【検証】大きな炎が一瞬で…消毒用アルコールの危険性は? バーベキューで炎上…1人死亡 【バンキシャ!】

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バーベキュー中に火が消毒用アルコールを注いだことで炎上し、学生1人が亡くなった事故を検証。コロナ禍を経て、いま多くの家庭に備えられている消毒用アルコールは、火に接するとどれだけ危険なのか。バンキシャ!が様々な角度から検証した。(バンキシャ!) ◇先月24日、福岡県柳川市の「ハリウッドワールド美容専門学校」で、バーベキューの火が男子学生4人に燃え移り、このうち、18歳の男子学生が死亡した。

バンキシャ!は、通報からおよそ15分後に撮影されたという写真を独自に入手。煙が出ているのが事故が起きたバーベキューコンロで、上に置かれた3枚の鉄板には、それぞれ肉などが残され、中にはまだピンク色で生焼け状態とみられるものもある。警察の対応をしているのは、この学校の理事長だ。別の写真には、警察官とみられる人物が、メジャーのようなものを持ち、何かを測ろうとしている様子が写っている。そしてよく見ると、コンロの側面には油のシミのようなあとが残されている。10日、学校の許可を得て事故現場を見せてもらった。──(記者)ここが事故があった場所ですね。結構奥まで芝生が続いています。壁際には、たくさんのバーベキューのコンロが、きれいに並べられて保管されている。──あ、これバーベキューで燃やすときに使っていた器具ですね。そのうちの1つのコンロには、見覚えのある特徴があった。──これ、なんかちょっと油のシミのあとが写真と似てるな。写真と同じ側面に、油のシミのようなあとが残されていた。このコンロで事故が起きたのだろうか。取材を続けると、事故当時の詳しい状況が明らかになってきた。9日、バンキシャ!は、事故があった美容専門学校に通っている学生に話を聞いた。この学生は、事故当時も現場にいたという。現場にいた学生「(バーベキューが)始まってすぐでしたね。ボン!って音が聞こえたので振り返ったって感じです。振り返ったら服や全身が燃えていた。何が起きたんだって思いました。周りのみんなはパニック状態って感じでした」バーベキューが始まったのは先月24日、午後0時半すぎ。学校によると、敷地内にある広場に12台のコンロが用意され、全校生徒およそ470人と教員十数人が参加したという。事故が起きたのは、端から3台目のコンロだった。中には炭や着火剤、さらに火をつけやすくするため、手指消毒用のアルコールも混ぜられていたという。そして、開始からおよそ15分、コンロの火が弱まり消えそうな状態になったという。そこで若手の男性職員が、ポリタンクに入った手指消毒用のアルコールを追加。すると「ボンッ!」という音と共に火柱が立ち上がったという。学校側によると、その様子は防犯カメラにも残されていて、火柱は1~2秒ほど上がっていたという。そして火は、近くにいた4人の男子学生に燃え移った。現場にいた学生「何人かの先生が火を消そうとして駆け寄ってました。1人の先生が服を脱いで、服で(火を)消そうとしていました」さらにお茶や水をかけたというが──。現場にいた学生「熱いって言っていました。痛そうな顔をしていました」重症だった1人は、事故から13日後の今月6日、息を引き取った。最初に火をおこす段階から消毒用アルコールを使った理由について、学校側は次のように説明した。ハリウッドワールド美容専門学校・古賀郁学園長「熱中症や肉の生焼けによる食中毒を防ぐため、短時間でしっかり焼こうとアルコールを使いました」理事長が指示をし、前日にリハーサルもしていたという。アルコール入りのポリタンクは、火をつけたあと片付けるはずだったが、現場に残されたままに。それが事故の引き金となった。警察は、業務上過失致死傷の疑いで捜査を進めている。 ◇今回の事故のように、消毒用のアルコールを火に直接かけることは、どれほど危険なのか。バンキシャ!は、専門家立ち会いのもと検証を行った。10日、バンキシャ!が向かったのは、東京理科大学の火災科学研究所。火災について実験などをしている「火」専門の研究施設だ。火をつけるのは、防火服を着た研究所の技術スタッフ。安全のため、使用する消毒用のアルコールは少量にした。検証には着火後15分以上置いた炭を使った。そして、技術スタッフが炭にアルコールを少し垂らす。すると、一瞬で炎が燃え上がり、1~2秒で鎮まった。その炎の高さは、身長161センチの技術スタッフを超えるほどだった。東京理科大学 火災科学研究所・松山賢所長「(注いだのは)10ミリリットルあるかないかくらいだと思いますけど、ほんの少量アルコールを入れただけで、非常に炎が高くまで立ち上がることは見ていて分かりますので、非常に危険だということは分かると思います。これだけの炎が立ち上がると、周囲にいる人たちはかなり高温な環境にさらされることになりますので、非常に危ない」コロナ禍で身近になった消毒用のアルコールだが、他のタイプでは火がつくとどうなるのか、実験した。まずは、ジェルタイプ。垂らした瞬間に火柱が上がった。液体よりも、少し長く燃えているように見える。松山賢所長「固まって集中して、そこに注がれている感じではありますので、少し長時間、燃えたということがあると思いますね」次に、アルコールの除菌シート。松山賢所長「少し青白い炎が。最初にアルコールが燃えて、その次に紙の部分が燃えていくという感じですね」アルコールが燃えると青白い炎が起きるものの、火はコンロからほとんど出ていないように見える。しかし、サーモグラフィーカメラで見ると、実際には、炎は、コンロの上まで高く上がっていることがわかる。その後は、シート自体が燃え始め、赤い炎と煙が見え始める。総務省消防庁は、消毒用アルコールについて、「引火しやすいため、火の気のある場所では使わないように」と注意喚起している。(*6月11日放送『真相報道バンキシャ!』より)
バーベキュー中に火が消毒用アルコールを注いだことで炎上し、学生1人が亡くなった事故を検証。コロナ禍を経て、いま多くの家庭に備えられている消毒用アルコールは、火に接するとどれだけ危険なのか。バンキシャ!が様々な角度から検証した。(バンキシャ!)

先月24日、福岡県柳川市の「ハリウッドワールド美容専門学校」で、バーベキューの火が男子学生4人に燃え移り、このうち、18歳の男子学生が死亡した。
バンキシャ!は、通報からおよそ15分後に撮影されたという写真を独自に入手。煙が出ているのが事故が起きたバーベキューコンロで、上に置かれた3枚の鉄板には、それぞれ肉などが残され、中にはまだピンク色で生焼け状態とみられるものもある。警察の対応をしているのは、この学校の理事長だ。
別の写真には、警察官とみられる人物が、メジャーのようなものを持ち、何かを測ろうとしている様子が写っている。そしてよく見ると、コンロの側面には油のシミのようなあとが残されている。
10日、学校の許可を得て事故現場を見せてもらった。
──(記者)ここが事故があった場所ですね。結構奥まで芝生が続いています。
壁際には、たくさんのバーベキューのコンロが、きれいに並べられて保管されている。
──あ、これバーベキューで燃やすときに使っていた器具ですね。
そのうちの1つのコンロには、見覚えのある特徴があった。
──これ、なんかちょっと油のシミのあとが写真と似てるな。
写真と同じ側面に、油のシミのようなあとが残されていた。このコンロで事故が起きたのだろうか。取材を続けると、事故当時の詳しい状況が明らかになってきた。
9日、バンキシャ!は、事故があった美容専門学校に通っている学生に話を聞いた。この学生は、事故当時も現場にいたという。
現場にいた学生「(バーベキューが)始まってすぐでしたね。ボン!って音が聞こえたので振り返ったって感じです。振り返ったら服や全身が燃えていた。何が起きたんだって思いました。周りのみんなはパニック状態って感じでした」
バーベキューが始まったのは先月24日、午後0時半すぎ。学校によると、敷地内にある広場に12台のコンロが用意され、全校生徒およそ470人と教員十数人が参加したという。事故が起きたのは、端から3台目のコンロだった。中には炭や着火剤、さらに火をつけやすくするため、手指消毒用のアルコールも混ぜられていたという。
そして、開始からおよそ15分、コンロの火が弱まり消えそうな状態になったという。そこで若手の男性職員が、ポリタンクに入った手指消毒用のアルコールを追加。すると「ボンッ!」という音と共に火柱が立ち上がったという。学校側によると、その様子は防犯カメラにも残されていて、火柱は1~2秒ほど上がっていたという。そして火は、近くにいた4人の男子学生に燃え移った。
現場にいた学生「何人かの先生が火を消そうとして駆け寄ってました。1人の先生が服を脱いで、服で(火を)消そうとしていました」
さらにお茶や水をかけたというが──。
現場にいた学生「熱いって言っていました。痛そうな顔をしていました」
重症だった1人は、事故から13日後の今月6日、息を引き取った。
最初に火をおこす段階から消毒用アルコールを使った理由について、学校側は次のように説明した。
ハリウッドワールド美容専門学校・古賀郁学園長「熱中症や肉の生焼けによる食中毒を防ぐため、短時間でしっかり焼こうとアルコールを使いました」
理事長が指示をし、前日にリハーサルもしていたという。アルコール入りのポリタンクは、火をつけたあと片付けるはずだったが、現場に残されたままに。それが事故の引き金となった。警察は、業務上過失致死傷の疑いで捜査を進めている。

今回の事故のように、消毒用のアルコールを火に直接かけることは、どれほど危険なのか。バンキシャ!は、専門家立ち会いのもと検証を行った。
10日、バンキシャ!が向かったのは、東京理科大学の火災科学研究所。火災について実験などをしている「火」専門の研究施設だ。火をつけるのは、防火服を着た研究所の技術スタッフ。安全のため、使用する消毒用のアルコールは少量にした。検証には着火後15分以上置いた炭を使った。
そして、技術スタッフが炭にアルコールを少し垂らす。すると、一瞬で炎が燃え上がり、1~2秒で鎮まった。その炎の高さは、身長161センチの技術スタッフを超えるほどだった。
東京理科大学 火災科学研究所・松山賢所長「(注いだのは)10ミリリットルあるかないかくらいだと思いますけど、ほんの少量アルコールを入れただけで、非常に炎が高くまで立ち上がることは見ていて分かりますので、非常に危険だということは分かると思います。これだけの炎が立ち上がると、周囲にいる人たちはかなり高温な環境にさらされることになりますので、非常に危ない」
コロナ禍で身近になった消毒用のアルコールだが、他のタイプでは火がつくとどうなるのか、実験した。まずは、ジェルタイプ。垂らした瞬間に火柱が上がった。液体よりも、少し長く燃えているように見える。
松山賢所長「固まって集中して、そこに注がれている感じではありますので、少し長時間、燃えたということがあると思いますね」
次に、アルコールの除菌シート。
松山賢所長「少し青白い炎が。最初にアルコールが燃えて、その次に紙の部分が燃えていくという感じですね」
アルコールが燃えると青白い炎が起きるものの、火はコンロからほとんど出ていないように見える。しかし、サーモグラフィーカメラで見ると、実際には、炎は、コンロの上まで高く上がっていることがわかる。その後は、シート自体が燃え始め、赤い炎と煙が見え始める。
総務省消防庁は、消毒用アルコールについて、「引火しやすいため、火の気のある場所では使わないように」と注意喚起している。

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