表参道で鉄パイプ襲撃 iPhone100台「転売ヤー」が狙われた バッグには“1000万円” 背後にチャイニーズドラゴンか

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100台近くの「iPhone」を購入しようとした男性を、鉄パイプのようなもので襲撃したとして、中国人の男らが逮捕された。現場は、東京・表参道。被害者の男性は、いわゆる「転売ヤー」とみられている。事件の背後には、あの「チャイニーズドラゴン」の影も見え隠れするという。
東京・渋谷区神宮前。明治神宮から続く「表参道」が事件現場となった。そのケヤキ並木には、高級ブランドの店舗や、洒落たカフェなどが軒を連ねる。かつては、クリスマスイルミネーションの喧噪が話題となり、近年は、インバウンドの外国人がひっきりなしに訪れる。地価高騰も著しい。
そんな「憧れの街」で、埼玉県・川口市在住の32歳の男性は、突然、中国人の王雪生容疑者(53)ら3人に襲われたという。今年4月16日午前9時半ごろ、男性が、表参道に面する「アップルストア」に向かおうと、車を降りたところを、王容疑者らが待ち伏せをしていたのだ。
容疑者たちの手には、鉄パイプや特殊警棒が握られていた。目当ては、男性がたすき掛けにしていた黒いバッグだった。頭や肩、腕、脚など、全身を殴られる男性。バッグを渡すまいと必死だった。
通勤ラッシュのピークを過ぎた時間帯だが、人通りは絶えないエリアだ。目撃者から「アップルストアの前で数名が鉄パイプを所持して、駐車場の車両を囲んでいる」との110番通報が入った。
すぐ近くには交番もある。あっという間に警察官が駆けつけたことだろう。容疑者たちは、目的を遂げずに、その場から立ち去ったという。男性は、後頭部などにケガをしていた。全治4週間の重傷だった。
午前中の表参道で起きた鉄パイプ襲撃事件。何より驚かされたのは、黒いバッグの中身だった。アップルのギフトカードおよそ940万円分に加えて、35万円ほどの現金も入っていたという。男性は、アップルストアで、100台近くのiPhoneを購入しようとしていたのだ。
王容疑者たちが、”1000万円相当”のギフトカード・現金を狙っていたのは間違いないだろう。明らかに強盗目的なのだが、実は、この男性が、事件前日にも、この店で、100台近くのiPhoneを購入していたことが明らかになった。
そう、男性は、いわゆる「転売ヤー」とみられているのだ。人気商品を買い占め、高値で、転売して利益を得る「転売ヤー」。「転売」と「バイヤー」をかけた造語とされるが、人気ゲーム機からファッションブランド品など、買い占めの対象は多岐に渡っているようだ。
2018年、都内の人気ファッションブランド店では、客の行列を警備していた男性が、「転売ヤー」とみられる中国人を注意したところ、集団で暴行される事件も起きた。鉄パイプ襲撃事件の被害者の男性は、2日間で、”200台”ものiPhoneを購入する計画だった訳だ。転売目的だった可能性が高い。
犯罪組織が関与している恐れがあるため、警視庁では、暴力団対策課が捜査を担当。所要の捜査の末、今月14日、王容疑者らを強盗致傷の疑いで逮捕した。ところが、調べによれば、事件の背後に、準暴力団「チャイニーズドラゴン」の影が見え隠れするというのだ。
王容疑者ら3人は、いずれも中国人。被害者の男性も、日本国籍を取得した元中国人だった。実は、チャイニーズドラゴンには、日本国内で購入したiPhoneを、中国本土で転売する”シノギ”が存在するという。
容疑者3人とチャイニーズドラゴンとの”接点”は明らかになっていない。しかし、暴対課では、チャイニーズドラゴンの”しのぎ”を横取りさせまいと、3人が男性を襲撃した可能性もあるとみている。手段を選ばない、荒っぽい手口は、いかにもチャイニーズドラゴンを彷彿させる。
一方で、王容疑者も、被害者の男性も、埼玉県・川口市在住だ。川口市は、中国の人たちが、多く暮らすコトで知られている。地元のコミュニティーのつながりから、男性が”大金”を持ち歩いていることを知り、犯行に及んだことも考えられる。その場合、「チャイニーズドラゴン」とは無関係の強盗事件ということになる。
いずれにしろ、被害男性が、2日続けて、大量のiPhoneを購入することを把握した上で、待ち伏せしていたことに疑いの余地はない。調べに対して王容疑者は「私に関係ありません」と容疑を否認。
他の2人は、「現金などを盗もうとはしていません。その他の部分については、弁護士と相談してから決めます」「鉄の棒と拳で殴ったが、バッグを奪おうとはしていません」と、いずれも容疑を一部否認しているという。

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