1650万円の古着、誰が購入? マニア御用達の店を訪ねてみた

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638万円のデニムジャケット、297万円のデニム地の作業着――。新潟県弥彦村の古着店「MUSHROOM」には、宝石の価格かと思うような高額商品が並ぶ。昨年秋には1650万円のジーンズが売れた。なぜ超高額の古着が売れるのか。【池田真由香】
【写真】現在、店で最も高額な古着 全国から多くの参拝客が訪れる弥彦神社の近くに店を構える「MUSHROOM」は、国内外の古着マニアに知られた存在だ。以前は新潟市中央区の古町などに店を構えていたが、2020年12月に弥彦村へ移転。10人ほどのスタッフで、販売と古着の補修などを手がける。

オーナーの土田鏡さん(46)は大学卒業後、新潟市内にあった古着店で1年半ほど働き、02年に独立した。仕入れの経験ゼロから店を始め、現在は自ら米国で仕入れを行う。さまざまなディーラーと取引をするうちに、開店から3年目で貴重な古着を専門に扱うディーラーとつながった。オンラインを中心に高額商品を販売するうちに、国内外で「日本ならMUSHROOM」と浸透していった。 現在、店で最も高額なのは米国のメーカー「リーバイス」のデニムジャケットで638万円(税込み)。1940年代に作られたもので、大きめのサイズのため、背中の生地をT字に縫い合わせている。このT字がレアで、15年ほど前に約20万円だった価格は年々高騰。現在、状態が良いものは「安くても580万円(税込み638万円)ほどが相場」という。日本でも著名なアイドルやアーティストが着用。店では5月には4着あったが、8月末の取材時点で残っていたのは1着だった。 なぜ古着にこんな高値が付くのか。米国でリーバイスのビンテージのジーンズが流行しているのが大きいという。「数百万するデニムも、価値を知る人からすれば『安い』という感覚」と土田さんは話す。 背景には、米国での古着文化の広がりがある。日本では以前から古着を着こなすおしゃれが人気だったが、インスタグラムなどを通じて海外にも広がった。またサステナブル(持続可能)といった意識の高まりから、古着に価値を見いだす人が増えていることも価格高騰につながっているようで、米国の古着市場は年々拡大している。 どんな人が100万円以上する超高額の古着を買うのか。昨秋に売れた1650万円のリーバイスの最も古いとされるジーンズは、米国人ディーラーが購入した。そのデニムは今月開かれる米国・コロラド州でのイベントで販売される予定で、土田さんは「さらに高値になるだろう」と予想する。米国の古着が日本で価値を付けて米国に戻るのは珍しくない。日本の古着マーケットは米国よりも大きく、日本で高く値が付いた商品が評価される傾向があるためだ。 円安の影響で、海外からの購入は増加傾向だ。また市場拡大を背景に、投資目的で古着を購入する人も増えてきた。土田さんのお店で高額の古着を購入するのは30、40代の男性が中心で、身につけずコレクションとして保管する人もいれば、投資目的で購入する人もいるという。 9月に横浜市で開かれるビンテージ品のイベントでは、リーバイスが初めて作ったデニム素材の広告を、275万円で販売する予定だ。「売れなかったら店で飾ります」と笑う。 数々の貴重なビンテージ品を扱ってきた土田さんだが、「商売人なので、仕入れたものは全部売りたい」と仕入れたデニムは身につけない。高額な商品が注目されがちだが「もっと気軽に来てもらえる店にしたい」と店内には1000円台の小物も。洋服は4000円ほどから。デニムジャケットやジーンズは1万円台の商品も多くあり、学生でも手が届く価格帯も用意している。土田さんは「古着は日本がリードして世界に広めた業界。価格帯が幅広く、見飽きない」と魅力を語る。
全国から多くの参拝客が訪れる弥彦神社の近くに店を構える「MUSHROOM」は、国内外の古着マニアに知られた存在だ。以前は新潟市中央区の古町などに店を構えていたが、2020年12月に弥彦村へ移転。10人ほどのスタッフで、販売と古着の補修などを手がける。
オーナーの土田鏡さん(46)は大学卒業後、新潟市内にあった古着店で1年半ほど働き、02年に独立した。仕入れの経験ゼロから店を始め、現在は自ら米国で仕入れを行う。さまざまなディーラーと取引をするうちに、開店から3年目で貴重な古着を専門に扱うディーラーとつながった。オンラインを中心に高額商品を販売するうちに、国内外で「日本ならMUSHROOM」と浸透していった。
現在、店で最も高額なのは米国のメーカー「リーバイス」のデニムジャケットで638万円(税込み)。1940年代に作られたもので、大きめのサイズのため、背中の生地をT字に縫い合わせている。このT字がレアで、15年ほど前に約20万円だった価格は年々高騰。現在、状態が良いものは「安くても580万円(税込み638万円)ほどが相場」という。日本でも著名なアイドルやアーティストが着用。店では5月には4着あったが、8月末の取材時点で残っていたのは1着だった。
なぜ古着にこんな高値が付くのか。米国でリーバイスのビンテージのジーンズが流行しているのが大きいという。「数百万するデニムも、価値を知る人からすれば『安い』という感覚」と土田さんは話す。
背景には、米国での古着文化の広がりがある。日本では以前から古着を着こなすおしゃれが人気だったが、インスタグラムなどを通じて海外にも広がった。またサステナブル(持続可能)といった意識の高まりから、古着に価値を見いだす人が増えていることも価格高騰につながっているようで、米国の古着市場は年々拡大している。
どんな人が100万円以上する超高額の古着を買うのか。昨秋に売れた1650万円のリーバイスの最も古いとされるジーンズは、米国人ディーラーが購入した。そのデニムは今月開かれる米国・コロラド州でのイベントで販売される予定で、土田さんは「さらに高値になるだろう」と予想する。米国の古着が日本で価値を付けて米国に戻るのは珍しくない。日本の古着マーケットは米国よりも大きく、日本で高く値が付いた商品が評価される傾向があるためだ。
円安の影響で、海外からの購入は増加傾向だ。また市場拡大を背景に、投資目的で古着を購入する人も増えてきた。土田さんのお店で高額の古着を購入するのは30、40代の男性が中心で、身につけずコレクションとして保管する人もいれば、投資目的で購入する人もいるという。
9月に横浜市で開かれるビンテージ品のイベントでは、リーバイスが初めて作ったデニム素材の広告を、275万円で販売する予定だ。「売れなかったら店で飾ります」と笑う。
数々の貴重なビンテージ品を扱ってきた土田さんだが、「商売人なので、仕入れたものは全部売りたい」と仕入れたデニムは身につけない。高額な商品が注目されがちだが「もっと気軽に来てもらえる店にしたい」と店内には1000円台の小物も。洋服は4000円ほどから。デニムジャケットやジーンズは1万円台の商品も多くあり、学生でも手が届く価格帯も用意している。土田さんは「古着は日本がリードして世界に広めた業界。価格帯が幅広く、見飽きない」と魅力を語る。

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