出禁案件!セレブ風マダムの「50万円の買い物」に疲弊した高級セレクトショップの言い分

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お店に訪れる客は十人十色。業種や業態の違いによっても、さまざまなタイプの人々がやってきます。残念ながら店側にとってすべてが良い客とは限りません。今回は、あるセレクトショップで起こった迷惑客のエピソードです。◆セレブ風マダムの来店
「自分が勤務しているお店で何を売っているかというと、日本ではなかなか手に入らない海外直輸入のハイブランド商品ですね。ハイブランドってすごく奥が深いんですよ。ウチは現地買い付けなども積極的に行っていて、他のお店にはないレアな逸品も数多く販売しているんですよ」
ハイブランド愛を語ってくれたのは、都内某所の高級セレクトショップで店長として勤めている佐久間さん(仮名・35歳)。そんな佐久間さんのお店に、とあるお客が来店したと言います。
「アラフィフのセレブな感じの女性客が店に入ってきたんです。しばらく店内の商品を見ていたその女性は、特に値段を確認するそぶりも見せず、新作のセットアップのスーツやアクセサリー、パンプスを買い求めたんです。おそらく事前に品定めは済んでいたんでしょうね。全部で50万円ほどだったと記憶してます」
◆まさかの全部返品
その女性客は、カード払いではなくキャッシュで会計を済ませたと言います。ところがその女性は、その3日後に前回購入した商品を手に、再び店を訪れたそうです。
「女性客は、店に入るや否や『夫に似合わないって言われてしまって……』と、少し困惑したような面持ちでカウンターに近寄ってきたんです。私は快く返金について案内しようとしたんですが、そうではなくて他のラインナップで揃えたいから交換してほしいとのことだったんです。持参した商品に特に問題もなかったので、交換の申し出を受けました」
女性の顔には笑顔が戻り、しばらく店内で品定めをしてから再度商品選びをして、上機嫌で店を後にしたそうです。
◆クレームをつけられて商品を交換
「けどここからがびっくりで、その5日後にまた例の女性が来店したんですよ。今度は何の理由だと思ったら『家で商品を改めて見たとき、店で見た色味と違った』って。そして案の定、商品交換を希望してきたんです。ちょっと妙な感じがしたので、念のため、本部の統括マネージャーに報告をかねて連絡したんです。でも、対応するように言われたので、しぶしぶ交換を承諾しましたね」
その後、佐久間さんが公休の際、またもやその女性は訪れ、もっともらしい理由をつけて3度目の全部交換をしたと言います。それからしばらくして、佐久間さんは部下から思わぬ報告を受けたのでした。
「女性スタッフが携帯を差し出して、SNSの投稿を見せてきたんです。なんだろうと思ってのぞくと、そこには見覚えのあるコーディネートがありました。何枚か連なった写真を順番に見せてもらったら、そこには例の女性が映っていたんです! 他の投稿もさかのぼってみると、返品交換したコーディネートが彼女のコレクションのように写されていて……。これまでの一連の出来事を振り返って、点と点が繋がって線になったような感覚でした」
◆SNSに投稿されていた購入品
女性の不自然な返品交換の訳がようやく分かった佐久間さん。早速、社内で返品規約の見直し、そして女性の次回来店時の対応策を共有することになったそう。
「私は想像もしていなかったのですが、女性スタッフはなんとなく気づいていたそうですよ。アパレル以外でも、腕時計やガジェットなど、商品紹介をSNSで行ったあとに商品交換を申し出る事案があるらしいんですって。非常識というか、ズル賢いというか……」
その数日後、女性客は何食わぬ顔をして商品を両手に抱え来店したと言います。
◆店側の対応、そして…
「私は心の準備もできていたので、最初は笑顔で女性客を迎えたんです。案の定返品交換の打診をしてきたので『あのう、これもしかしてお客様じゃないですか?』と、投稿されていたSNSの画面を差し出しました。そうしたら、それを見た女性客の顔色がすぐに曇り始め、聞き取れないような小さな声で『あ、はい』とあっさり認めましたね。その後は、返品交換の規約改訂について丁重に説明し、そのまま退店いただきましたよ」
それ以来、その女性は佐久間さんのお店に顔を出さなくなったと言います。
「しかし、そうまでしてSNSで映えを狙いたいのですかね。だって偽りの自分じゃないですか。もしかして、こういう人って結構いるのかもしれませんね。久しぶりにその女性のSNSを見ようとしたのですが、すでに存在していませんでした」
<TEXT/ベルクちゃん>

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