自民党が「大惨敗」した「沖縄県知事選」の“知られざる真相”…! 当事者たちが「候補者失敗」「予算脅し騒動」「保守分裂」の“本当のところ”を次々明かした…!

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「すべては私の力不足。改めてお詫び申し上げたい」
佐喜真淳が敗戦の挨拶を終えたのは投票締め切りの午後8時からわずか5分後のことだった。
注目の沖縄県知事選は午後8時、現職の玉城デニーに「ゼロ打ち」で当確が出て、あっけなく幕を閉じた。
しかし、この結果は選挙戦が始まった時から予想されていた。
「前回の知事選では党本部が要請して各派閥から秘書が派遣されましたが、今回は派遣がなかった。また、前回は菅義偉官房長官(当時)が期間中に2回も現地に入るなど連日大物が応援弁士で駆けつけたが、今回は極めて限定的でした」(自民党関係者)
敗戦が決まり暗い表情の西銘前大臣(手前左)ら佐喜真陣営 筆者撮影
陣営が開票を見守る場所も、4年前は那覇市内のホテルを会場としていたが、今回は選挙事務所の一室。敗戦を見越してホテルの会場を用意しなかったのは明らかだった。関係者向けに並べられた椅子は50ほどあったが、着席したのは半数程度と寂しく、熱気のなさを象徴していた。8時ちょうどに「玉城当確」の情報が出ると、会場内には佐喜真本人が入ってくるまでの2分間ほど重苦しい沈黙が続いた。疑問の残る「候補者選び」現職だからといって玉城知事が盤石だったわけではない。「具体的な成果が乏しい」という批判が出ていた上、玉城を支持する「オール沖縄」からは経済界の一部が離脱。今年に入ってからは名護、南城、石垣、沖縄の各市長選でオール沖縄の候補が自公推薦候補に敗れた。玉城陣営は盤石ではなかった 著者撮影 さらに、今夏の参院選では現職の伊波洋一が自民党新人候補に2880票差まで肉薄されており、情勢は楽観できなかった。それにもかかわらず、自民党はなぜ前回も玉城に負けた佐喜真をもう一度擁立したのか。候補者選定には疑問が残る。自民党沖縄県連では経済界などと作る選考委員会を開き、5月28日に5人の候補から佐喜真を選んだ。しかし、佐喜真はこの4年間目立った活動をしていなかった。もし佐喜真で戦うのであれば、せめてもっと早く決定すべきだったのではないか。自民党県連の「責任」結果が出た直後に宮崎政久衆院議員に話を聞くと、「『経済危機突破』というスローガンでやったわけですが、どういう意味で危機なのかということについて若干ご理解いただくのが難しかった」と述べた。これも準備の遅れが響いた結果であろう。応援に駆けつけた小渕優子議員 筆者撮影 他陣営からは「本気で勝つ気があるようには思えない。大臣をやった西銘恒三郎さんが出ていたらもっと勝負になったはずだ」という声も聞かれた。自民党県連は4年間、玉城県政を批判し続けてきた以上、互角に戦える候補者を立てられなかった責任が問われる。減る「沖縄振興予算」沖縄振興予算は2016年度には3520億円だったが、年々減少しており、8月下旬に明らかになった来年度の概算要求は2798億円。昨年の概算要求額よりも200億円も減少した。この点については「県知事選を見据えた揺さぶり」という見方が強かった。 琉球新報など一部地方紙が掲載した共同通信の配信記事にはこう書いてある。県選出の西銘恒三郎前沖縄北方担当相は10日の内閣改造で退任する際「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていた。さらに100億円減らした要求額。自民の閣僚経験者は「佐喜真氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいい」とあからさまに語る。共産党の赤嶺賢政衆院議員は9日の街頭演説でこう批判した。「あろうことか沖縄から選ばれたあの西銘恒三郎沖縄担当大臣、担当大臣を辞めるときに『沖縄には当面、100億円くらい予算を減らして、自民党が勝ったらまた増やせばいい』。こういう発言をしたことがマスコミで報道されております」――。西銘を直撃すると…ただし、いくらなんでも沖縄選出の大臣が予算減を求めるというのは考えられないと思い、西銘を直撃すると次のように説明した。「事務方から出てきた概算要求の数字が去年よりもマイナス200(億円)だった。だから『去年の2998(億円)からマイナス100(億円)まで増やしなさい。それを官邸と党本部に伝えなさい』と指示して俺は(大臣を)辞めていった。県知事とは戦うけど、県民のことを考えたら、概算要求はもっと増やしたほうがいい。(記事は)逆になっている。変なふうに取られた」しかし、沖縄選出の担当大臣がいても予算は減らされるということを示したことは間違いない。再選した玉城知事 筆者撮影 自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。保守分裂は今後も続く4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。3人が立候補した 筆者撮影 下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
陣営が開票を見守る場所も、4年前は那覇市内のホテルを会場としていたが、今回は選挙事務所の一室。敗戦を見越してホテルの会場を用意しなかったのは明らかだった。
関係者向けに並べられた椅子は50ほどあったが、着席したのは半数程度と寂しく、熱気のなさを象徴していた。
8時ちょうどに「玉城当確」の情報が出ると、会場内には佐喜真本人が入ってくるまでの2分間ほど重苦しい沈黙が続いた。
現職だからといって玉城知事が盤石だったわけではない。
「具体的な成果が乏しい」という批判が出ていた上、玉城を支持する「オール沖縄」からは経済界の一部が離脱。今年に入ってからは名護、南城、石垣、沖縄の各市長選でオール沖縄の候補が自公推薦候補に敗れた。
玉城陣営は盤石ではなかった 著者撮影
さらに、今夏の参院選では現職の伊波洋一が自民党新人候補に2880票差まで肉薄されており、情勢は楽観できなかった。それにもかかわらず、自民党はなぜ前回も玉城に負けた佐喜真をもう一度擁立したのか。候補者選定には疑問が残る。自民党沖縄県連では経済界などと作る選考委員会を開き、5月28日に5人の候補から佐喜真を選んだ。しかし、佐喜真はこの4年間目立った活動をしていなかった。もし佐喜真で戦うのであれば、せめてもっと早く決定すべきだったのではないか。自民党県連の「責任」結果が出た直後に宮崎政久衆院議員に話を聞くと、「『経済危機突破』というスローガンでやったわけですが、どういう意味で危機なのかということについて若干ご理解いただくのが難しかった」と述べた。これも準備の遅れが響いた結果であろう。応援に駆けつけた小渕優子議員 筆者撮影 他陣営からは「本気で勝つ気があるようには思えない。大臣をやった西銘恒三郎さんが出ていたらもっと勝負になったはずだ」という声も聞かれた。自民党県連は4年間、玉城県政を批判し続けてきた以上、互角に戦える候補者を立てられなかった責任が問われる。減る「沖縄振興予算」沖縄振興予算は2016年度には3520億円だったが、年々減少しており、8月下旬に明らかになった来年度の概算要求は2798億円。昨年の概算要求額よりも200億円も減少した。この点については「県知事選を見据えた揺さぶり」という見方が強かった。 琉球新報など一部地方紙が掲載した共同通信の配信記事にはこう書いてある。県選出の西銘恒三郎前沖縄北方担当相は10日の内閣改造で退任する際「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていた。さらに100億円減らした要求額。自民の閣僚経験者は「佐喜真氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいい」とあからさまに語る。共産党の赤嶺賢政衆院議員は9日の街頭演説でこう批判した。「あろうことか沖縄から選ばれたあの西銘恒三郎沖縄担当大臣、担当大臣を辞めるときに『沖縄には当面、100億円くらい予算を減らして、自民党が勝ったらまた増やせばいい』。こういう発言をしたことがマスコミで報道されております」――。西銘を直撃すると…ただし、いくらなんでも沖縄選出の大臣が予算減を求めるというのは考えられないと思い、西銘を直撃すると次のように説明した。「事務方から出てきた概算要求の数字が去年よりもマイナス200(億円)だった。だから『去年の2998(億円)からマイナス100(億円)まで増やしなさい。それを官邸と党本部に伝えなさい』と指示して俺は(大臣を)辞めていった。県知事とは戦うけど、県民のことを考えたら、概算要求はもっと増やしたほうがいい。(記事は)逆になっている。変なふうに取られた」しかし、沖縄選出の担当大臣がいても予算は減らされるということを示したことは間違いない。再選した玉城知事 筆者撮影 自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。保守分裂は今後も続く4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。3人が立候補した 筆者撮影 下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
さらに、今夏の参院選では現職の伊波洋一が自民党新人候補に2880票差まで肉薄されており、情勢は楽観できなかった。
それにもかかわらず、自民党はなぜ前回も玉城に負けた佐喜真をもう一度擁立したのか。候補者選定には疑問が残る。
自民党沖縄県連では経済界などと作る選考委員会を開き、5月28日に5人の候補から佐喜真を選んだ。しかし、佐喜真はこの4年間目立った活動をしていなかった。もし佐喜真で戦うのであれば、せめてもっと早く決定すべきだったのではないか。
結果が出た直後に宮崎政久衆院議員に話を聞くと、「『経済危機突破』というスローガンでやったわけですが、どういう意味で危機なのかということについて若干ご理解いただくのが難しかった」と述べた。
これも準備の遅れが響いた結果であろう。
応援に駆けつけた小渕優子議員 筆者撮影
他陣営からは「本気で勝つ気があるようには思えない。大臣をやった西銘恒三郎さんが出ていたらもっと勝負になったはずだ」という声も聞かれた。自民党県連は4年間、玉城県政を批判し続けてきた以上、互角に戦える候補者を立てられなかった責任が問われる。減る「沖縄振興予算」沖縄振興予算は2016年度には3520億円だったが、年々減少しており、8月下旬に明らかになった来年度の概算要求は2798億円。昨年の概算要求額よりも200億円も減少した。この点については「県知事選を見据えた揺さぶり」という見方が強かった。 琉球新報など一部地方紙が掲載した共同通信の配信記事にはこう書いてある。県選出の西銘恒三郎前沖縄北方担当相は10日の内閣改造で退任する際「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていた。さらに100億円減らした要求額。自民の閣僚経験者は「佐喜真氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいい」とあからさまに語る。共産党の赤嶺賢政衆院議員は9日の街頭演説でこう批判した。「あろうことか沖縄から選ばれたあの西銘恒三郎沖縄担当大臣、担当大臣を辞めるときに『沖縄には当面、100億円くらい予算を減らして、自民党が勝ったらまた増やせばいい』。こういう発言をしたことがマスコミで報道されております」――。西銘を直撃すると…ただし、いくらなんでも沖縄選出の大臣が予算減を求めるというのは考えられないと思い、西銘を直撃すると次のように説明した。「事務方から出てきた概算要求の数字が去年よりもマイナス200(億円)だった。だから『去年の2998(億円)からマイナス100(億円)まで増やしなさい。それを官邸と党本部に伝えなさい』と指示して俺は(大臣を)辞めていった。県知事とは戦うけど、県民のことを考えたら、概算要求はもっと増やしたほうがいい。(記事は)逆になっている。変なふうに取られた」しかし、沖縄選出の担当大臣がいても予算は減らされるということを示したことは間違いない。再選した玉城知事 筆者撮影 自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。保守分裂は今後も続く4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。3人が立候補した 筆者撮影 下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
他陣営からは「本気で勝つ気があるようには思えない。大臣をやった西銘恒三郎さんが出ていたらもっと勝負になったはずだ」という声も聞かれた。
自民党県連は4年間、玉城県政を批判し続けてきた以上、互角に戦える候補者を立てられなかった責任が問われる。
沖縄振興予算は2016年度には3520億円だったが、年々減少しており、8月下旬に明らかになった来年度の概算要求は2798億円。昨年の概算要求額よりも200億円も減少した。
この点については「県知事選を見据えた揺さぶり」という見方が強かった。
琉球新報など一部地方紙が掲載した共同通信の配信記事にはこう書いてある。県選出の西銘恒三郎前沖縄北方担当相は10日の内閣改造で退任する際「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていた。さらに100億円減らした要求額。自民の閣僚経験者は「佐喜真氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいい」とあからさまに語る。共産党の赤嶺賢政衆院議員は9日の街頭演説でこう批判した。「あろうことか沖縄から選ばれたあの西銘恒三郎沖縄担当大臣、担当大臣を辞めるときに『沖縄には当面、100億円くらい予算を減らして、自民党が勝ったらまた増やせばいい』。こういう発言をしたことがマスコミで報道されております」――。西銘を直撃すると…ただし、いくらなんでも沖縄選出の大臣が予算減を求めるというのは考えられないと思い、西銘を直撃すると次のように説明した。「事務方から出てきた概算要求の数字が去年よりもマイナス200(億円)だった。だから『去年の2998(億円)からマイナス100(億円)まで増やしなさい。それを官邸と党本部に伝えなさい』と指示して俺は(大臣を)辞めていった。県知事とは戦うけど、県民のことを考えたら、概算要求はもっと増やしたほうがいい。(記事は)逆になっている。変なふうに取られた」しかし、沖縄選出の担当大臣がいても予算は減らされるということを示したことは間違いない。再選した玉城知事 筆者撮影 自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。保守分裂は今後も続く4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。3人が立候補した 筆者撮影 下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
琉球新報など一部地方紙が掲載した共同通信の配信記事にはこう書いてある。
県選出の西銘恒三郎前沖縄北方担当相は10日の内閣改造で退任する際「前年より100億円ほど引いたらどうか」と官邸側に伝えていた。さらに100億円減らした要求額。自民の閣僚経験者は「佐喜真氏が勝ったら年末の予算編成で増やせばいい」とあからさまに語る。
共産党の赤嶺賢政衆院議員は9日の街頭演説でこう批判した。
「あろうことか沖縄から選ばれたあの西銘恒三郎沖縄担当大臣、担当大臣を辞めるときに『沖縄には当面、100億円くらい予算を減らして、自民党が勝ったらまた増やせばいい』。こういう発言をしたことがマスコミで報道されております」――。
ただし、いくらなんでも沖縄選出の大臣が予算減を求めるというのは考えられないと思い、西銘を直撃すると次のように説明した。
「事務方から出てきた概算要求の数字が去年よりもマイナス200(億円)だった。だから『去年の2998(億円)からマイナス100(億円)まで増やしなさい。それを官邸と党本部に伝えなさい』と指示して俺は(大臣を)辞めていった。
県知事とは戦うけど、県民のことを考えたら、概算要求はもっと増やしたほうがいい。(記事は)逆になっている。変なふうに取られた」
しかし、沖縄選出の担当大臣がいても予算は減らされるということを示したことは間違いない。
再選した玉城知事 筆者撮影
自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。保守分裂は今後も続く4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。3人が立候補した 筆者撮影 下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
自民党が盛んに主張する「国とのパイプ」というのは結局、「自民党系の知事でなければ予算は出さない」という脅しにしか聞こえず、逆効果だったのではないか。
西銘を担当大臣に起用しながら、一方で振興予算を減らす政府の対応はちぐはぐに映る。
4年前との最大の違いは自民党出身で衆議院議員を6期務めた下地幹郎の出馬だった。
衆議院の沖縄1区ではここ3回の総選挙において自民党の國場幸之助と下地幹郎で保守票が割れ、赤嶺賢政が共産党では唯一小選挙区での勝利を続けている「オール沖縄の象徴区」となっている。
3人が立候補した 筆者撮影
下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。下地陣営の當山護選対本部長は言う。「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」「俺はマングースになる」と今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影 下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
下地陣営は2018年には名護市長選や沖縄県知事選など全ての首長選で自民・公明と共に『保守合同』で戦ってきた。その上で復党の要望もしてきたが、県連は取り合わなかった。
下地陣営の當山護選対本部長は言う。
「我々も後援会として下地幹郎を自民党に復党させてくださいと言った。他の企業の方々も一緒になって頼んだが、何の音沙汰もない。それなのに我々が立候補すると、『なぜ立候補するんだ』と陰口を叩かれる。理不尽とはこのことだ」
今回、佐喜真と下地の票を合わせると玉城との差は1万1千票まで詰まる。しかし、自民党県連はあくまで下地との連携には否定的だ。
「立候補する権利は誰にでもある。そういう問題ではない」(前出・宮崎議員)
沖縄1区で下地と4度戦っている國場幸之助は、今回の下地の出馬について「迷惑だ」と渋い表情で語る。今後、下地と県連で話し合いをすることについても「それはない。その必要はない」と吐き捨てた。
街頭演説をする下地幹郎 筆者撮影
下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。「俺はマングースになる」沖縄の複雑な政治状況ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。 普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
下地は今回の立候補については「当然のことだ」と語り、今後も選挙に挑戦することを明言する。落選決定後も後援会からは「どこへ行こうと下地幹郎についていく」という声が次々と聞こえてきた。
下地に今後どうしていくのかを尋ねると不敵な笑みを浮かべて言った。
「俺はマングースになる」
ハブの駆除を目的に沖縄県内に導入されたものの、勢力を急拡大させて生態系を破壊したマングースのごとく、県内政局をさらに掻き回していこうと企む下地。保守分裂は今後も続くことになる。
一方のオール沖縄は知事選と同日に行われた県議補選ではオール沖縄候補が勝利し、辛うじて議会過半数は維持したが、玉城県政の基盤は決して強くない。
普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。
普天間飛行場のある宜野湾市長選も同日行われたが、自民党推薦の現職候補に大差で敗れた。
知事選でも基地問題で揺れる名護市や宜野湾市での得票は佐喜真を下回っており、「基地反対だけでは困る」という県民の声もうかがえる。
だが、その玉城県政に対する保守分裂はさらに深まった。沖縄の複雑な政治状況はまだまだ続きそうだ。

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