長男をバールで殴った元町長夫妻、執行猶予判決…同情する町民から刑の軽減求める嘆願書

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長男をバールで殴ったとして殺人未遂罪に問われた前京都府笠置町長、西村典夫被告(73)と、妻の信代被告(66)の裁判員裁判の判決が26日、岡山地裁であった。
倉成章裁判長は「追い詰められた末の犯行で、同情の余地は十分にある」と典夫被告に懲役3年、執行猶予4年(求刑・懲役4年)、信代被告に懲役2年6月、執行猶予4年(同)の判決を言い渡した。(岡さくら)
判決によると、2人は昨年6月、岡山県美作市内で就寝中の長男の頭部をバールで殴り、頭蓋骨骨折などのけがを負わせた。倉成裁判長は判決で、重いバールを複数回、頭部に振り下ろした危険な犯行と非難した。一方で、長年にわたる長男からの暴言や暴行による肉体的・精神的負担が背景にあると指摘。「犯行に至った経緯には同情の余地がある。長男が許すと証言し、2人も反省している」として執行猶予とした。
2人は証言台の前に座り頭を深く下げ、判決の言い渡しに耳を傾けていた。
これまでの公判で、長男が長年、2人に暴力をふるってきたことや、全国を転々とするのに信代被告が付き合わされたことなどが明かされた。証人尋問には同町の前副町長も出廷。刑の軽減を求める嘆願書に、町の人口の約2割にあたる約240人が署名したなどと証言した。
■刑の軽減を嘆願、町民同情の声
京都府笠置町では少年サッカーのコーチを長年務め、調整して物事を進めるタイプだったという典夫被告を慕い、同情する声が上がっていた。
家族で嘆願書に署名した町職員の一人は、子どもがサッカーの指導を受け、キャンプにも連れて行ってもらったという。「気配りを欠かさず、安心して預けられた。罪はつぐなっていかなあかんと思うが、できることがあれば協力したい」と明かした。
30年以上の付き合いがあるという笠置寺の小林慶昭住職(60)は「大事になる前に相談を受けたかった。穏やかな生活を送れるよう支えたい」と話す。

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