【伊藤 博敏】『5時に夢中』のMXテレビで起こった女性部長ハラスメント→退社騒動と90歳会長の「老害批判」の驚くべき中身《渦中のドンを直撃》

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ローカル放送の東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)で代表取締役会長、エフエム東京で名誉相談役を務める後藤亘氏の周辺が騒がしい。
今年1月に90歳を超え、民放経営者の最高齢記録を更新している後藤氏だが、さすがに「年齢から来る衰え」を指摘されることが多くなってきた。
MXテレビ関係者がいう。
「会議の席で何度も同じ質問を繰り返し、出席者を呆れさせています。MXテレビ番組審議会の中鉢良治委員長(ソニー元社長)が交代するのですが、『(次に)新設大学の学長をやります』と既に中鉢さんが答えているのに、後藤会長が『次は何をやられるんですか?』と何度も聞いて、中鉢さんの手前、さすがに一堂凍り付きました」
「健忘症」のレベルを超えた危険領域に入っている印象だ。
GettyImages
後藤氏が子会社に親しい女性を採用させ、その女性がハラスメント行為と怠業を指摘され、4月28日「解雇相当」となった。この一件は、後藤氏の会社私物化を指摘されても仕方がない。
舞台となったのは、MXテレビ100%子会社の番組製作会社「MXエンターテインメント」。ここで後藤氏は特別顧問を務める。事の発端は、後藤氏の娘が、財閥系金融会社で営業職を務めた友人の就職を依頼したことだった。それを受けた後藤氏が、昨年6月初旬、横山博巳MXエンター社長、後藤氏、後藤氏の娘、推薦を受けた50代女性Aさんの4人の昼食会を設定した。営業部長として入社したがその後、Aさんにテレビ業界の経験がなかったのに加え、要求する給与水準が高かったことから、横山氏は採用を逡巡した。だが後藤氏は「最初から採る気がないのか」「右腕になる人物だと思って推薦した」「(悪条件の提示にAさんが怒っていて)赤っ恥をかいた」などと批判したという。慌てた横山氏は6月末、Aさんと面談して新設の営業部長として迎えることを決め、それに見合った年収を提示した。それを受けてAさんは、後藤氏と娘の身元保証を受け、半年の試用期間を条件に10月1日から営業部長として勤務することになった。「コネ採用」そのものは違法ではない。ただ、後藤氏はMXテレビ代表取締役会長の肩書を持つだけでなく、同社株の約20%を保有する筆頭株主のエフエム東京の元社長で、今も名誉相談役として隠然たる力を持つ。「MXグループのドン」といっていい存在の後藤氏が、社員の採用を強く申し入れるのは、「採用の強要」といっていい。 そうした入社の経緯に加え、Aさんは「強気に主導権を握ろうとするタイプ」(MXエンター関係者)だったようで、わずか半年の間に社内で軋轢を生じさせていた。「噂話を流すのが好きな人で、それを横山社長や後藤さんに知らせていた。問題となったのは、社内の男性経営幹部と女性部長が『不倫関係にある』と断じていたこと。この件に関して、内部通報窓口の法律事務所に複数の匿名通報が寄せられ、法律事務所と社内内部監査室が協議した結果、調査委員会が立ち上がることになりました」(同)その結果、Aさんに対して「解雇相当」の結論が出され、4月28日、コンプライアンス会議が開かれ、本人の弁明を聞いたうえで解雇が告げられたという。半年の試用期間が終わり本採用直前の事態だった。その理由について、複数のMXグループ関係者に確認したところ、大きく次の2点が問題視されたという。わずか半年で解雇ひとつはAさんが広めた「噂話」が、セクシャルハラスメント及び名誉毀損であるとされ、「就業規則上の懲戒事由に該当する」と指摘されたこと。風説を苦にしたのか女性部長は3月末で退職している。もうひとつは調査によって新たに認定されたもので、出社後に営業先への外出を装って帰宅する行為が重なっていた。この行為が「怠業」と認定された。即戦力を期待された部長職入社でありながら、半年間に成約案件が1件もないまま「怠業」を続けていることから「解雇事由に該当する」とされた。 エフエム東京の前身はエフエム東海で、創設したのは東海大学創始者の松前重義氏である。東北大学出身で松前氏の後輩にあたる後藤氏は、エフエム東京入社後、松前氏の秘書的業務をこなしながら頭角を現わし、89年6月、代表取締役社長に就任する。一方、「首都圏を放送地域対象とする特定地上基幹放送事業者」として東京都と東京商工会議所が中心となって、95年に設立したのがMXテレビである。東京都でテレビ東京に次ぐ6番目の放送局となったが、独自色を打ち出せないまま業績不振が続いた。GettyImagesそのテコ入れのために、「同じ東京ローカル」という理由でMXテレビの社長も兼務したのが後藤氏で、その際の支援でエフエム東京は約20%を出資、筆頭株主となった。エフエム東京は定年によって11年に退くが名誉相談役として権力は手放さず、定年制のないMXテレビでは卒寿を過ぎても現役である。エフエム東京では19年に粉飾決算が明らかになって、当時の会長や社長が総退陣した。マツコ・デラックスなど女性の「本音丸出しワイドショー」として知られる『5時に夢中!』などそれなりの存在感を見せるMXテレビだが、報道バラエティ番組『ニュース女子』の不適切報道を理由にした番組打ち切りや、150万円の出演料を払わせて2000万円の景品(スーパーカー)を払わず詐欺紛いと指摘された番組『欲望の塊』など、問題が多いのも事実である。本人は「衰えは感じない」そうしたMXグループに拡がるコンプライアンス不全の責任が、長年グループを率いる後藤氏に着せられるのも仕方あるまい。今回、子会社への「人事の強要」とその人事がもたらした解雇騒動は、後藤氏の老害と指摘されており、解雇はそれを自覚していない後藤氏に対する反発と見る向きもある。当事者は何というか。まずAさんには取材依頼書を送付し、「言い分を聞きたい」旨を伝えたが、「後藤さんに迷惑がかかりかねない」と取材拒否だった。後藤氏は「強要」を否定しつつ、「老害批判」についても積極的に語った。 「(Aさんについては)解雇ということではなく、試用期間が終って(本採用にあたらずと)判断した結果だろう。ボクはよく知らないんだ。彼女のことを(娘に)頼まれて、ハッキリした性格だし役に立つと思って推薦した。90歳を過ぎて『老害』といわれているのは承知しているが、(体も頭も)衰えは感じない。階段だって2段ずつ上がっていける。2年後にMXテレビは30周年を迎える。そのときプロパーも育っているだろうし、彼らに後を託そうと思っている。それまで頑張る。よろしく見ていてください」MXエンターには、(1)Aさんが「解雇相当」となった経緯、(2)その採用は後藤特別顧問の要請によるものか、(3)内部通報から解雇に至る危機対応はMXグループ全体の方針か、といった3点を質したが、「取材は受け付けていません」ということだった。かつては「噂話」で済んでいたものが、今はハラスメント認定されれば「解雇」にいたる時代である。調査委員会では、後藤氏の「採用圧力」について、「健全なガバナンスの観点からは不適切」という意見が出されたという。「30周年まで」といわず、晩節を汚さない覚悟が必要だろう。
舞台となったのは、MXテレビ100%子会社の番組製作会社「MXエンターテインメント」。ここで後藤氏は特別顧問を務める。
事の発端は、後藤氏の娘が、財閥系金融会社で営業職を務めた友人の就職を依頼したことだった。それを受けた後藤氏が、昨年6月初旬、横山博巳MXエンター社長、後藤氏、後藤氏の娘、推薦を受けた50代女性Aさんの4人の昼食会を設定した。
その後、Aさんにテレビ業界の経験がなかったのに加え、要求する給与水準が高かったことから、横山氏は採用を逡巡した。だが後藤氏は「最初から採る気がないのか」「右腕になる人物だと思って推薦した」「(悪条件の提示にAさんが怒っていて)赤っ恥をかいた」などと批判したという。
慌てた横山氏は6月末、Aさんと面談して新設の営業部長として迎えることを決め、それに見合った年収を提示した。それを受けてAさんは、後藤氏と娘の身元保証を受け、半年の試用期間を条件に10月1日から営業部長として勤務することになった。
「コネ採用」そのものは違法ではない。ただ、後藤氏はMXテレビ代表取締役会長の肩書を持つだけでなく、同社株の約20%を保有する筆頭株主のエフエム東京の元社長で、今も名誉相談役として隠然たる力を持つ。「MXグループのドン」といっていい存在の後藤氏が、社員の採用を強く申し入れるのは、「採用の強要」といっていい。
そうした入社の経緯に加え、Aさんは「強気に主導権を握ろうとするタイプ」(MXエンター関係者)だったようで、わずか半年の間に社内で軋轢を生じさせていた。「噂話を流すのが好きな人で、それを横山社長や後藤さんに知らせていた。問題となったのは、社内の男性経営幹部と女性部長が『不倫関係にある』と断じていたこと。この件に関して、内部通報窓口の法律事務所に複数の匿名通報が寄せられ、法律事務所と社内内部監査室が協議した結果、調査委員会が立ち上がることになりました」(同)その結果、Aさんに対して「解雇相当」の結論が出され、4月28日、コンプライアンス会議が開かれ、本人の弁明を聞いたうえで解雇が告げられたという。半年の試用期間が終わり本採用直前の事態だった。その理由について、複数のMXグループ関係者に確認したところ、大きく次の2点が問題視されたという。わずか半年で解雇ひとつはAさんが広めた「噂話」が、セクシャルハラスメント及び名誉毀損であるとされ、「就業規則上の懲戒事由に該当する」と指摘されたこと。風説を苦にしたのか女性部長は3月末で退職している。もうひとつは調査によって新たに認定されたもので、出社後に営業先への外出を装って帰宅する行為が重なっていた。この行為が「怠業」と認定された。即戦力を期待された部長職入社でありながら、半年間に成約案件が1件もないまま「怠業」を続けていることから「解雇事由に該当する」とされた。 エフエム東京の前身はエフエム東海で、創設したのは東海大学創始者の松前重義氏である。東北大学出身で松前氏の後輩にあたる後藤氏は、エフエム東京入社後、松前氏の秘書的業務をこなしながら頭角を現わし、89年6月、代表取締役社長に就任する。一方、「首都圏を放送地域対象とする特定地上基幹放送事業者」として東京都と東京商工会議所が中心となって、95年に設立したのがMXテレビである。東京都でテレビ東京に次ぐ6番目の放送局となったが、独自色を打ち出せないまま業績不振が続いた。GettyImagesそのテコ入れのために、「同じ東京ローカル」という理由でMXテレビの社長も兼務したのが後藤氏で、その際の支援でエフエム東京は約20%を出資、筆頭株主となった。エフエム東京は定年によって11年に退くが名誉相談役として権力は手放さず、定年制のないMXテレビでは卒寿を過ぎても現役である。エフエム東京では19年に粉飾決算が明らかになって、当時の会長や社長が総退陣した。マツコ・デラックスなど女性の「本音丸出しワイドショー」として知られる『5時に夢中!』などそれなりの存在感を見せるMXテレビだが、報道バラエティ番組『ニュース女子』の不適切報道を理由にした番組打ち切りや、150万円の出演料を払わせて2000万円の景品(スーパーカー)を払わず詐欺紛いと指摘された番組『欲望の塊』など、問題が多いのも事実である。本人は「衰えは感じない」そうしたMXグループに拡がるコンプライアンス不全の責任が、長年グループを率いる後藤氏に着せられるのも仕方あるまい。今回、子会社への「人事の強要」とその人事がもたらした解雇騒動は、後藤氏の老害と指摘されており、解雇はそれを自覚していない後藤氏に対する反発と見る向きもある。当事者は何というか。まずAさんには取材依頼書を送付し、「言い分を聞きたい」旨を伝えたが、「後藤さんに迷惑がかかりかねない」と取材拒否だった。後藤氏は「強要」を否定しつつ、「老害批判」についても積極的に語った。 「(Aさんについては)解雇ということではなく、試用期間が終って(本採用にあたらずと)判断した結果だろう。ボクはよく知らないんだ。彼女のことを(娘に)頼まれて、ハッキリした性格だし役に立つと思って推薦した。90歳を過ぎて『老害』といわれているのは承知しているが、(体も頭も)衰えは感じない。階段だって2段ずつ上がっていける。2年後にMXテレビは30周年を迎える。そのときプロパーも育っているだろうし、彼らに後を託そうと思っている。それまで頑張る。よろしく見ていてください」MXエンターには、(1)Aさんが「解雇相当」となった経緯、(2)その採用は後藤特別顧問の要請によるものか、(3)内部通報から解雇に至る危機対応はMXグループ全体の方針か、といった3点を質したが、「取材は受け付けていません」ということだった。かつては「噂話」で済んでいたものが、今はハラスメント認定されれば「解雇」にいたる時代である。調査委員会では、後藤氏の「採用圧力」について、「健全なガバナンスの観点からは不適切」という意見が出されたという。「30周年まで」といわず、晩節を汚さない覚悟が必要だろう。
そうした入社の経緯に加え、Aさんは「強気に主導権を握ろうとするタイプ」(MXエンター関係者)だったようで、わずか半年の間に社内で軋轢を生じさせていた。
「噂話を流すのが好きな人で、それを横山社長や後藤さんに知らせていた。問題となったのは、社内の男性経営幹部と女性部長が『不倫関係にある』と断じていたこと。この件に関して、内部通報窓口の法律事務所に複数の匿名通報が寄せられ、法律事務所と社内内部監査室が協議した結果、調査委員会が立ち上がることになりました」(同)
その結果、Aさんに対して「解雇相当」の結論が出され、4月28日、コンプライアンス会議が開かれ、本人の弁明を聞いたうえで解雇が告げられたという。半年の試用期間が終わり本採用直前の事態だった。その理由について、複数のMXグループ関係者に確認したところ、大きく次の2点が問題視されたという。
ひとつはAさんが広めた「噂話」が、セクシャルハラスメント及び名誉毀損であるとされ、「就業規則上の懲戒事由に該当する」と指摘されたこと。風説を苦にしたのか女性部長は3月末で退職している。
もうひとつは調査によって新たに認定されたもので、出社後に営業先への外出を装って帰宅する行為が重なっていた。この行為が「怠業」と認定された。即戦力を期待された部長職入社でありながら、半年間に成約案件が1件もないまま「怠業」を続けていることから「解雇事由に該当する」とされた。
エフエム東京の前身はエフエム東海で、創設したのは東海大学創始者の松前重義氏である。東北大学出身で松前氏の後輩にあたる後藤氏は、エフエム東京入社後、松前氏の秘書的業務をこなしながら頭角を現わし、89年6月、代表取締役社長に就任する。一方、「首都圏を放送地域対象とする特定地上基幹放送事業者」として東京都と東京商工会議所が中心となって、95年に設立したのがMXテレビである。東京都でテレビ東京に次ぐ6番目の放送局となったが、独自色を打ち出せないまま業績不振が続いた。GettyImagesそのテコ入れのために、「同じ東京ローカル」という理由でMXテレビの社長も兼務したのが後藤氏で、その際の支援でエフエム東京は約20%を出資、筆頭株主となった。エフエム東京は定年によって11年に退くが名誉相談役として権力は手放さず、定年制のないMXテレビでは卒寿を過ぎても現役である。エフエム東京では19年に粉飾決算が明らかになって、当時の会長や社長が総退陣した。マツコ・デラックスなど女性の「本音丸出しワイドショー」として知られる『5時に夢中!』などそれなりの存在感を見せるMXテレビだが、報道バラエティ番組『ニュース女子』の不適切報道を理由にした番組打ち切りや、150万円の出演料を払わせて2000万円の景品(スーパーカー)を払わず詐欺紛いと指摘された番組『欲望の塊』など、問題が多いのも事実である。本人は「衰えは感じない」そうしたMXグループに拡がるコンプライアンス不全の責任が、長年グループを率いる後藤氏に着せられるのも仕方あるまい。今回、子会社への「人事の強要」とその人事がもたらした解雇騒動は、後藤氏の老害と指摘されており、解雇はそれを自覚していない後藤氏に対する反発と見る向きもある。当事者は何というか。まずAさんには取材依頼書を送付し、「言い分を聞きたい」旨を伝えたが、「後藤さんに迷惑がかかりかねない」と取材拒否だった。後藤氏は「強要」を否定しつつ、「老害批判」についても積極的に語った。 「(Aさんについては)解雇ということではなく、試用期間が終って(本採用にあたらずと)判断した結果だろう。ボクはよく知らないんだ。彼女のことを(娘に)頼まれて、ハッキリした性格だし役に立つと思って推薦した。90歳を過ぎて『老害』といわれているのは承知しているが、(体も頭も)衰えは感じない。階段だって2段ずつ上がっていける。2年後にMXテレビは30周年を迎える。そのときプロパーも育っているだろうし、彼らに後を託そうと思っている。それまで頑張る。よろしく見ていてください」MXエンターには、(1)Aさんが「解雇相当」となった経緯、(2)その採用は後藤特別顧問の要請によるものか、(3)内部通報から解雇に至る危機対応はMXグループ全体の方針か、といった3点を質したが、「取材は受け付けていません」ということだった。かつては「噂話」で済んでいたものが、今はハラスメント認定されれば「解雇」にいたる時代である。調査委員会では、後藤氏の「採用圧力」について、「健全なガバナンスの観点からは不適切」という意見が出されたという。「30周年まで」といわず、晩節を汚さない覚悟が必要だろう。
エフエム東京の前身はエフエム東海で、創設したのは東海大学創始者の松前重義氏である。東北大学出身で松前氏の後輩にあたる後藤氏は、エフエム東京入社後、松前氏の秘書的業務をこなしながら頭角を現わし、89年6月、代表取締役社長に就任する。
一方、「首都圏を放送地域対象とする特定地上基幹放送事業者」として東京都と東京商工会議所が中心となって、95年に設立したのがMXテレビである。東京都でテレビ東京に次ぐ6番目の放送局となったが、独自色を打ち出せないまま業績不振が続いた。
GettyImages
そのテコ入れのために、「同じ東京ローカル」という理由でMXテレビの社長も兼務したのが後藤氏で、その際の支援でエフエム東京は約20%を出資、筆頭株主となった。エフエム東京は定年によって11年に退くが名誉相談役として権力は手放さず、定年制のないMXテレビでは卒寿を過ぎても現役である。
エフエム東京では19年に粉飾決算が明らかになって、当時の会長や社長が総退陣した。マツコ・デラックスなど女性の「本音丸出しワイドショー」として知られる『5時に夢中!』などそれなりの存在感を見せるMXテレビだが、報道バラエティ番組『ニュース女子』の不適切報道を理由にした番組打ち切りや、150万円の出演料を払わせて2000万円の景品(スーパーカー)を払わず詐欺紛いと指摘された番組『欲望の塊』など、問題が多いのも事実である。
そうしたMXグループに拡がるコンプライアンス不全の責任が、長年グループを率いる後藤氏に着せられるのも仕方あるまい。今回、子会社への「人事の強要」とその人事がもたらした解雇騒動は、後藤氏の老害と指摘されており、解雇はそれを自覚していない後藤氏に対する反発と見る向きもある。
当事者は何というか。
まずAさんには取材依頼書を送付し、「言い分を聞きたい」旨を伝えたが、「後藤さんに迷惑がかかりかねない」と取材拒否だった。
後藤氏は「強要」を否定しつつ、「老害批判」についても積極的に語った。
「(Aさんについては)解雇ということではなく、試用期間が終って(本採用にあたらずと)判断した結果だろう。ボクはよく知らないんだ。彼女のことを(娘に)頼まれて、ハッキリした性格だし役に立つと思って推薦した。90歳を過ぎて『老害』といわれているのは承知しているが、(体も頭も)衰えは感じない。階段だって2段ずつ上がっていける。2年後にMXテレビは30周年を迎える。そのときプロパーも育っているだろうし、彼らに後を託そうと思っている。それまで頑張る。よろしく見ていてください」MXエンターには、(1)Aさんが「解雇相当」となった経緯、(2)その採用は後藤特別顧問の要請によるものか、(3)内部通報から解雇に至る危機対応はMXグループ全体の方針か、といった3点を質したが、「取材は受け付けていません」ということだった。かつては「噂話」で済んでいたものが、今はハラスメント認定されれば「解雇」にいたる時代である。調査委員会では、後藤氏の「採用圧力」について、「健全なガバナンスの観点からは不適切」という意見が出されたという。「30周年まで」といわず、晩節を汚さない覚悟が必要だろう。
「(Aさんについては)解雇ということではなく、試用期間が終って(本採用にあたらずと)判断した結果だろう。ボクはよく知らないんだ。彼女のことを(娘に)頼まれて、ハッキリした性格だし役に立つと思って推薦した。
90歳を過ぎて『老害』といわれているのは承知しているが、(体も頭も)衰えは感じない。階段だって2段ずつ上がっていける。2年後にMXテレビは30周年を迎える。そのときプロパーも育っているだろうし、彼らに後を託そうと思っている。それまで頑張る。よろしく見ていてください」
MXエンターには、(1)Aさんが「解雇相当」となった経緯、(2)その採用は後藤特別顧問の要請によるものか、(3)内部通報から解雇に至る危機対応はMXグループ全体の方針か、といった3点を質したが、「取材は受け付けていません」ということだった。
かつては「噂話」で済んでいたものが、今はハラスメント認定されれば「解雇」にいたる時代である。調査委員会では、後藤氏の「採用圧力」について、「健全なガバナンスの観点からは不適切」という意見が出されたという。「30周年まで」といわず、晩節を汚さない覚悟が必要だろう。

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