「欲しい物は力ずくで奪え」…神戸で6歳児が死亡「逮捕された4人が暮らした」虐待の家「戦慄内情」

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監禁・暴行を受けた祖母、さらに遺体で見つかった6歳児が暮らした家では、忌(い)まわしい支配が渦巻いていた――。
6月20日、神戸市垂水(たるみ)区(兵庫県)に住む60代男性は、仕事帰りに異様な光景を目撃した。夜11時過ぎ、街灯に照らされた団地の路上で、穂坂由美子さん(57)がグッタリと車いすに腰掛けていたのだ。
「由美子さんの顔は生気が感じられず、茶色い痣(あざ)があった。周囲には彼女の所持品と思われるペットボトルやノートが散乱していたときいています。彼女は、力なく何度も『大丈夫だから、大丈夫だから』と言ったそうです」(全国紙記者)
由美子さんは同居する4人の子供から虐待を受けていたと判明。2日後の午後3時頃、同市中央区三宮(兵庫県)の繁華街で、長女・穂坂沙喜(さき)容疑者(34)、次男・大地(だいち)容疑者(32)、双子の次女・朝美(ともみ)容疑者(30)と三女・朝華(あさか)容疑者(30)の4きょうだいが発見され、母親に対する監禁・傷害の容疑で逮捕された。
「穂坂一家が住んでいたのは、垂水区の団地から車で20分ほど離れた西区玉津町の集合住宅の一室。3LDKのメゾネットタイプの部屋に由美子さんと子供4人、孫の修(なお)ちゃん(6)の6人が同居していました。
子供たちは全員無職。由美子さんは今年の3月から、数十回にわたり、幅70僂曚匹硫,憩れに監禁され、背中などを鉄パイプで殴られていた。由美子さんは、彼らが留守の隙を見て、バスを乗り継ぎ、約20年前に住んでいた垂水の団地へ逃げて来たようです」(同前)
逮捕後、沙喜容疑者は、捜査員を自宅付近の草原(くさはら)へ案内。警察官は放置されていたスーツケースの中から、腐敗した沙喜容疑者の長男・修ちゃんの遺体を発見した。修ちゃんが殺害されたのは由美子さんが保護された前日と見られる。遺体には、10回以上殴打されたような痕があり、背中一面に痣が広がっていたという。
今年4月には、保育士が修ちゃんの尻と右肩に痣を見つけ、西区役所に通報。沙喜容疑者も西区役所の聞き取りに対し、「子供に育てにくさがあるので一時保護してほしい」と訴えた。行政は一時引き取りを決めたが、沙喜容疑者と由美子さんが保護を拒否したという。近所のママ友が普段の母子の様子を明かす。
「修ちゃんは、2月から保育園を休みがちになり、4月下旬から来なくなりました。修ちゃんは6歳でもオムツが取れておらず、年のわりに華奢だった。沙喜さんは、一緒にアンパンマンのお絵描きをしたり、修ちゃんに優しくしていた印象。子供に対して優しく悪いイメージはありません」
一方、近隣住民から見た母子は、地域の輪に馴染めていなかった印象だという。
「彼がよその家に勝手に入っても注意しなかったり、放任主義な面もあった。修ちゃんが通っていた保育園では、勝手に中に入って手伝おうとしていて、保護者からの評判も良くありませんでした」
修ちゃんは、昨年まで、沙喜容疑者と朝美容疑者と朝華容疑者、それに祖母の由美子さんと共同生活を送っていた。
「2年くらい前からガスが止められていて、食事もカセットコンロで作っていたみたいです。週に1回くらいの頻度で銭湯に行っていましたが、家族全員臭かった。ガッチリ体形で金髪の沙喜さんはすぐに大声で怒鳴るし、態度も横柄で関わりたくなかったですね。子供にも『泣くな! 泣くな!』と叫んでいたのを見たことがあります」(近隣住民)
地域で孤立していた穂坂家。昨年末から、大地容疑者が同居するようになると、さらに一家は閉鎖的になっていた。近隣に住む男性がその様子を話す。
「男性が同居するようになってすぐに修ちゃんと由美子さんを見かけなくなって、生活音が消えました。子供の声が聞こえなくなって、窓も閉め切って……。ただ、定期的に壁を叩く音が聞こえるようになったんです。深夜2時や4時くらいにもトントンって。今思うと、修ちゃんからのSOSだったのかもしれません。
修ちゃんが亡くなる直前、男性が妙に元気に『さあ、行こか!』と女性3人を引き連れて出かけていきました。女性らは彼に付き従っているようでした。彼が沙喜さんの弟だと聞いて驚きました」
逮捕後、4きょうだいは大地容疑者の指示で修ちゃんの遺体を遺棄したと供述。近所の住民が修ちゃんに同情する一方で、4人が子供時代を過ごした垂水区の住民が語ったのは、きょうだいの悲惨な幼少期だった。大地容疑者の小学校の同級生の母が当時の様子を語る。
「穂坂家は5人きょうだいで、沙喜ちゃんのすぐ下に長男がいます。いつもカーテンを閉め切っていて閉鎖的で、母親が働いている様子はありませんでした。お父さんは見たことがありません。
彼らの自宅には見知らぬ男性が家に出入りしていましたよ。家に男性が来ているときは締め出されていたんでしょうね。寒い冬の夜に沙喜ちゃんと長男、大地君が近くの公園にいたことがあって『おうちには帰れへんの?』と聞くと『1000円やるから外に出とけとお母さんに言われた』って……。あの家のベランダには使用済みのコンドームが捨てられていると、自治会で問題にもなりました」
精神的な苦痛に加え、由美子さんは子供に暴力をふるっていたという話もある。小学校時代、大地容疑者と仲が良かった別の同級生の母が、虐待の内容を明かす。
「下の双子は身ぎれいにして可愛がられていましたが、沙喜ちゃんと長男、大地君の扱いはひどくて、人目があるところでも母親に鉄パイプで殴られていた。母親からお菓子の万引きもやらされていたと息子から聞いています。
盗んだお菓子が少ないと、由美子さんは『こんなんで腹いっぱいになるか!』と子供たちを殴ったり蹴ったりしたそうです。大地君たちは、学校でこっそり給食を朝と昼の2回、食べさせてもらっていた。運動会や遠足などのイベントにも参加できなかったようで、卒業アルバムにも、彼らはほとんど写っていないんです」
小学校2年生から大地容疑者も攻撃的になり、保護者の間では「あの一家には関わらないほうがいい」と噂されていた。同じ団地に住んでいた同級生の母は、穂坂家の教育方針に驚愕したという。
「由美子さんは『欲しいものは力ずくでも奪え』と教えており、大地君は小学生の頃から同級生の持ち物を手を上げてでも奪い取っていた。でも、彼からしたらそれが普通なんです。
当時、行政が5人を保護しようとしていましたが、由美子さんが拒(こば)んでいたようです。事件を聞いて、大地君は自分がされていたことを修ちゃんにやったんだと思いました」
容疑者たちが受けてきた苦痛は、他人には計り知れないが、罪のない6歳児が「負の連鎖」の犠牲となったことは、決して許されることではない――。
『FRIDAY』2023年7月14・21日号より

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