【詳報】新聞ではとても書けない「京アニ」初公判で青葉被告が語ったこと《女性監督に恋愛感情を持ち、直接襲おうと…法廷で公開された動画》

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年7月18日、京都アニメーション(京アニ)の第1スタジオ(京都市左京区)が放火されて、36人が死亡、32人が重軽傷となった前代未聞の事件から4年。殺人、殺人未遂、現住建造物放火、銃刀法違反などの罪に問われた青葉真司被告(45歳)の初公判が9月5日、京都地裁で開かれ、「現代ビジネス」記者も傍聴した。
事件当時、火を放った際に全身に93%ものやけどを負った青葉被告は、背もたれが後方に倒せる特別の車椅子を刑務官に押されながら法廷に現れた。
防犯カメラに映し出されていた青葉被告
検察の公訴事実について、坊主頭で青の長袖ジャージ姿の青葉被告はこうすらすら述べた。
「私のしたことに間違いありません。事件当時、こうするしかないと思っていた。こんなたくさんの人が亡くなるとは思っておりませんでした。現在はやりすぎだと思っています」
起訴事実は認めたものの、そこに謝罪の弁はなかった。
青葉被告の顔や首筋にはまだやけどの跡が鮮明に残っており、手の指もまっすぐに伸ばせない様子だった。弁護士は、心神喪失もしくは心神耗弱の状態で事件を起こしたとして、責任能力を争う無罪を主張。有罪判決になったとしても減刑するようにと訴えた。
法廷には50人ほどの遺族や被害者も傍聴しており、青葉被告の身勝手な無罪主張には険しい表情を見せる人もいた。
今回の初公判で注目されたのは、これまで判然としなかった犯行動機と具体的な犯行の状況だ。これまでも青葉被告は「執筆していた小説をパクられた」と主張していたことが明らかになっていたが、検察は犯行動機について、「小説のアイデアを京アニや所属のアニメーターに盗用されたと一方的に思い込んだ」「公安につきまとわれている」という思い込みや妄想に起因するとした。
青葉被告は京アニ作品に感動して小説を書き始めたという。これまで2度、窃盗や強盗で逮捕されているが、刑務所にいたときも小説執筆をあきらめなかった。ネット掲示板「2ちゃんねる」で、京アニで監督も務める女性アニメーターAさんから「アドバイスをもらった」「ほめてもらった」など一方的に思い込んだ。だが事実は異なり、その書き込みはAさんとは別の人物によるものだったが、青葉被告は「ネット上で好意、恋愛感情を抱くようになった」(検察側冒頭陳述)という。
青葉被告は、長編と短編でそれぞれ「京都アニメーション大賞」に応募した。「渾身の力作」と自画自賛したものの、いずれも落選した。インターネットの小説サイトにも作品を投稿したが、まったく見向きもされなかった。
前出のAさんはブログを開設していたが、そのAさんの文章を、青葉被告は自分の小説を盗用したと思い込む。さらに京アニの代表作のひとつで、「ツルネ」という高校の弓道部を題材にした青春アニメで「小説がパクられた」と怨念を募らせるようになり、犯行を決意したという。
初公判では傍聴券を求め500人が集まった
検察側は、「青葉被告の自尊心の高さ、疑り深い、うまくいかないと他人のせいにするというパーソナリティが妄想を生み出し、事件に駆り立てた」として、事件は青葉被告のキャラクター、性格によるものだと主張し、「完全責任の能力を有する」とした。
動機は逆恨みだとして、前代未聞の事件を起こした具体的な犯行状況についてはどうか。
事件の1ヵ月前の2019年6月、Aさんへの恨みから自宅のある埼玉県の大宮駅で無差別殺人をしようと、刃渡り20cm以上の包丁6本を買いそろえたが、凶行には至らなかった。
それから1か月後、京アニでAさんを直接襲おうと考えて、7月15日に埼玉県の自宅を出て、ATMで現金5万7千円を引き出して京都に向かった。炎天の中、3日間にわたり京アニ本社や別のスタジオなどを何度も下見した末、第1スタジオにアニメーターが最も多く在籍していることを察知し、現場に選んだ。
京都駅前のネットカフェに入った青葉被告は、京アニ近くのホームセンターを検索し、ガソリンの携行缶、ライター、バケツ2個、ハンマーなどを購入した。
犯行当日はコンビニエンスストアでカップ麺を買い求め、腹ごしらえをしたうえ、京アニの第1スタジオに向かった。午前10時16分ころ、第1スタジオに到着した時の青葉被告の動画が残されており、法廷でも映し出された。
その動画は以下のものだ。いったん第一スタジオ正面玄関から中をのぞいた青葉被告は、わずか7秒で外に出ている。そこで用意していた携行缶からガソリンをバケツに入れ替え、20秒ほどした後、再度玄関から入っていった──。
その後、京アニのスタッフ6人にガソリンをまき散らし、「死ね」と火をつけ、凶行に及んだ。
青葉被告の犯行は冷静で、計画的だ。10時16分に京アニ正面玄関に入るまでのことを、検察は「計画通り放火殺人を実行するか、引き返すか青葉被告は犯行を迷った」と述べている。
「Aさんは成功し、自分はダメだ、小説をパクられすべてを失い、許せない。Aさんだけではなく、京アニの社員も連帯してやってやる」と考えた青葉被告は、「ガソリンに火をつけるときも、京アニのスタッフの至近距離までいき点火」(冒頭陳述)したといい、検察側は責任能力があると訴えた。
だが、青葉被告は大やけどを負い、第1スタジオから逃げ出した。現場から100mほどの路上で倒れこんでいた青葉被告の様子について、京アニのスタッフはこう供述している。「警察のひとがしっかりしろ、何をまいたんやと聞いていた。それが青葉被告だった」「小説をパクられたんやと青葉被告は大きな声で反論していた。ひどいやけどを負っていた、こいつが犯人なんだと思った」今回の裁判では、青葉被告が過去に強盗事件で逮捕された際、「秋葉原無差別殺人事件と同じ心境で事件をやった」と話していたことも明らかになった。初公判を傍聴していたで聞いていた被害者の親族が語る。「青葉被告に責任能力が十分あること、自分勝手な犯行であることはよくわかりました。謝罪も反省もありません。裁判では5回も6回も青葉被告の被告人質問をするそうですが、言い訳するだけでしょう。青葉被告が恨みを抱くきっかけだったという女性監督とのやりとりは、ネットという仮想空間。それに腹が立って作品がパクられたとしてこんな犯行に及んだ。女性監督本人でないこともはっきりしているし、こんな動機で殺されるなんて、言葉もない。こんなやつには、時間をかけずにさっさと極刑の判決をしてほしい」初公判では、検察の証拠の告知でも弁護士にうなずきながら、モニターをチェックしていた青葉被告の様子は、余裕しゃくしゃくのものに見えた。青葉被告自身は、医師をはじめとした多くの人の尽力で命は救われた。生きながらえたからこそ、言い訳ではない真摯な反省の弁を聞きたいところだが……。
だが、青葉被告は大やけどを負い、第1スタジオから逃げ出した。現場から100mほどの路上で倒れこんでいた青葉被告の様子について、京アニのスタッフはこう供述している。
「警察のひとがしっかりしろ、何をまいたんやと聞いていた。それが青葉被告だった」「小説をパクられたんやと青葉被告は大きな声で反論していた。ひどいやけどを負っていた、こいつが犯人なんだと思った」
今回の裁判では、青葉被告が過去に強盗事件で逮捕された際、「秋葉原無差別殺人事件と同じ心境で事件をやった」と話していたことも明らかになった。
初公判を傍聴していたで聞いていた被害者の親族が語る。
「青葉被告に責任能力が十分あること、自分勝手な犯行であることはよくわかりました。謝罪も反省もありません。裁判では5回も6回も青葉被告の被告人質問をするそうですが、言い訳するだけでしょう。青葉被告が恨みを抱くきっかけだったという女性監督とのやりとりは、ネットという仮想空間。それに腹が立って作品がパクられたとしてこんな犯行に及んだ。女性監督本人でないこともはっきりしているし、こんな動機で殺されるなんて、言葉もない。こんなやつには、時間をかけずにさっさと極刑の判決をしてほしい」
初公判では、検察の証拠の告知でも弁護士にうなずきながら、モニターをチェックしていた青葉被告の様子は、余裕しゃくしゃくのものに見えた。青葉被告自身は、医師をはじめとした多くの人の尽力で命は救われた。生きながらえたからこそ、言い訳ではない真摯な反省の弁を聞きたいところだが……。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。