「ガーシー」逮捕で盟友「FC2」高橋理洋氏はどうなる? 警察当局による“兵糧攻め”と知られざる巨額“決済ストップ”事件

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ガーシー容疑者の逮捕を受け、“盟友”の大手ウェブサービス「FC2」創業者・高橋理洋氏の動向に注目が集まっている。国際手配されて8年経つが、「嫌疑の不当性」を訴える姿勢に変わりはない一方で、警察当局による“包囲網”は急速に狭まっているという。
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【写真を見る】「伝説のFC2配信者」がアップした、写真に収まりきらない売上4000万円のタワー「高橋さん自身は“日本に帰りたい”という気持ちは持っていますが、逮捕・拘留などのリスクがある限りは“帰らない”との意思は変わっていないようです。それよりも警察の締め付けで生じたトラブルの解決のほうに、いまは頭を悩ませていると聞きました」

こう話すのは高橋氏とビジネス上の付き合いがあり、近況を知り得る立場にあるという大手アダルトメーカー関係者だ。高橋氏のSNSより 警視庁は昨年11月、“無修正”など違法動画が流通しているとして、クレジットカード大手「JCB」「VISA」「MasterCard」の3社に対し、FC2でのカード決済ができなくなるように要請。それを受け、3社はFC2との間に入っていた決済代行会社にFC2との取引中止を促す措置を取ったとされる。「その煽りで決済代行会社の一つが突然取引を停止し、年末から年始にかけてFC2に入るはずだった10億円を超える決済代金がストップしたそうです。今年に入って以降、警察からの圧力で国内の決済代行会社との取引が難しくなったので、海外の決済代理会社に切り替える作業に追われているとも聞きました」(同)周辺で相次ぐ逮捕者「FC2は違法なコンテンツで収益を上げている会社だ」との警察側のアナウンスが功を奏した結果とされるが、攻勢はカード会社への圧力だけにとどまらない。 FC2では動画販売で得られる「売上ポイント」を商品券などに交換できる仕組みを採用しているが、警視庁はすでに21年末、FC2と代理店契約を結び「ポイント」を商品券と交換していた都内の業者をわいせつ電磁的記録等送信頒布幇助の容疑で逮捕した。「FC2に動画を上げている配信者のなかには“商品券でもらうとアシが付かない”という理由から、売上を商品券で受け取る者が少なくありませんでした。もちろん、その多くが投稿した動画の違法性を認識している配信者たち。記録の残る振込に対して、商品券だと換金時に手数料分が差し引かれ手取りは少なくなりますが、逮捕のリスクに比べれば安いもの。でも交換業者まで摘発対象になったことで動揺が広がりました」(元FC2配信者) 昨年5月、警視庁はわいせつ動画113本を動画販売サイト「FC2コンテンツマーケット」で販売し、14カ月で約3億円を売り上げた配信者(当時43)を逮捕。FC2界隈では「無名な男」の名前で知られた存在だったが、この人物も売上を商品券に換えていた一人という。国際手配の容疑 FC2の開設は1999年だが、警察当局が「無修正など違法動画の売買が横行している」として“目の敵”にしてきたのが「FC2コンテンツマーケット」だった。「FC2はアクセス数で世界100位内に入る大手サイトで、その急成長の原動力はFC2コンテンツマーケット内に大量に流通している無修正や未成年が出演する違法な動画コンテンツだ。末端の配信者を逮捕してもキリがなく、運営サイドに是正を求めるしかない」(警視庁関係者) しかし警察当局の見立てと、高橋氏側の認識には大きなズレが生じているという。「FC2もセクシー動画の投稿に際しては、出演者の年齢確認と同意書の添付を配信者に義務付けています。またAI(人工知能)などを使って違法動画の検閲も行っている。さらに警察からFC2側に違法投稿者に関する照会が来れば、捜査に協力して情報も提供しているそうです。現実問題として投稿動画を事前にすべてチェックするのは不可能なため、高橋さんとしては“やれることはやっている”という思いが強い」(前出・メーカー関係者) 高橋氏が国際手配されたのは2015年。京都府警サイバー犯罪対策課などがわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で逮捕状を取ったことに始まる。逆転敗訴の衝撃 同年、京都府警など5府県警による合同捜査本部はFC2にわいせつ動画が投稿されている問題で、関連会社社長だった高橋氏の実弟らを公然わいせつ容疑などで逮捕。17年3月、京都地裁は実弟らに有罪判決(懲役2年6月、執行猶予4年)を言い渡した。 警察当局による攻勢に歩調を合わせるように、司法の場でもFC2に厳しい姿勢が示されている。5月26日、動画配信サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが国内特許を持つ「コメント配信システム(動画上に表示されるコメント機能)」をFC2が採用しているのは「特許侵害に当たる」として、FC2を訴えた裁判の控訴審判決が知財高裁で下された。「FC2側は“サーバーがアメリカにあるため、日本の特許権は及ばない”と主張していましたが、判決は特許侵害を認め、FC2に配信差し止めと約1100万円の支払いを命じました。1審判決はドワンゴ側の敗訴でしたが、控訴審では“日本のユーザーが端末で受信することで(コメント配信システムは)完成する”と指摘。サーバーが海外にあっても“サービスの効果が国内で生じている”として、FC2に逆転敗訴を言い渡した」(全国紙司法記者) 今回の司法判断は「FC2のサイトへのアクセスの90%以上は日本からで、日本のユーザーに向けて商売をしているのは明らか。“(拠点のある)アメリカの会社だ”というのは法の網をかいくぐる詭弁に過ぎない」(警視庁関係者)という警察当局の見方にも沿ったものだ。ちなみにドワンゴ創業者の川上量生氏も、ガーシー容疑者から「脅迫」を受けていた一人である。「高橋さんは米国籍を取得していて、お金もあり余るほど持っているので、今後も海外で生活を続けるのに何の問題もありません。けれど日本の警察によるプレッシャーでFC2の業務や運営に支障が出かねないことが頭痛のタネになっている。事実、私の周りでも“警察に睨まれているところとは関わらないほうが無難だ”と、FC2以外のフォーマットを探すメーカーや配信者が現れ始めています」(前出・メーカー関係者) こちらの攻防の行方はまだ見通せない。デイリー新潮編集部
「高橋さん自身は“日本に帰りたい”という気持ちは持っていますが、逮捕・拘留などのリスクがある限りは“帰らない”との意思は変わっていないようです。それよりも警察の締め付けで生じたトラブルの解決のほうに、いまは頭を悩ませていると聞きました」
こう話すのは高橋氏とビジネス上の付き合いがあり、近況を知り得る立場にあるという大手アダルトメーカー関係者だ。
警視庁は昨年11月、“無修正”など違法動画が流通しているとして、クレジットカード大手「JCB」「VISA」「MasterCard」の3社に対し、FC2でのカード決済ができなくなるように要請。それを受け、3社はFC2との間に入っていた決済代行会社にFC2との取引中止を促す措置を取ったとされる。
「その煽りで決済代行会社の一つが突然取引を停止し、年末から年始にかけてFC2に入るはずだった10億円を超える決済代金がストップしたそうです。今年に入って以降、警察からの圧力で国内の決済代行会社との取引が難しくなったので、海外の決済代理会社に切り替える作業に追われているとも聞きました」(同)
「FC2は違法なコンテンツで収益を上げている会社だ」との警察側のアナウンスが功を奏した結果とされるが、攻勢はカード会社への圧力だけにとどまらない。
FC2では動画販売で得られる「売上ポイント」を商品券などに交換できる仕組みを採用しているが、警視庁はすでに21年末、FC2と代理店契約を結び「ポイント」を商品券と交換していた都内の業者をわいせつ電磁的記録等送信頒布幇助の容疑で逮捕した。
「FC2に動画を上げている配信者のなかには“商品券でもらうとアシが付かない”という理由から、売上を商品券で受け取る者が少なくありませんでした。もちろん、その多くが投稿した動画の違法性を認識している配信者たち。記録の残る振込に対して、商品券だと換金時に手数料分が差し引かれ手取りは少なくなりますが、逮捕のリスクに比べれば安いもの。でも交換業者まで摘発対象になったことで動揺が広がりました」(元FC2配信者)
昨年5月、警視庁はわいせつ動画113本を動画販売サイト「FC2コンテンツマーケット」で販売し、14カ月で約3億円を売り上げた配信者(当時43)を逮捕。FC2界隈では「無名な男」の名前で知られた存在だったが、この人物も売上を商品券に換えていた一人という。
FC2の開設は1999年だが、警察当局が「無修正など違法動画の売買が横行している」として“目の敵”にしてきたのが「FC2コンテンツマーケット」だった。
「FC2はアクセス数で世界100位内に入る大手サイトで、その急成長の原動力はFC2コンテンツマーケット内に大量に流通している無修正や未成年が出演する違法な動画コンテンツだ。末端の配信者を逮捕してもキリがなく、運営サイドに是正を求めるしかない」(警視庁関係者)
しかし警察当局の見立てと、高橋氏側の認識には大きなズレが生じているという。
「FC2もセクシー動画の投稿に際しては、出演者の年齢確認と同意書の添付を配信者に義務付けています。またAI(人工知能)などを使って違法動画の検閲も行っている。さらに警察からFC2側に違法投稿者に関する照会が来れば、捜査に協力して情報も提供しているそうです。現実問題として投稿動画を事前にすべてチェックするのは不可能なため、高橋さんとしては“やれることはやっている”という思いが強い」(前出・メーカー関係者)
高橋氏が国際手配されたのは2015年。京都府警サイバー犯罪対策課などがわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑で逮捕状を取ったことに始まる。
同年、京都府警など5府県警による合同捜査本部はFC2にわいせつ動画が投稿されている問題で、関連会社社長だった高橋氏の実弟らを公然わいせつ容疑などで逮捕。17年3月、京都地裁は実弟らに有罪判決(懲役2年6月、執行猶予4年)を言い渡した。
警察当局による攻勢に歩調を合わせるように、司法の場でもFC2に厳しい姿勢が示されている。5月26日、動画配信サイト「ニコニコ動画」を運営するドワンゴが国内特許を持つ「コメント配信システム(動画上に表示されるコメント機能)」をFC2が採用しているのは「特許侵害に当たる」として、FC2を訴えた裁判の控訴審判決が知財高裁で下された。
「FC2側は“サーバーがアメリカにあるため、日本の特許権は及ばない”と主張していましたが、判決は特許侵害を認め、FC2に配信差し止めと約1100万円の支払いを命じました。1審判決はドワンゴ側の敗訴でしたが、控訴審では“日本のユーザーが端末で受信することで(コメント配信システムは)完成する”と指摘。サーバーが海外にあっても“サービスの効果が国内で生じている”として、FC2に逆転敗訴を言い渡した」(全国紙司法記者)
今回の司法判断は「FC2のサイトへのアクセスの90%以上は日本からで、日本のユーザーに向けて商売をしているのは明らか。“(拠点のある)アメリカの会社だ”というのは法の網をかいくぐる詭弁に過ぎない」(警視庁関係者)という警察当局の見方にも沿ったものだ。ちなみにドワンゴ創業者の川上量生氏も、ガーシー容疑者から「脅迫」を受けていた一人である。
「高橋さんは米国籍を取得していて、お金もあり余るほど持っているので、今後も海外で生活を続けるのに何の問題もありません。けれど日本の警察によるプレッシャーでFC2の業務や運営に支障が出かねないことが頭痛のタネになっている。事実、私の周りでも“警察に睨まれているところとは関わらないほうが無難だ”と、FC2以外のフォーマットを探すメーカーや配信者が現れ始めています」(前出・メーカー関係者)
こちらの攻防の行方はまだ見通せない。
デイリー新潮編集部

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