熊本・高3いじめ自殺 元同級生4人全員と和解成立

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2018年5月、熊本県立高3年の深草知華(ともか)さん(当時17歳)がいじめを受けて自殺した問題で、両親が当時の同級生4人に慰謝料など計1100万円の支払いを求めた訴訟は27日、熊本地裁で4人目との和解が成立した。他の3人とは22年6~11月にそれぞれ和解している。
「少しだけ前に進めた」 自死遺族に卒業証書 両親の弁護士によると、賠償金50万円の支払い▽両親への謝罪▽亡くなって10年後と15年後の命日に合わせ、元同級生が知華さんと両親に手紙を書くこと――などの内容で和解した。

訴状によると、元同級生4人は18年5月17日、教室で授業中、知華さんに「死ねばいい」などと発言。知華さんは翌日未明に遺書を残し、自宅で命を絶った。県教委が設けた第三者委員会は19年3月、いじめの事実や、自殺との因果関係を認める最終報告書をまとめた。その後も元同級生らの謝罪がなかったため、両親は21年4月、熊本地裁に提訴した。両親「生涯をかけて向き合って」 4人全員との和解を終えた知華さんの父智彦さん(47)と母志乃さん(49)は記者会見し、「今は自分のしたことを受け止められなくても、生涯をかけて向き合ってほしい」と話した。 気さくで、人のことを決して悪く言わない娘だった。医療に関わる仕事に就きたいと受験勉強に励んでいたが、思いを果たせないまま命を絶った。智彦さんは「遅いとか早いとかではなく、毎日毎日が苦しかった」と振り返る。 22年6月から順次進んだ和解時に、裁判長を通じ元同級生の思いを直接聞く場が設けられた。「知華さんが傷ついたのなら、ごめんなさい」「寄り添って話を聞いてあげるべきでした」。どこか人ごとのような言葉に、智彦さんらは「知華がいじめで亡くなったという事実に向き合えていない」との思いがぬぐえなかった。27日に和解を迎えた元同級生にも同様の機会があったが、直接の謝罪はなかったという。 知華さんの死から間もなく5年。月命日に自宅を訪れ、手を合わせてくれる友人たちの背中が愛娘と重なる。智彦さんは「せめて命日には、知華を思って空に向かって手を合わせてほしい」と元同級生に望んだ。志乃さんは「これで終わりではない。心からの反省ができるか、和解をしてからがスタートだ」と絞り出すように語った。【中村園子】
両親の弁護士によると、賠償金50万円の支払い▽両親への謝罪▽亡くなって10年後と15年後の命日に合わせ、元同級生が知華さんと両親に手紙を書くこと――などの内容で和解した。
訴状によると、元同級生4人は18年5月17日、教室で授業中、知華さんに「死ねばいい」などと発言。知華さんは翌日未明に遺書を残し、自宅で命を絶った。県教委が設けた第三者委員会は19年3月、いじめの事実や、自殺との因果関係を認める最終報告書をまとめた。その後も元同級生らの謝罪がなかったため、両親は21年4月、熊本地裁に提訴した。
両親「生涯をかけて向き合って」
4人全員との和解を終えた知華さんの父智彦さん(47)と母志乃さん(49)は記者会見し、「今は自分のしたことを受け止められなくても、生涯をかけて向き合ってほしい」と話した。
気さくで、人のことを決して悪く言わない娘だった。医療に関わる仕事に就きたいと受験勉強に励んでいたが、思いを果たせないまま命を絶った。智彦さんは「遅いとか早いとかではなく、毎日毎日が苦しかった」と振り返る。
22年6月から順次進んだ和解時に、裁判長を通じ元同級生の思いを直接聞く場が設けられた。「知華さんが傷ついたのなら、ごめんなさい」「寄り添って話を聞いてあげるべきでした」。どこか人ごとのような言葉に、智彦さんらは「知華がいじめで亡くなったという事実に向き合えていない」との思いがぬぐえなかった。27日に和解を迎えた元同級生にも同様の機会があったが、直接の謝罪はなかったという。
知華さんの死から間もなく5年。月命日に自宅を訪れ、手を合わせてくれる友人たちの背中が愛娘と重なる。智彦さんは「せめて命日には、知華を思って空に向かって手を合わせてほしい」と元同級生に望んだ。志乃さんは「これで終わりではない。心からの反省ができるか、和解をしてからがスタートだ」と絞り出すように語った。【中村園子】

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