「体調を崩したら心中するしかない」年金は月8万円、病気の妻を抱えた76歳の“バイト掛け持ち”生活

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生活が苦しくとも誰にも相談できない―。そんな孤独を抱えながら貧困に苦しむ中高年が増えている。特に同居家族がいない独居中高年の場合、身近に助けを求められる人すらいなく、苦しい状況を一人で抱えたまま心を病んでしまう人もいる。中高年を襲う孤独と貧困の実情に迫った。◆後期高齢者でもダブルワーク
「妻が病気で働けないということもあり、老体に鞭打って働いています。ただ、貯金はないので自分が体調を崩したらもう手詰まり。首を絞め合って心中するしかないかな、という気持ちです」
高橋正雄さんは家賃7万2000円のアパートに奥さんと暮らしつつ、調理と清掃のバイトを掛け持ちしている。
「年齢的にもダブルワークなんてしたくない。でも生きていくためにはお金が必要だし、本当はもっと家賃の安い公営住宅に引っ越したいけど、その資金がないので。
年金は未納時期もあったので月の受給額は私が6万円、妻が2万円。バイト代の月6万円と合わせてギリギリの生活ですね」
◆高齢者ゆえのトラブルも…
高橋さんは高齢者ゆえのトラブルとも闘っている。
「以前に働いていた調理の仕事中に肩を痛めて、それが労災認定されなかったので5年以上も係争中なんです。
高齢者の場合、仕事がなくなることのほうが怖いので泣き寝入りする人が多いらしいのですが、今後は働く高齢者が増えるでしょうし、私が判例になってもっと理解のある社会にできたらという気持ちです」
◆年齢的にいつまで働けるかが気がかり
年齢的にも、いつまで働けるかが気がかりだという。
「職場の年齢制限も迫っています。清掃の仕事は77歳までのところを特例で延長してもらえるとはいわれていますが、どこまで信じていいものか……。
もう一つの調理の仕事は80歳を過ぎても働けるらしいですが、これ以上給料が減ると生活できないので、切実な問題ですね」
限界まで働く高齢者の出口が見えない日々は続く。
取材・文/週刊SPA!編集部

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