「年金は月5万円」がん闘病中でも職を探す66歳女性。“人付き合いもほぼゼロ”孤独な日々

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生活が苦しくとも誰にも相談できない―。そんな孤独を抱えながら貧困に苦しむ中高年が増えている。特に同居家族がいない独居中高年の場合、身近に助けを求められる人すらいなく、苦しい状況を一人で抱えたまま心を病んでしまう人もいる。中高年を襲う孤独と貧困の実情に迫った。◆「中高年シングル女性」の貧困が深刻化
中高年のなかでも、未婚者・離婚による「中高年シングル女性」の貧困は特に深刻だという。65歳以上の単身女性の約半数が相対的貧困に陥っているというデータもある。
「年金は月5万円ほどです。がんの闘病中ですが、それだけでは生活できないので働かざるを得ません」
都内の築40年超のアパートで暮らす高橋悦子さん(仮名・66歳)は、そう力なく語る。
◆5年前に突然の病魔が襲う
事務職のパートとして月10万円程度の収入でつましく暮らしていたが、5年前に病魔が襲った。
「乳がんでした。抗がん剤の副作用がひどく、離職を余儀なくされました。年金を繰り上げ受給し、貯蓄を取り崩して治療に専念しました」
◆再就職は難航…
その後、体調はやや回復し仕事探しを開始。しかしコロナ禍で再就職は難航した。
「がんで体力も低下しているため短時間勤務にならざるを得ず、履歴書を送っても門前払い。ようやくありついたのは、ホテルの皿洗いなど短期の仕事ばかりでした。
その後、コールセンターでクレーム対応をしていましたが、昨年冬に契約が打ち切られ、それ以降は無職です。経済的・精神的ストレスなのか、春頃には突発性難聴になり、今も左耳が聞きづらい状態なんです」
◆あと10か月ほどしか生活がもたない
貯蓄は約60万円で、「まったく収入がなければ、あと10か月ほどしか生活がもたない」という。
「がんの治療に月2万円はかかるし、なんとか節約で耐えています。お風呂は週3回程度、暖房も使わず、調理もなるべく火を使わない献立にしています。
一時は家賃を抑えようと引っ越しを検討しましたが、高齢を理由に断られ、UR賃貸は遠方にしかないので通院ができなくなる」
◆コロナ禍で人付き合いもほぼゼロに
このコロナ禍で人付き合いもほぼゼロになってしまった。
「昔からの友人に病気のことを話すのは気が引けるので、連絡は取っていません。両親は他界し、実姉とは折り合いが悪く絶縁状態。親類もいません。
人と会話するのはたまの買い物や通院ぐらい。仕事があれば人と関わる機会も得られるのですが……」
高橋さんのがん闘病とハローワーク通いの日は続く。
取材・文/週刊SPA!編集部

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