セックスレスでメンタル崩壊寸前。「夫にとって私はただの産む機械?」:京子さんの場合2

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日本では6割の夫婦が陥るといわれるセックスレス。「私も独りよがりで、悲劇のヒロインみたいな気持ちで夫に接していたことを悪かったなと思っています」と語るのは、ヨガインストラクターの京子さん(仮名・36歳)です。夫婦で高度不妊治療のクリニックへ行き、夫の男性不妊が発覚したときの心境について伺いました。
「半年に1回」あるかどうかの頻度だった夫婦生活が、33歳頃、妊活を機に激増。しかし、7歳上の夫との体の相性が改善するわけでもなく、逆に夫婦仲がギクシャクしてしまったという京子さん夫婦。●夫婦で不妊治療の外来へ。衝撃の結果が…子づくりを始めた京子さん夫婦。タイミング法を真面目に半年ほど続けても妊娠に至らず、2人で高度不妊治療ができるクリニックへ行って検査を受けたそう。そこで発覚したのは夫の男性不妊。

「性交後に精子の数や運動を観察するというフーナーテストという検査で、“精子が全死滅”という衝撃的な結果を伝えられました。動いている精子がほとんどいないから、自然妊娠は無理と言われて。あのときは夫も私もショックで言葉が出ませんでしたね。ある意味、躊躇なくステップアップへ踏みきれたのはよかったですけれど、女性側にかかる負担がものすごく大きいことがわかっていたので複雑な気持ちでした」と京子さん。すぐに体外受精へ向けた治療が始まりました。すると予想どおり、京子さんの通院頻度は激増。体調や気分の波も大きく、物理的に動けない日々も増えていったといいます。「元気な精子を取り出して、卵子に注射して受精させる顕微授精という方法ならば可能性があると言われて、もう藁(わら)にもすがる思いでした。当時は保険も効かなかったので全額自費。金銭面の負担もすごかったけれど、私は薬を飲んだり、自己注射をしたり…。採卵して、受精させた卵を戻して…といういちばん苦しいフルコースを全部経験することになったんです。本当にあの頃は心も体もボロボロだったけれど、結果的にうちはそれで子どもを授かれたので、なにも後悔はありません」しかし、もしも結果が伴わなかったら、夫婦関係が全面的に崩壊していたかもというほど。不妊治療が原因で夫婦仲が悪くなるケースは少なくないのではと感じた京子さん。●男性不妊の原因は?女性に降りかかる不妊治療の負担男性不妊の多くは原因不明とされることもありますが、京子さんの夫の場合は、生まれつき片方の睾丸に問題があったことが原因じゃないかと医師に言われたそう。「幼児期に手術をしたとチラっと聞いたことがあったのですが、まさかそれが不妊に影響していたかもしれないなんて。仕方ないですよね。ぜんぜんわからないで、ずっとタイミング法にこだわって時間を無駄にしなくてよかったと思うようにしていますけれど…。男性不妊って改善方法もあまりなくて、食事や生活習慣に気をつけるとか、サプリを飲むとかその程度。なのに体外受精へ踏みきってからは、私はホルモン剤でフラフラになるし、数時間おきに膣剤を入れなきゃいけなかったり…、本当に想像の上をいく大変さ。もう仕事どころではなくなってしまいました。ただ仕事を休んだことで体も休まったので、妊活のためにはよかった気がします」体外受精をスタートさせるときには、事前に職場の人にも不妊治療を始めるという事情を話し、休みを取りやすくしながら過ごしていたそう。けれど親や妹、仲のいい友人には言えなかったと振り返る京子さん。「自分の親も夫側の親も子どもを待ち望んでいるのを知っていたので、不妊治療をしているという話はできませんでした。期待をさせて、ダメだったときに落胆させるのも嫌でしたし。自分たちの親族はもちろん、仲がいい友人にも話しにくかったです。なのに、仕事関係者はたいして親しくなくてもみんな知っているという…。不思議な感じですよね、不妊治療って。だれにどう話すかというのはすごく気を遣いました」と京子さん。不妊治療で再びレス。つらい副作用でメンタルが限界に…交際期間中から淡泊だった夫ですが、タイミング法のときには2日に1回のセックスに取り組む大奮闘をしてがんばりました。しかし体外受精をすることになると、また夫婦生活がパッタリ途絶えてしまったといいます。「まるで義務から解放されたかのように夫は再びまったく私を求めてこなくなりました。性生活をしなくてはというプレッシャーから開放されて安心したようにすら見えました。体外受精のときはもう私の体が限界で、それどころじゃなくなっていたけれど、薬の副作用で生活や仕事に支障をきたすなかで『この人のせいでどうして私ばかりつらい思いをしなくちゃならないのか』と恨みが募っていきました」●私はただの「産む機械」なのかな…この不妊治療中にレスになったことが、気持ち的にいちばんつらかったという京子さん。「夫との子どもがほしくて一生懸命に不妊治療をしながらも“もうこれ以降の人生、女として求められることは二度とないのかもしれない”という悲しさでお先真っ暗な気持ちでした。特段、性行為が好きというタイプでもないですが、それでもかなり苦しかったです。私ってそんなに魅力ないのかなと。この人にとって私ってなんなんだろう? ただの産む機械なの? ひとりになるとそんなことばかり考えてしまいました」実際、治療に使うホルモン剤の副作用で、普段よりもネガティブな思考に陥ってしまう女性は少なくないそう。京子さんの場合は、もともとの夫への性に対する不満と絡み合い、その影響がより色濃く出てしまったのかもしれません。
子づくりを始めた京子さん夫婦。タイミング法を真面目に半年ほど続けても妊娠に至らず、2人で高度不妊治療ができるクリニックへ行って検査を受けたそう。そこで発覚したのは夫の男性不妊。
「性交後に精子の数や運動を観察するというフーナーテストという検査で、“精子が全死滅”という衝撃的な結果を伝えられました。動いている精子がほとんどいないから、自然妊娠は無理と言われて。あのときは夫も私もショックで言葉が出ませんでしたね。ある意味、躊躇なくステップアップへ踏みきれたのはよかったですけれど、女性側にかかる負担がものすごく大きいことがわかっていたので複雑な気持ちでした」と京子さん。
すぐに体外受精へ向けた治療が始まりました。すると予想どおり、京子さんの通院頻度は激増。体調や気分の波も大きく、物理的に動けない日々も増えていったといいます。
「元気な精子を取り出して、卵子に注射して受精させる顕微授精という方法ならば可能性があると言われて、もう藁(わら)にもすがる思いでした。当時は保険も効かなかったので全額自費。金銭面の負担もすごかったけれど、私は薬を飲んだり、自己注射をしたり…。採卵して、受精させた卵を戻して…といういちばん苦しいフルコースを全部経験することになったんです。本当にあの頃は心も体もボロボロだったけれど、結果的にうちはそれで子どもを授かれたので、なにも後悔はありません」
しかし、もしも結果が伴わなかったら、夫婦関係が全面的に崩壊していたかもというほど。不妊治療が原因で夫婦仲が悪くなるケースは少なくないのではと感じた京子さん。
男性不妊の多くは原因不明とされることもありますが、京子さんの夫の場合は、生まれつき片方の睾丸に問題があったことが原因じゃないかと医師に言われたそう。
「幼児期に手術をしたとチラっと聞いたことがあったのですが、まさかそれが不妊に影響していたかもしれないなんて。仕方ないですよね。ぜんぜんわからないで、ずっとタイミング法にこだわって時間を無駄にしなくてよかったと思うようにしていますけれど…。男性不妊って改善方法もあまりなくて、食事や生活習慣に気をつけるとか、サプリを飲むとかその程度。なのに体外受精へ踏みきってからは、私はホルモン剤でフラフラになるし、数時間おきに膣剤を入れなきゃいけなかったり…、本当に想像の上をいく大変さ。もう仕事どころではなくなってしまいました。ただ仕事を休んだことで体も休まったので、妊活のためにはよかった気がします」
体外受精をスタートさせるときには、事前に職場の人にも不妊治療を始めるという事情を話し、休みを取りやすくしながら過ごしていたそう。けれど親や妹、仲のいい友人には言えなかったと振り返る京子さん。
「自分の親も夫側の親も子どもを待ち望んでいるのを知っていたので、不妊治療をしているという話はできませんでした。期待をさせて、ダメだったときに落胆させるのも嫌でしたし。自分たちの親族はもちろん、仲がいい友人にも話しにくかったです。なのに、仕事関係者はたいして親しくなくてもみんな知っているという…。不思議な感じですよね、不妊治療って。だれにどう話すかというのはすごく気を遣いました」と京子さん。
交際期間中から淡泊だった夫ですが、タイミング法のときには2日に1回のセックスに取り組む大奮闘をしてがんばりました。しかし体外受精をすることになると、また夫婦生活がパッタリ途絶えてしまったといいます。
「まるで義務から解放されたかのように夫は再びまったく私を求めてこなくなりました。性生活をしなくてはというプレッシャーから開放されて安心したようにすら見えました。体外受精のときはもう私の体が限界で、それどころじゃなくなっていたけれど、薬の副作用で生活や仕事に支障をきたすなかで『この人のせいでどうして私ばかりつらい思いをしなくちゃならないのか』と恨みが募っていきました」
この不妊治療中にレスになったことが、気持ち的にいちばんつらかったという京子さん。
「夫との子どもがほしくて一生懸命に不妊治療をしながらも“もうこれ以降の人生、女として求められることは二度とないのかもしれない”という悲しさでお先真っ暗な気持ちでした。特段、性行為が好きというタイプでもないですが、それでもかなり苦しかったです。私ってそんなに魅力ないのかなと。この人にとって私ってなんなんだろう? ただの産む機械なの? ひとりになるとそんなことばかり考えてしまいました」
実際、治療に使うホルモン剤の副作用で、普段よりもネガティブな思考に陥ってしまう女性は少なくないそう。京子さんの場合は、もともとの夫への性に対する不満と絡み合い、その影響がより色濃く出てしまったのかもしれません。

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