甲子園出場の明桜高2選手、冠水で車のドアにしがみつく男性救助…「勝手に体が動いた」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

夏の甲子園に秋田県代表として出場する明桜高(秋田市下北手桜)の野球部員2人が、7月の記録的大雨で冠水した道路で身動きが取れない男性を救助していたことが1日、学校への取材でわかった。
2人の部員は「困っている人がいたら助けるのは当然。勝手に体が動いた」と話している。
救助したのは、小塚春駆(はるく)さん(2年)と奥野璃玖(りく)さん(1年)。室内練習をしていた7月15日昼過ぎ、雨の様子を見ようと外に出ると、隣接する道路が冠水しており、そこで乗用車の車外でドアにしがみついている高齢男性を見つけた。
小塚さんが敷地内から「大丈夫ですか」と声をかけると、男性から「足が動かない」と震えた声で返事があったという。水は小柄な男性の肩まで迫っていたといい、「今すぐ助けに行かないと命が危ない」と判断。駆け寄って2人で両脇から男性を抱え、室内練習場まで運んだ。
救助後、ぬれて震える男性にお茶やタオルを渡して寄り添った。男性は「ありがとう」と言って、警察官と学校を後にしたという。
輿石重弘監督は「自らの判断で人助けが出来たことは素晴らしい。けががなくて良かった」とたたえた。2人は甲子園でスタンドから声援を送る予定で、小塚さんは「怖さはなかった。甲子園では先輩方が勝てるよう、全力の応援を届けたい」と笑顔をみせた。
◇ 一方、むやみな救助は二次被害の恐れがある。秋田市消防本部は「人助けは重要だが、災害時はまず自分の安全を確保することを大前提に行動してほしい。1人で行動するのは控え、119番するようにしてもらいたい」としている。
■甲子園へ出発
明桜高野球部の選手らが1日、甲子園球場に向けて秋田を出発した。
秋田市の秋田空港で出発セレモニーが開かれ、監督や選手ら29人が参加した。輿石重弘監督は「県代表として、勇気と感動、元気を与えられる試合をしたい」と話し、猪原空駆斗(たかと)主将は「一戦一戦全力で戦う。秋田県にいい報告をしたい」と意気込みを語った。
選手らは2日、甲子園球場見学会に参加し、3日の組み合わせ抽選会、6日の開会式に臨む。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。