48歳オーナー企業社長で超資産家妻が夫の「マスオさん不倫」にマジギレし、「ラブホテル入口で仁王立ち」

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前編『48歳オーナー企業社長で超資産家の嫁が54歳夫を「マスオさん不倫」に走らせたヤバすぎる境遇』で見たように、400万円もの札束を叩きつけて、夫の不倫調査を依頼した女性は、アラフィフ世代の会社経営者であった。夫は婿養子ではないものの、結婚後は妻の実家で義理の両親と同居してきた、いわばサザエさんの夫のマスオさん状態。両親の他界に伴って、妻は会社を継承し社長となっているが、夫はその会社の一介の社員に過ぎなかった。

いびつな夫婦関係と言ってしまえばそれまでだが、しかし、妻は資産家の娘。いずれ時が経てば夫にも、それなりの見返りがあるはずと思い、わがままでキレやすい妻をコントロールしているようであった。そんな夫の浮気疑惑が浮上し、資産家妻は弊社へ調査依頼をしてきたのである。photo by yang/Gettyimages 調査開始からすぐに判明したのは、就業時間になると夫はさっさと帰宅する点であった。妻と同じ会社とは言え、自社ビルの最上階の社長室にいる妻と、営業部の一般社員とでは、物理的にも頻繁に接触するのは容易くない。もちろん夫婦の間であるから、どちらからか携帯にでも連絡すれば、どこかで落ち合って一緒に帰ることもできるはずだが、そこは社長である妻の育代さんは一線を引いていた。「結婚した当初は、私だって夫のために尽くしましたわよ、愛していましたからね。だけど一緒に暮らすうちに、ああこの人、私になんの興味もないのねって気づいたんです。少しは好きだったんでしょうけど、やはり資産の方が魅力的だったのでしょう。だから浮気なんて、余計に許せないんです!」愛されていると実感できれば、多少の浮気は許される場合があるかもしれない。確かに、育代さんのように、愛されていない上に浮気をされたら、嫉妬心は倍増するのかもしれない。すでにセックスレスになって20年以上経つと言う。従って子供もいない。調査開始から数日が経った頃、育代さんから連絡が入った。「今しがた夫から“今日は接待で遅くなる”ってメールが来ました!たぶん女と会うと思います! いいですか、今日こそシッポを捕まえて下さいよ!」急きょ、チーム編成を整え夫の会社に急行し、退勤からの足取りをつぶさに追跡することになった。人間、これからやましいと思う行動を行う時には、表玄関よりも裏口からそっと出てくる場合が多い。案の定、退勤時間になった夫は、周囲をキョロキョロ見回して、見るからに忍び足で裏口から出てきたではないか。夫はしばらく歩いて移動し、会社からかなり離れた場所で、再び辺りを見回してから、通りかかったタクシーを拾い走り去っていく。夫は、かなり慎重派のようだ。だからこそ、これまで妻の網にかからずに済んできたとも言える。探偵たちも用意していた車に乗り、夫の乗ったタクシーに付かず離れず着いていく。やがて到着したのは、都心の繁華街のある駅であった。探偵が決定的証拠を固めようとした時、まさかの…15分ほど経った頃だろうか、構内の一隅に人待ち顔で佇む夫を張り込んでいると、夫のもとに40代と思しき女性が駆け寄ってきた。瞬時に小型のカメラで、2人の遭遇シーンを収める。尾行は、ここからが本番だ。ところが、その時、現場の探偵に妻の育代さんから電話が入った。「どうなの!?夫の浮気の証拠は出てきたの!? 」なんという勘の良さ。しかし、まだ確信が無いかぎり詳細を報告することはできない。「夫はどこにいるの!?教えてくれないと、料金払わないわよ!」しかたなく〇〇駅にいることだけを伝え、女性の存在については言葉を濁した。その後もしつこく育代さんからは電話がかかってきたが、探偵たちも無視するわけにはいかない。その度に「まだわからない」を連発するしかなかった。夫はというと、40代女性と高級レストランに入り2人きりで食事を楽しんでいた。探偵たちも客として入店し、横で聞き耳を立てる。photo by Burke/Triolo Productions/Gettyimages 2人の会話には、仕事の話は一切登場しない。そればかりか旅行に行った思い出話や、公にすることが憚れるような下ネタも多く、2人が「デキている」と確信するに至ったのである。ここまでくれば、追跡した結果を早く知りたいとイライラを募らせてきた育代さんにも、現状も報告してもいいだろうと決断。「女性と落ち合って食事中です。2人の会話から、間違いなく愛人関係にあると思われます」電話の向こうで、何かが壊れる音が響き、通信はプツンと切られてしまった。食事を終えて2人がどこに行くのか。尾行は続いた。思っていた通り、数軒のラブホテルが並ぶ裏通りへと、腕を絡めあって歩いていく。その中の一軒に入っていく2人をカメラに収め、確固たる証拠を掴むことに成功した。おそらく泊まることはないはず。出てくる瞬間もとらえれば、証拠としてさらに強力になる。ところが、問題が発生したのは、ここからだった。photo by d3sign/Gettyimages 暗がりでじっと張り込みをする探偵の目の前に、見たことのある女性が現れたのである。依頼者の育代さんだった。うっかり駅の名前を言ったことから、行き着く先は裏通りのラブホテルだと推理し、矢も楯もたまらず怒りに任せてやってきたのだという。激怒する妻がラブホテルの前で仁王立ち「夫が入ったのは、このホテルね!」探偵がそうだとも違うとも言わないうちに、育代さんはホテルの入り口で仁王立ちとなって、夫を迎え撃つというのだ。しかし、これではホテルの営業妨害。従業員がすっ飛んできて注意をするのだが、育代さんは意に介せず。「中に旦那がいるんで待っているの! それの何が悪いのよ!」育代さんも負けていない。入口の横で待つということで、従業員も渋々妥協せざるを得なかった。この状況で夫と愛人が出てきたら、一体、どうなるか?果たして、約1時間後、夫は愛人と腕を組んで出てきたが、正面を向いてぎょっとした。「あんたなんなの!なにしてんの!どういうつもり!」久し振りの逢瀬に夢見心地で出てきた夫に浴びせられた、いきなりの罵詈雑言。何が起きているのか理解するには、しばしの時間がかかったことだろう。実は夫よりも先に、この修羅場を理解したのは、愛人の方であった。しかしこの愛人も相当気が強いのか、「ふざけんじゃないわよ!こんなところで痴話げんかするなんて、バッカじゃないの!?」これが売り言葉に買い言葉となって、大きな声でケンカを始めてしまったのだ。これにはホテルの従業員もあきれ果て、必死に止めるのだが言うことを聞かない。夫はというと、呆然としながら、2人から距離をとって傍観するのみであった。結局、ホテル側が警察を呼んで、ようやく沈静化したのである。警察で聴取を終えた育代さんと夫は、育代さんの車で帰宅したのだが、車内が再び戦場となったのは火を見るよりも明らかであった。夫人が出した結論は…しかし、後日、育代さんは「離婚はしたくない」と連絡してきたのである。聞けば、もともと離婚する気など毛頭なく、相手の女性をとっちめられれば良いと考えていたというのだ。さらにこんなことも—「旦那は一生、私の下僕として、尽くしてもらおうと思ってますの。だって離婚したら自由の身になっちゃうでしょ?」photo by Indeed/Gettyimages 愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」弊社の誰もが、この言葉にぞっとしたのは言うまでもない。(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)
前編『48歳オーナー企業社長で超資産家の嫁が54歳夫を「マスオさん不倫」に走らせたヤバすぎる境遇』で見たように、400万円もの札束を叩きつけて、夫の不倫調査を依頼した女性は、アラフィフ世代の会社経営者であった。夫は婿養子ではないものの、結婚後は妻の実家で義理の両親と同居してきた、いわばサザエさんの夫のマスオさん状態。両親の他界に伴って、妻は会社を継承し社長となっているが、夫はその会社の一介の社員に過ぎなかった。
いびつな夫婦関係と言ってしまえばそれまでだが、しかし、妻は資産家の娘。いずれ時が経てば夫にも、それなりの見返りがあるはずと思い、わがままでキレやすい妻をコントロールしているようであった。
そんな夫の浮気疑惑が浮上し、資産家妻は弊社へ調査依頼をしてきたのである。
photo by yang/Gettyimages
調査開始からすぐに判明したのは、就業時間になると夫はさっさと帰宅する点であった。妻と同じ会社とは言え、自社ビルの最上階の社長室にいる妻と、営業部の一般社員とでは、物理的にも頻繁に接触するのは容易くない。もちろん夫婦の間であるから、どちらからか携帯にでも連絡すれば、どこかで落ち合って一緒に帰ることもできるはずだが、そこは社長である妻の育代さんは一線を引いていた。「結婚した当初は、私だって夫のために尽くしましたわよ、愛していましたからね。だけど一緒に暮らすうちに、ああこの人、私になんの興味もないのねって気づいたんです。少しは好きだったんでしょうけど、やはり資産の方が魅力的だったのでしょう。だから浮気なんて、余計に許せないんです!」愛されていると実感できれば、多少の浮気は許される場合があるかもしれない。確かに、育代さんのように、愛されていない上に浮気をされたら、嫉妬心は倍増するのかもしれない。すでにセックスレスになって20年以上経つと言う。従って子供もいない。調査開始から数日が経った頃、育代さんから連絡が入った。「今しがた夫から“今日は接待で遅くなる”ってメールが来ました!たぶん女と会うと思います! いいですか、今日こそシッポを捕まえて下さいよ!」急きょ、チーム編成を整え夫の会社に急行し、退勤からの足取りをつぶさに追跡することになった。人間、これからやましいと思う行動を行う時には、表玄関よりも裏口からそっと出てくる場合が多い。案の定、退勤時間になった夫は、周囲をキョロキョロ見回して、見るからに忍び足で裏口から出てきたではないか。夫はしばらく歩いて移動し、会社からかなり離れた場所で、再び辺りを見回してから、通りかかったタクシーを拾い走り去っていく。夫は、かなり慎重派のようだ。だからこそ、これまで妻の網にかからずに済んできたとも言える。探偵たちも用意していた車に乗り、夫の乗ったタクシーに付かず離れず着いていく。やがて到着したのは、都心の繁華街のある駅であった。探偵が決定的証拠を固めようとした時、まさかの…15分ほど経った頃だろうか、構内の一隅に人待ち顔で佇む夫を張り込んでいると、夫のもとに40代と思しき女性が駆け寄ってきた。瞬時に小型のカメラで、2人の遭遇シーンを収める。尾行は、ここからが本番だ。ところが、その時、現場の探偵に妻の育代さんから電話が入った。「どうなの!?夫の浮気の証拠は出てきたの!? 」なんという勘の良さ。しかし、まだ確信が無いかぎり詳細を報告することはできない。「夫はどこにいるの!?教えてくれないと、料金払わないわよ!」しかたなく〇〇駅にいることだけを伝え、女性の存在については言葉を濁した。その後もしつこく育代さんからは電話がかかってきたが、探偵たちも無視するわけにはいかない。その度に「まだわからない」を連発するしかなかった。夫はというと、40代女性と高級レストランに入り2人きりで食事を楽しんでいた。探偵たちも客として入店し、横で聞き耳を立てる。photo by Burke/Triolo Productions/Gettyimages 2人の会話には、仕事の話は一切登場しない。そればかりか旅行に行った思い出話や、公にすることが憚れるような下ネタも多く、2人が「デキている」と確信するに至ったのである。ここまでくれば、追跡した結果を早く知りたいとイライラを募らせてきた育代さんにも、現状も報告してもいいだろうと決断。「女性と落ち合って食事中です。2人の会話から、間違いなく愛人関係にあると思われます」電話の向こうで、何かが壊れる音が響き、通信はプツンと切られてしまった。食事を終えて2人がどこに行くのか。尾行は続いた。思っていた通り、数軒のラブホテルが並ぶ裏通りへと、腕を絡めあって歩いていく。その中の一軒に入っていく2人をカメラに収め、確固たる証拠を掴むことに成功した。おそらく泊まることはないはず。出てくる瞬間もとらえれば、証拠としてさらに強力になる。ところが、問題が発生したのは、ここからだった。photo by d3sign/Gettyimages 暗がりでじっと張り込みをする探偵の目の前に、見たことのある女性が現れたのである。依頼者の育代さんだった。うっかり駅の名前を言ったことから、行き着く先は裏通りのラブホテルだと推理し、矢も楯もたまらず怒りに任せてやってきたのだという。激怒する妻がラブホテルの前で仁王立ち「夫が入ったのは、このホテルね!」探偵がそうだとも違うとも言わないうちに、育代さんはホテルの入り口で仁王立ちとなって、夫を迎え撃つというのだ。しかし、これではホテルの営業妨害。従業員がすっ飛んできて注意をするのだが、育代さんは意に介せず。「中に旦那がいるんで待っているの! それの何が悪いのよ!」育代さんも負けていない。入口の横で待つということで、従業員も渋々妥協せざるを得なかった。この状況で夫と愛人が出てきたら、一体、どうなるか?果たして、約1時間後、夫は愛人と腕を組んで出てきたが、正面を向いてぎょっとした。「あんたなんなの!なにしてんの!どういうつもり!」久し振りの逢瀬に夢見心地で出てきた夫に浴びせられた、いきなりの罵詈雑言。何が起きているのか理解するには、しばしの時間がかかったことだろう。実は夫よりも先に、この修羅場を理解したのは、愛人の方であった。しかしこの愛人も相当気が強いのか、「ふざけんじゃないわよ!こんなところで痴話げんかするなんて、バッカじゃないの!?」これが売り言葉に買い言葉となって、大きな声でケンカを始めてしまったのだ。これにはホテルの従業員もあきれ果て、必死に止めるのだが言うことを聞かない。夫はというと、呆然としながら、2人から距離をとって傍観するのみであった。結局、ホテル側が警察を呼んで、ようやく沈静化したのである。警察で聴取を終えた育代さんと夫は、育代さんの車で帰宅したのだが、車内が再び戦場となったのは火を見るよりも明らかであった。夫人が出した結論は…しかし、後日、育代さんは「離婚はしたくない」と連絡してきたのである。聞けば、もともと離婚する気など毛頭なく、相手の女性をとっちめられれば良いと考えていたというのだ。さらにこんなことも—「旦那は一生、私の下僕として、尽くしてもらおうと思ってますの。だって離婚したら自由の身になっちゃうでしょ?」photo by Indeed/Gettyimages 愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」弊社の誰もが、この言葉にぞっとしたのは言うまでもない。(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)
調査開始からすぐに判明したのは、就業時間になると夫はさっさと帰宅する点であった。妻と同じ会社とは言え、自社ビルの最上階の社長室にいる妻と、営業部の一般社員とでは、物理的にも頻繁に接触するのは容易くない。もちろん夫婦の間であるから、どちらからか携帯にでも連絡すれば、どこかで落ち合って一緒に帰ることもできるはずだが、そこは社長である妻の育代さんは一線を引いていた。
「結婚した当初は、私だって夫のために尽くしましたわよ、愛していましたからね。だけど一緒に暮らすうちに、ああこの人、私になんの興味もないのねって気づいたんです。少しは好きだったんでしょうけど、やはり資産の方が魅力的だったのでしょう。だから浮気なんて、余計に許せないんです!」
愛されていると実感できれば、多少の浮気は許される場合があるかもしれない。確かに、育代さんのように、愛されていない上に浮気をされたら、嫉妬心は倍増するのかもしれない。すでにセックスレスになって20年以上経つと言う。従って子供もいない。
調査開始から数日が経った頃、育代さんから連絡が入った。「今しがた夫から“今日は接待で遅くなる”ってメールが来ました!たぶん女と会うと思います! いいですか、今日こそシッポを捕まえて下さいよ!」
急きょ、チーム編成を整え夫の会社に急行し、退勤からの足取りをつぶさに追跡することになった。
人間、これからやましいと思う行動を行う時には、表玄関よりも裏口からそっと出てくる場合が多い。案の定、退勤時間になった夫は、周囲をキョロキョロ見回して、見るからに忍び足で裏口から出てきたではないか。夫はしばらく歩いて移動し、会社からかなり離れた場所で、再び辺りを見回してから、通りかかったタクシーを拾い走り去っていく。
夫は、かなり慎重派のようだ。だからこそ、これまで妻の網にかからずに済んできたとも言える。探偵たちも用意していた車に乗り、夫の乗ったタクシーに付かず離れず着いていく。やがて到着したのは、都心の繁華街のある駅であった。
15分ほど経った頃だろうか、構内の一隅に人待ち顔で佇む夫を張り込んでいると、夫のもとに40代と思しき女性が駆け寄ってきた。瞬時に小型のカメラで、2人の遭遇シーンを収める。尾行は、ここからが本番だ。ところが、その時、現場の探偵に妻の育代さんから電話が入った。
「どうなの!?夫の浮気の証拠は出てきたの!? 」
なんという勘の良さ。しかし、まだ確信が無いかぎり詳細を報告することはできない。
「夫はどこにいるの!?教えてくれないと、料金払わないわよ!」
しかたなく〇〇駅にいることだけを伝え、女性の存在については言葉を濁した。その後もしつこく育代さんからは電話がかかってきたが、探偵たちも無視するわけにはいかない。その度に「まだわからない」を連発するしかなかった。夫はというと、40代女性と高級レストランに入り2人きりで食事を楽しんでいた。探偵たちも客として入店し、横で聞き耳を立てる。
photo by Burke/Triolo Productions/Gettyimages
2人の会話には、仕事の話は一切登場しない。そればかりか旅行に行った思い出話や、公にすることが憚れるような下ネタも多く、2人が「デキている」と確信するに至ったのである。ここまでくれば、追跡した結果を早く知りたいとイライラを募らせてきた育代さんにも、現状も報告してもいいだろうと決断。「女性と落ち合って食事中です。2人の会話から、間違いなく愛人関係にあると思われます」電話の向こうで、何かが壊れる音が響き、通信はプツンと切られてしまった。食事を終えて2人がどこに行くのか。尾行は続いた。思っていた通り、数軒のラブホテルが並ぶ裏通りへと、腕を絡めあって歩いていく。その中の一軒に入っていく2人をカメラに収め、確固たる証拠を掴むことに成功した。おそらく泊まることはないはず。出てくる瞬間もとらえれば、証拠としてさらに強力になる。ところが、問題が発生したのは、ここからだった。photo by d3sign/Gettyimages 暗がりでじっと張り込みをする探偵の目の前に、見たことのある女性が現れたのである。依頼者の育代さんだった。うっかり駅の名前を言ったことから、行き着く先は裏通りのラブホテルだと推理し、矢も楯もたまらず怒りに任せてやってきたのだという。激怒する妻がラブホテルの前で仁王立ち「夫が入ったのは、このホテルね!」探偵がそうだとも違うとも言わないうちに、育代さんはホテルの入り口で仁王立ちとなって、夫を迎え撃つというのだ。しかし、これではホテルの営業妨害。従業員がすっ飛んできて注意をするのだが、育代さんは意に介せず。「中に旦那がいるんで待っているの! それの何が悪いのよ!」育代さんも負けていない。入口の横で待つということで、従業員も渋々妥協せざるを得なかった。この状況で夫と愛人が出てきたら、一体、どうなるか?果たして、約1時間後、夫は愛人と腕を組んで出てきたが、正面を向いてぎょっとした。「あんたなんなの!なにしてんの!どういうつもり!」久し振りの逢瀬に夢見心地で出てきた夫に浴びせられた、いきなりの罵詈雑言。何が起きているのか理解するには、しばしの時間がかかったことだろう。実は夫よりも先に、この修羅場を理解したのは、愛人の方であった。しかしこの愛人も相当気が強いのか、「ふざけんじゃないわよ!こんなところで痴話げんかするなんて、バッカじゃないの!?」これが売り言葉に買い言葉となって、大きな声でケンカを始めてしまったのだ。これにはホテルの従業員もあきれ果て、必死に止めるのだが言うことを聞かない。夫はというと、呆然としながら、2人から距離をとって傍観するのみであった。結局、ホテル側が警察を呼んで、ようやく沈静化したのである。警察で聴取を終えた育代さんと夫は、育代さんの車で帰宅したのだが、車内が再び戦場となったのは火を見るよりも明らかであった。夫人が出した結論は…しかし、後日、育代さんは「離婚はしたくない」と連絡してきたのである。聞けば、もともと離婚する気など毛頭なく、相手の女性をとっちめられれば良いと考えていたというのだ。さらにこんなことも—「旦那は一生、私の下僕として、尽くしてもらおうと思ってますの。だって離婚したら自由の身になっちゃうでしょ?」photo by Indeed/Gettyimages 愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」弊社の誰もが、この言葉にぞっとしたのは言うまでもない。(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)
2人の会話には、仕事の話は一切登場しない。そればかりか旅行に行った思い出話や、公にすることが憚れるような下ネタも多く、2人が「デキている」と確信するに至ったのである。ここまでくれば、追跡した結果を早く知りたいとイライラを募らせてきた育代さんにも、現状も報告してもいいだろうと決断。
「女性と落ち合って食事中です。2人の会話から、間違いなく愛人関係にあると思われます」
電話の向こうで、何かが壊れる音が響き、通信はプツンと切られてしまった。
食事を終えて2人がどこに行くのか。尾行は続いた。思っていた通り、数軒のラブホテルが並ぶ裏通りへと、腕を絡めあって歩いていく。その中の一軒に入っていく2人をカメラに収め、確固たる証拠を掴むことに成功した。おそらく泊まることはないはず。出てくる瞬間もとらえれば、証拠としてさらに強力になる。ところが、問題が発生したのは、ここからだった。
photo by d3sign/Gettyimages
暗がりでじっと張り込みをする探偵の目の前に、見たことのある女性が現れたのである。依頼者の育代さんだった。うっかり駅の名前を言ったことから、行き着く先は裏通りのラブホテルだと推理し、矢も楯もたまらず怒りに任せてやってきたのだという。激怒する妻がラブホテルの前で仁王立ち「夫が入ったのは、このホテルね!」探偵がそうだとも違うとも言わないうちに、育代さんはホテルの入り口で仁王立ちとなって、夫を迎え撃つというのだ。しかし、これではホテルの営業妨害。従業員がすっ飛んできて注意をするのだが、育代さんは意に介せず。「中に旦那がいるんで待っているの! それの何が悪いのよ!」育代さんも負けていない。入口の横で待つということで、従業員も渋々妥協せざるを得なかった。この状況で夫と愛人が出てきたら、一体、どうなるか?果たして、約1時間後、夫は愛人と腕を組んで出てきたが、正面を向いてぎょっとした。「あんたなんなの!なにしてんの!どういうつもり!」久し振りの逢瀬に夢見心地で出てきた夫に浴びせられた、いきなりの罵詈雑言。何が起きているのか理解するには、しばしの時間がかかったことだろう。実は夫よりも先に、この修羅場を理解したのは、愛人の方であった。しかしこの愛人も相当気が強いのか、「ふざけんじゃないわよ!こんなところで痴話げんかするなんて、バッカじゃないの!?」これが売り言葉に買い言葉となって、大きな声でケンカを始めてしまったのだ。これにはホテルの従業員もあきれ果て、必死に止めるのだが言うことを聞かない。夫はというと、呆然としながら、2人から距離をとって傍観するのみであった。結局、ホテル側が警察を呼んで、ようやく沈静化したのである。警察で聴取を終えた育代さんと夫は、育代さんの車で帰宅したのだが、車内が再び戦場となったのは火を見るよりも明らかであった。夫人が出した結論は…しかし、後日、育代さんは「離婚はしたくない」と連絡してきたのである。聞けば、もともと離婚する気など毛頭なく、相手の女性をとっちめられれば良いと考えていたというのだ。さらにこんなことも—「旦那は一生、私の下僕として、尽くしてもらおうと思ってますの。だって離婚したら自由の身になっちゃうでしょ?」photo by Indeed/Gettyimages 愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」弊社の誰もが、この言葉にぞっとしたのは言うまでもない。(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)
暗がりでじっと張り込みをする探偵の目の前に、見たことのある女性が現れたのである。依頼者の育代さんだった。うっかり駅の名前を言ったことから、行き着く先は裏通りのラブホテルだと推理し、矢も楯もたまらず怒りに任せてやってきたのだという。
「夫が入ったのは、このホテルね!」
探偵がそうだとも違うとも言わないうちに、育代さんはホテルの入り口で仁王立ちとなって、夫を迎え撃つというのだ。しかし、これではホテルの営業妨害。従業員がすっ飛んできて注意をするのだが、育代さんは意に介せず。
「中に旦那がいるんで待っているの! それの何が悪いのよ!」
育代さんも負けていない。入口の横で待つということで、従業員も渋々妥協せざるを得なかった。この状況で夫と愛人が出てきたら、一体、どうなるか?果たして、約1時間後、夫は愛人と腕を組んで出てきたが、正面を向いてぎょっとした。
「あんたなんなの!なにしてんの!どういうつもり!」
久し振りの逢瀬に夢見心地で出てきた夫に浴びせられた、いきなりの罵詈雑言。何が起きているのか理解するには、しばしの時間がかかったことだろう。実は夫よりも先に、この修羅場を理解したのは、愛人の方であった。しかしこの愛人も相当気が強いのか、
「ふざけんじゃないわよ!こんなところで痴話げんかするなんて、バッカじゃないの!?」
これが売り言葉に買い言葉となって、大きな声でケンカを始めてしまったのだ。これにはホテルの従業員もあきれ果て、必死に止めるのだが言うことを聞かない。夫はというと、呆然としながら、2人から距離をとって傍観するのみであった。結局、ホテル側が警察を呼んで、ようやく沈静化したのである。
警察で聴取を終えた育代さんと夫は、育代さんの車で帰宅したのだが、車内が再び戦場となったのは火を見るよりも明らかであった。
しかし、後日、育代さんは「離婚はしたくない」と連絡してきたのである。聞けば、もともと離婚する気など毛頭なく、相手の女性をとっちめられれば良いと考えていたというのだ。さらにこんなことも—
「旦那は一生、私の下僕として、尽くしてもらおうと思ってますの。だって離婚したら自由の身になっちゃうでしょ?」
photo by Indeed/Gettyimages
愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」弊社の誰もが、この言葉にぞっとしたのは言うまでもない。(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)
愛人女性は、公務員時代に付き合っていた元カノで、それが数年前に再会し、ズルズルと関係をもってしまったというのだ。
損害賠償を求めようと思ったが、愛人は子持ちのバツイチ女性だったことから、経済的に大変だと懇願され、夫と二度と会わない旨を誓約する謝罪文を送って来ることで、許すことにしたという。
育代さんが言うには、夫が間に入って助けてくれなかったことから、愛想が尽きたとも手紙にしたためられていたとか。
「これでもう旦那の思う通りにはさせませんよ。ええ、ギリギリ監視して、出世もさせませんよ。そう、簡単に言えば飼い殺し。これが私の復讐ですよ」
(※登場人物のプライバシーに配慮し、実際の事例を一部変更、再構成しています)

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