CT検査の「がん疑い」主治医が見落とす、告知が遅れた2人死亡

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滋賀県高島市民病院は8日、コンピューター断層撮影法(CT)検査の報告書に記載された「がん疑い」の診断を見落とし、患者3人への告知が遅れる医療過誤があったと発表した。
うち男性2人は別の病院でがん治療を受けたが、死亡したという。全国の医療機関で2017年以降、同様の問題が相次いだが、同病院は過去の検査結果の精査や対策を怠り、続発を防げなかった。
同病院によると、70歳代男性は19年3月、腹痛で救急外来を受診した際、CT検査を受けた。放射線科医が報告書に「胃がんの疑い」と記したが、主治医が見落とし、患者への指摘が5か月遅れた。80歳代男性は同年1月、CT検査で「肺がんの疑い」と診断されたが、主治医が記載を見ず、判明が10か月遅れた。2人は20年夏、がんのため死亡したという。
70歳代男性の事例が発覚後、過去5年分の画像診断報告書を精査した結果、15年10月に行った90歳代女性の検査でも「両側乳がんの疑い」の記載を見落としていたことがわかった。女性は存命で、親族の意向で再検査や治療は受けていないという。
同病院は3例を医療過誤と認めた。80歳代男性の遺族への慰謝料は3月議会で市の一般会計補正予算案として提案され、70歳代男性の遺族へも賠償する方針。武田佳久院長は記者会見で「患者さんとご家族におわび申し上げる。再発防止と信頼回復に努める」と謝罪した。

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