高羽奈美子さん殺害当日、腕を隠すように走る中年女の目撃情報…安福久美子容疑者「襲った際にけが負った」

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名古屋市西区のアパートで1999年11月、高羽(たかば)奈美子さん(当時32歳)が刺殺された事件で、殺人容疑で逮捕されたアルバイト安福久美子容疑者(69)が、「高羽さんを襲った際に手にけがを負った」との趣旨の供述をしていることが愛知県警への取材でわかった。
この時の出血がアパートの玄関に血痕として残ったとみられ、県警によるDNA型鑑定で安福容疑者のものと一致した。
事件のあった99年11月13日、アパートに隣接する地域では、傷を負った手を隠すように走り去る中年の女の姿が目撃されていた。アパートの玄関や廊下には高羽さんとは異なる血液型の血痕が残され、アパートから約300メートル離れた公園まで続いていた。
県警によると、1日に行われた現場検証には安福容疑者が立ち会い、アパートに侵入してから高羽さんを刃物で殺害し、逃走するまでの流れを確認した。安福容疑者の説明は、高羽さんが倒れていた場所など、現場の状況と矛盾がなかったという。県警は、2人が玄関付近でもみ合いになった際、安福容疑者が手にけがを負ったとみている。
部屋の机には、食べかけのミカンやカップ麺が残されていたことも、県警への取材で判明した。高羽さんはきちょうめんな性格だったといい、県警は、高羽さんには安福容疑者の訪問が予期しないものだったとみて調べている。当時、夫の悟さん(69)は不在で、2歳だった長男の航平さん(28)は台所にいて無事だった。
安福容疑者は悟さんと高校の同級生で、部活も同じだったが、高羽さんとは面識がなかったとみられる。
県警は2日、安福容疑者を殺人容疑で名古屋地検に送検した。

名古屋市港区内では2日、高羽さんの二十七回忌法要が営まれ、悟さんと航平さんが冥福(めいふく)を祈った。
航平さんは報道陣の取材に応じ、「詳しいことはまだ分からないけど、これで一区切り。少しでも安らかに眠ってもらえたら」と話した。悟さんが現場保存のためにアパートの部屋を借り続けてきたことについては、「父の執念が逮捕を生んだ。あきらめないことの大切さを目の前で見せられた」と感謝した。

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