「賃貸か? 持ち家か?」はよく議論に上がるテーマですが、ブログやYouTubeを通じて著名人が「家買うのはバカ」と言う人が多くいます。この言葉を発信する人たちの多くが投資家であり、家を購入されてしまうと彼らにとって不都合になってしまうのです。そして、この言葉を信じ家を購入しなかった人たちを待ち受けるのは「悲惨な将来」だと筆者は考えます。
前編記事『「賃貸を選ぶ人」はまんまとハメられている!「家を買うのはバカ」「家は資産にならない」…その裏に隠された“ある人たち”のヤバすぎる思惑』に引き続き、なぜ不都合なのか、賃貸に住み続けることの恐ろしさを述べていきます。
さて、「家を買うのはバカ」ということについて、もう一つ別の視点で見てみましょう。
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家賃というのは、サブスクです。「サブスク」はサブスクリプションの略で、商品を所有するのではなく、一時的に利用する権利を購入するものです。
それに対して住宅ローンは、家を購入するために銀行にお金を借り、その借りたお金を分割して支払う、家は自分の資産です。つまり賃貸は賃貸に住む限り、未来永劫に家賃を払い続けても絶対に自分のものにはならないということになります。
よく考えてみてください。
不動産という原本はそのまま存在し、家賃だけが収入として入り続けます。賃貸不動産は下記のような形で利益が循環していくのです。
土地取引により、不動産会社が儲かる↓賃貸物件の建築により、建設会社が儲かる↓融資により、銀行が儲かる↓消費税や不動産取得税、印紙税などがかかることで税収が増え、国や地方自治体が潤う↓入居に際して、またもや不動産会社が儲かる↓家賃保証会社が儲かる↓火災保険・地震保険の契約により保険会社が儲かる↓投資家は当然儲かる
単純に、「儲かる人がいる」ということは「損をする人がいる」ということですので、ひどい話、損をするのは賃貸利用者だけなのです。
これだけいろいろな人を儲けさせてくれる賃貸利用者が持ち家に移行していなくなると、どうなるか。
土地取引により、不動産会社が儲かる(一時的)↓家の建築により、建設会社が儲かる↓融資により、銀行が儲かる↓消費税や不動産取得税、印紙税などがかかることで税収が増え、国や地方自治体が潤う↓火災保険・地震保険の契約により保険会社が儲かる
となり、投資家や不動産会社はもちろん、家賃保証会社も儲けがなくなってしまいます。そういった事情から、家を購入することによって儲からなくなる人々が必死になって「家を買うやつはバカ」と情報を操作しているのです。
家を買わない選択というのは当然あるのですが、家を買わない選択をした結果、どういう問題が起きるのかを考えます。
特に老後のことなのですが、賃貸利用者の一方的な意見で、「これから少子高齢化でアパートは余るから、家主は入居者に困ってどんな条件でものむだろう」という理屈は、インターネットでも言われていることですが、この条件は成り立たないと筆者は考えます。
なぜなら、いまだに高齢者の4人に1人が賃貸を借りられないと言われており、家主は孤独死などを懸念して、なかなか貸したいと思えないみたいです。
こういった点からもインターネットで展開されている、「家を買うやつはバカ」理論は、不動産業界等の勝手な都合の良い理屈に過ぎないのです。
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まず、あなたが家主になったとして、考えてみてください。あなたは、アパートのオーナーです。ある老人に部屋を貸しました。
その老人は貸した部屋で孤立死しました。異臭がするとの通報で発見されました。アパートは腐敗臭で、ほとんどの住民が出ていきました。
オーナーには、アパートの改修費用がのしかかります。この場合の改修費用は想像以上にかかります。人間の腐敗臭はひどいので、床、壁、天井の張替え程度では取れません。基礎組も作り替えなくてはならない場合すらあります。
なんとか改修して、自然死の場合でも遺体の状況によっては告知事項となり、3年間の告知義務が発生するため、「事故物件」となるので、安い賃料でしか貸せません。
最悪の場合、「大島てる」のようなサイトに投稿され、「幽霊が出る」「呪われている」と風評が立ちます。
さらに悲惨なことに、亡くなった老人に資産はなく、遺族は改修費の請求を「相続放棄」で逃れます。
遺体の処理にかかった特殊清掃費(100万円以上)もオーナーの出費です。月に4万円の家賃が欲しかったために、数百万円の損と、誰も入居しないアパートが残るというのが現実です。
そういったリスクがあると知って、あなたがアパートのオーナーで独居老人に貸しますか?
おそらく積極的に貸す人はいないと思います。つまり、「家がないと老後住むところを探すのはかなり難しい」ということです。
当然これは、家という資産のある人は対象になりません。家という資産がある人は、家を売って老人ホームに入る選択肢もあるため問題なく、家という資産がない人の問題なのです。
なぜ家という資産がないのでしょう?
その答えは、「家賃という費用を払い続けたから、資産形成ができなかった」ということになります。
実際に、民間のアパートで生活する独居老人の生活保護の比率は、とても高いです。なぜなら、納税しない人は公営住宅の入居は難しく、生活保護の場合、民間の賃貸住宅に入居しなくてはならないためです。
現実に、こういう老人の生活は、民間のアパート経営者が受け入れることで解決しています。何らかの事件事故が発生しても、アパートのオーナーの個人的負担により解決しているのが実情です。
そこでもう一度思い出してください。
「家を買うやつはバカ」
これをインターネットで発信しているのは、投資家や不動産会社なのです。つまり彼らは、家を買うことを阻止して未来永劫に家賃の支払いを発生させ、賃貸利用者や賃貸物件オーナーがどれだけ損をしようと関係ない、とも考えているわけです。
さて、ここまで「家を買うやつはバカ」という情報を否定したので、実際に家を買わないメリットについて考えたいと思います。
家を買わないメリットでよくあげられているのが、「転居が簡単」です。
なるほど確かに転居は簡単ですが、みなさんそんなに転居したいですか? 簡単に転居したいのであるなら、なぜ転勤を嫌がるのでしょうか?
ということで、家を買わないメリットというのは、実はほとんどないのです。つまり、「家を買うやつはバカ」という情報自体が空論であるため、その空論を基にした、「家を買う、家を買わない」議論自体が成立しないのです。
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「有名な人が言っているから」「この人が言うなら本当かも」などと他人の言葉に振り回されず、言葉の真意をよく考えてみることが大切です。
生きている限りどこかに住まなければいけません。20代や30代のうちはいいですが、60代、70代になっても家賃を払い続けますか? 家を30代で購入した人たちは70代になる頃にはローンの支払いが終わっています。
かたや賃貸に住み続けている人たちは70代を超えても6万円や8万円、都内であれば10万を超えるでしょう。その金額を払い続けなければいけないのです。
家を買わない理由として自分なりの考えや事情をお持ちなら、賃貸に住み続けるのも一つの選択肢です。ただ、「家を買うやつはバカ」と言う言葉を信じて購入しないのであれば、もう一度よく考えてみてください。
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