れがある食品の販売を禁じているが、食べ残しの使い回しを禁止する規定はなく、違法行為ではないが、不適切だ』という趣旨のコメントをしていました。
他の客の食べ残しの使い回しは、モラルの問題はあるものの、健康被害が発生していない場合は、慰謝料の発生する違法行為とまでいえるかは、難しいかもしれません。
また、日本では、慰謝料が認められる場合でも低額の傾向がありますので、実際のところ、今回のケースは、慰謝料を請求することは難しいのではないでしょうか」
厚生労働省の担当者は取材に、「現在も食品衛生法での規定はありませんが、良いことではありませんので、食べ残しの使い回しにあった場合、店が管轄する保健所に相談をしていただけたらと思います」と話した。
【取材協力弁護士】佐藤 光子(さとう・みつこ)弁護士企業法務、民事の交渉・訴訟を注力分野とし、食品関連法務(食品表示、食品衛生、トラブル対応)、エネルギー関連法務、病院経営など特色のある分野にも対応している。法的解決のみならず、企業の社会的価値を損なわない解決を常に目指す。事務所名:虎ノ門法律経済事務所事務所URL:http://www.t-leo.com/

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