福岡・柳川バーベキュー火災1人死亡 背景に現代特有の事情も

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福岡県柳川市のハリウッドワールド美容専門学校が5月下旬、敷地内で開いた生徒が参加するバーベキューで火災が起き、1年生の男性4人がやけどを負い、うち1人が今月6日に死亡していたことが8日、分かった。なぜこんなことが起こったのか。その背景を探ると、現代特有の事情もありそうで――。
署や市消防本部によると、5月24日午後1時ごろ、「バーベキューの火が洋服に燃え移った」と同校から119番があった。やけどを負った4人は10~20代で、直後に全員が搬送された。重傷を負った男性(18)は今月6日に死亡。バーベキューは懇親のため開催され、当日は生徒ら約500人が集まっていた。
火力を強めようと、男性教員が炭に消毒用アルコールを加えた結果、激しく炎上したとみられ、柳川署は業務上過失致死傷容疑で捜査している。
同校幹部は、ドラム缶を利用したバーベキュー用器具を12台使い、そのうち1台が火災を起こしたと説明した。
コロナ禍以降、消毒用アルコールが日常の場にあるようになり、本来は火気厳禁で危ないという意識が薄れていたのかもしれない。
東京消防庁によると「手指消毒の際に使用する消毒用アルコールは、蒸発しやすく、可燃性蒸気が発生するため、火源があると引火するおそれがあります。消毒用アルコールを使用する付近では、喫煙やコンロ等を使用した調理など火気の使用はやめましょう」といい、火気の近くで使用しないよう強調している。
揮発性の高い液体燃料を火に加えると、火力が強まるのではなく、気化して、蒸気に引火して爆発することがある。
アルコールが火気厳禁というのは常識のはず。アルコールを加えた教員の年齢は公表されていないが、あまり火に触れてこなかった年代の可能性がある。今回の事件の背景にはそんな事情もありそうだ。
例えば、約10年前から小中学校の理科の実験でアルコールランプが使われなくなってきているという。
小学校教諭は「マッチを使える子供がいなくなったからです。そして取り扱いも難しく、危ない。ランプを倒したり、ランプからこぼれたりした液体に引火しても、アルコールの炎は青くて、肉眼では見えにくいから危険です。また、ランプの中の燃料が空になるまで燃やしたら、ランプ内のアルコールが気化して爆発するから危険ということを教わっていない世代が増えています」と指摘する。
一部報道によると、男子生徒についた火が見えづらかったため、学校関係者は何が起きているか分からなかったという。火も煙も見えないアルコールの炎の恐ろしさだ。
40代以上は子供の頃から火に触れており、火の危険さを身をもって体験してきただろう。しかし、その下の世代では、たばこ、爆竹、花火、たき火、石油ストーブを使う機会が減っている。ガスコンロがIHクッキングヒーターなどの家電になっている家もある。同様のことが繰り返されないための方策はあるのだろうか。

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