長期間にわたって住宅に侵入し女児を…女児わいせつで懲役4年 裁判で明かされた被告の「驚きの余罪」

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「自転車に乗っているとき、ある家の庭で女の子が遊んでいるのを見かけました。わたしは、その女の子の体にさわりたいと思いました。夜中、その家に行き、いくつかの窓を引くと施錠されていない窓があったので、中に入りました。2階に上がり、ベッドに寝ている女の子を見つけたときは『本当にいた』とうれしくなりました。そして、女の子の体にさわろうと手を伸ばしたのですが、手が届かず、無理をするとベッドが揺れて起こしてしまうかもしれない。その日は諦めることにしました。女の子がいて、無施錠の窓がある家を見つけたので、また機会があれば侵入できる。そして体をさわることができると思い、自宅に帰りました」(柳川実被告)
昨年8月、深夜に住宅へ侵入し、就寝中の女児にわいせつな行為をしたとして、埼玉県警所沢署は飲食店アルバイト(逮捕当時)の柳川実(やながわ・まこと)(34)を逮捕した。
柳川被告は10歳前後の女児のいる家をあらかじめ物色。夜中に無施錠の窓から侵入して女児の体にさわるという住居侵入・強制わいせつ・準強制わいせつ・強制わいせつ未遂。さらに寝ている女児の姿を撮影したとして、児童ポルノ作成の容疑もあった。
3度の再逮捕を重ね、最終的には、’17年から’22年5月までの間に女児5人に対してわいせつな行為をした疑いで起訴されている。
もともと中学のころから下着泥棒をしていたという柳川被告。フジテレビの報道によると、「埼玉県警は6900点のわいせつ動画・画像を見つけ、10件のわいせつ事件と90件の窃盗事件を立件。100件もの犯行を事件化した」という。
「会うと、軽く会釈する。おとなしくてまじめな青年に見えたんだけどね」と近隣住民は首をかしげるが、その犯行は大胆かつ執拗だ。女児のいる家を見つけると夜中に訪れ、無施錠の窓があるとそのまま侵入。女児の姿を探して家の中を徘徊し、見つけると体をさわったり、寝ている姿をスマホで動画におさめる。また、その女児の体操服や文房具など、名前や学年がわかるものもいっしょに撮影していた。女児を起こさないよう慎重に行動し、家人に見つかるまで侵入し続ける。そのため、長期間、被害に気づかなかった家庭もあったという。
その柳川被告の公判が、昨年10月19日より、さいたま地裁・川越支部で開かれた。
公判のなかでは、柳川被告に気づいた、女児の母親の供述調書が読み上げられた。
「娘と並んで寝ているとき、夜中にふと目が覚めました。ベッドの布団をめくると、足元にひとがうずくまってるのに気づきました。知らない人間が家にいるとわかり、恐怖を感じました。しかし、娘を守れるのは私しかいない。娘を引き寄せながら、勇気を振りしぼって『お前、誰だ』と大きな声を上げました。すると人影が立ち上がり、『すいません。すいません』と言いながら部屋を出ていきました」
柳川被告の犯行に気づいた家人の通報から捜査が始まり、数年にわたって続けられていた卑劣な犯行が発覚することとなった。
被告人質問で弁護人から「なぜ、このような犯行を行ったのか」と聞かれた柳川被告は、
「無施錠の家を見つけられれば、インターネット上では見ることができない、女児の姿を見たりさわったりできると思いました」
「仕事場での人間関係や父親の治療費を払うための借金で、日頃からストレスがたまっていました。そのモヤモヤがたまると、犯行を抑えられなくなりました」
と答えている。
また、裁判長からの「いつか、捕まるなとは思わなかったのか」という質問には、
「思っていました。しかし、逮捕されることへの不安が高まるので、考えないようにしていました。そのため罪の意識もうすれてしまいました」
と述べた。
2月27日に行われた公判で、検察官は、柳川被告には周到な計画性がみられ、常習性が顕著であること。さらに同一地域で犯行が行われたため、付近の住民、特に女児のいる家庭に不安感を与えたと指摘。その上で「本件犯行は児童虐待そのものであって、刑事責任は重大である」と懲役7年を求刑した。
一方、弁護人は「柳川被告には前科・前歴がなく、逮捕後は何度も反省文を書き直すなど、真摯に自分が犯した罪に向き合っています。また、自らの性的嗜好に原因があると、専門家による治療を受けることを誓っています。今回に限り、執行猶予つきの判決をお願いします」と述べた。
判決が下された3月20日。丸坊主にした柳川被告は、上下紺のジャージで入廷した。
そして裁判長が「被告人を懲役4年に処する」と判決を言い渡すと、「はい」と大きな声で答えた。そして、背筋を伸ばし、判決文を読む裁判長をじっと見つめていた。
出所後は専門医のもとで再犯プログラムを受けること、できる限りの贖罪をすることを約束した柳川被告。公判のなかでは「きみの別の顔を知ってとてもショックを受けています」「きみの卑劣な行為でどれだけのひとが傷ついたかわかっていますか」と母親の手紙が読み上げられた。
母親の言葉は柳川被告に届くだろうか。
取材・文・撮影:中平良

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