「転倒しないように手をつないで…」 上皇ご夫妻のアフターコロナ旅行、背景に官邸の思惑が

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マスクを着けず、手を振りながらにこやかに京都駅へお見えになったお二人――。上皇、上皇后ご夫妻が4年振りに地方へ“ご旅行”にお出ましになった。皇室にもアフターコロナの動きが出てきたが、そこには岸田官邸の影も垣間見える。
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【最新カット】初夏の装いの小室眞子さん 小室圭さんは「半袖&短パン」のリラックスした姿 上皇、上皇后両陛下は今月14日に東京を出発され、京都へ。皇室ゆかりの古寺をご訪問、1400年の伝統を持つ「葵祭」を見学された後、奈良に移って古刹や文化施設を視察されるなど、4泊5日の日程となる。

「令和元年6月以来ですから、実に4年振りのご旅行となります」 とは、宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司氏である。上皇、上皇后ご夫妻「退位後、基本的に公務はなさらないことになっていますので、私的なご旅行の機会も増えると思っていましたが、程なくコロナ禍となったため、ご旅行どころか、外出されることもほとんどなくなっていました。しかし、コロナ対策が緩和されてきた情勢を鑑み、感染対策に留意しながらも地方訪問を再開することにされたのでしょう。非常に喜ばしいことです」転倒しないように手をつないで… 上皇陛下は御年89、上皇后陛下は88歳であられる。京都・奈良で4泊5日というゆったりとした日程はご年齢を十分に考慮したものだ。「両陛下とも心臓に持病を抱えていらっしゃいますが、日々の生活に支障が出ているわけではありません」 と述べるのは、宮内庁担当記者である。「毎朝、お住まいの赤坂仙洞御所の周りを散歩されています。夕方はお庭に出て、1時間も散策されることもあるとか。転倒しないよう手をつないでお互いに支え合っていらっしゃいます。上皇后陛下は途中で息を整えられることもあるそうですが、日常生活は不自由なくお過ごしになっています」 新型コロナの感染症法上の指定が2類相当から5類に変わって、今後お出ましが増えていきそうだ。強いメッセージ 天皇・皇后であられたときは公のことに専念してこられた両陛下。退位され、そしてコロナ禍も明け、ようやく私的な時間が生まれたとなれば喜ばしいが、「ただ、今回のご訪問も、決して両陛下のご意向のみではないという事情がありまして……」 と内情を語るのは、さる宮内庁関係者だ。「実は、官邸から内々に、5類に変更となるGW明けに私的旅行の再開は可能か、との“探り”があったようです。両陛下がお出ましになれば国民に遠出が可能と伝える強いメッセージになりますからね。もしご意向があれば是非、と官邸は考えたんでしょう」 というから、やはり退位されても「政治」は付きまとう。なるほど今回の「私的旅行」に、取材設定が多いのも納得なのだ。 皇室ジャーナリストの神田秀一氏は言う。「今後、さまざまなところにお出ましになるといっても、やはり個人的なお好みで、とはいかない。在位中、両陛下は常に国民と共に歩むことを考えてこられた。今後のご訪問先も、東日本大震災の被災地などが候補となるのではないでしょうか」 18日には東京に戻られた両陛下。 アフターコロナも変わらぬ歩みが続きそうである。「週刊新潮」2023年5月25日号 掲載
上皇、上皇后両陛下は今月14日に東京を出発され、京都へ。皇室ゆかりの古寺をご訪問、1400年の伝統を持つ「葵祭」を見学された後、奈良に移って古刹や文化施設を視察されるなど、4泊5日の日程となる。
「令和元年6月以来ですから、実に4年振りのご旅行となります」
とは、宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司氏である。
「退位後、基本的に公務はなさらないことになっていますので、私的なご旅行の機会も増えると思っていましたが、程なくコロナ禍となったため、ご旅行どころか、外出されることもほとんどなくなっていました。しかし、コロナ対策が緩和されてきた情勢を鑑み、感染対策に留意しながらも地方訪問を再開することにされたのでしょう。非常に喜ばしいことです」
上皇陛下は御年89、上皇后陛下は88歳であられる。京都・奈良で4泊5日というゆったりとした日程はご年齢を十分に考慮したものだ。
「両陛下とも心臓に持病を抱えていらっしゃいますが、日々の生活に支障が出ているわけではありません」
と述べるのは、宮内庁担当記者である。
「毎朝、お住まいの赤坂仙洞御所の周りを散歩されています。夕方はお庭に出て、1時間も散策されることもあるとか。転倒しないよう手をつないでお互いに支え合っていらっしゃいます。上皇后陛下は途中で息を整えられることもあるそうですが、日常生活は不自由なくお過ごしになっています」
新型コロナの感染症法上の指定が2類相当から5類に変わって、今後お出ましが増えていきそうだ。
天皇・皇后であられたときは公のことに専念してこられた両陛下。退位され、そしてコロナ禍も明け、ようやく私的な時間が生まれたとなれば喜ばしいが、
「ただ、今回のご訪問も、決して両陛下のご意向のみではないという事情がありまして……」
と内情を語るのは、さる宮内庁関係者だ。
「実は、官邸から内々に、5類に変更となるGW明けに私的旅行の再開は可能か、との“探り”があったようです。両陛下がお出ましになれば国民に遠出が可能と伝える強いメッセージになりますからね。もしご意向があれば是非、と官邸は考えたんでしょう」
というから、やはり退位されても「政治」は付きまとう。なるほど今回の「私的旅行」に、取材設定が多いのも納得なのだ。
皇室ジャーナリストの神田秀一氏は言う。
「今後、さまざまなところにお出ましになるといっても、やはり個人的なお好みで、とはいかない。在位中、両陛下は常に国民と共に歩むことを考えてこられた。今後のご訪問先も、東日本大震災の被災地などが候補となるのではないでしょうか」
18日には東京に戻られた両陛下。
アフターコロナも変わらぬ歩みが続きそうである。
「週刊新潮」2023年5月25日号 掲載

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