コロナ禍で女性・女児の自殺増 共同研究グループが発表

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横浜市立大付属病院化学療法センターと慶応大医学部精神・神経科学教室の共同研究グループが、新型コロナウイルス禍の流行期に、10~24歳の女児と女性の自殺増加が顕著だったとする研究結果を発表した。
就業年齢以下の女児にも増加傾向がみられており、経済対策だけにとどまらない女性に対するケアが必要だと警鐘を鳴らしている。(高木克聡)
研究では厚生労働省の死因別死亡数のデータを使用し、平成24年7月から令和4年6月までの10年間の自殺データを解析。男女別に10~14歳、15~19歳、20~24歳の3つの年齢層に分け、6カ月ごとに自殺数を計上。コロナ流行期とコロナ禍以前を比較したところ、女性の自殺に増加傾向がみられたという。
コロナ禍では女性や若年者の自殺増加が社会問題化。これまでは、非正規雇用などで社会基盤の弱い20~30代の女性が失業で経済的影響を受けやすいと指摘されていた。
一方、今回の研究では、就業年齢以下の10代前半の女児にも増加傾向がみられた。横浜市立大付属病院化学療法センターの堀田信之センター長は「景気とは異なる要因、女性に特化した要因があるということが推測できる」と話す。
周囲の人との関係性を重んじる女児・女性の方が他人との接触が減少したことにより精神的影響を受けたり、在宅時間が長くなったことで家庭内暴力・虐待の被害が顕在化したりした可能性もあるという。今後も研究を継続し、新型コロナ感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行した後の傾向も調べるとしている。
県では電話や無料通信アプリ「LINE(ライン)」での相談体制を強化している。4年11月から電話相談を24時間に拡充。LINE相談も人員を増やしている。昨年度の電話相談は2万1064件、LINE相談は7791件あった。
県によると、人工知能(AI)で相談者の緊急性を判断する仕組みの導入を検討しているという。相談時に数問の質問に答え、深刻度を判断するほか、声の調子などから感情を分析できるAIなどの活用を視野に入れている。

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