安倍元首相銃撃の山上容疑者「医師の同じ質問うんざり」 鑑定留置5カ月超に

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安倍晋三元首相の銃撃事件で、殺人容疑で送検され鑑定留置中の山上徹也容疑者(42)が、精神鑑定の担当医から同じような質問を繰り返し受け、「うんざりしている」と話していたことが7日、関係者への取材で分かった。
ただ、医師の聞き取りには素直に応じていたという。鑑定留置は10日までで、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みなど逮捕当初の供述を維持したまま、殺人罪などで起訴される見通しだ。
山上容疑者は昨年7月8日の事件直後から、旧統一教会や、約1億円を教団に献金し一家を困窮させた母親への恨みを募らせ、教団とつながりがあると思い込んだ安倍氏を狙ったと供述。令和元年10月に立ち上げたツイッターには《オレが憎むのは統一教会だけだ》などと記し、事件前日に島根県のジャーナリスト宛てに投函(とうかん)した手紙では、安倍氏について「本来の敵ではない」とつづっていた。
だが、教団への恨みが安倍氏に転じたとの動機には不可解な面もあり、奈良地検は事件当時の精神状態を調べるため、昨年7月25日から大阪拘置所で鑑定留置を実施。鑑定医は山上容疑者の成育歴や生活状況を把握するため、拘置所で容疑者と定期的に面談した。ツイッターには《オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた》《全ての原因は25年前》など少年時代を振り返る内容も多く、当時を知る親族にも聞き取りを実施した。
関係者によると、山上容疑者は面談には素直に応じつつ、「(鑑定医に)同じことを聞かれ、うんざりしている」と周囲にこぼすこともあった。妹との接見も認められたが、事件について語ることはほとんどなかったとみられる。
山上容疑者の伯父(77)によると、容疑者と接見した妹は、英和辞典や英語の問題集、洋書、漢和辞典などを差し入れた。「勉強してほしい」という伯父の発案だったが、「あまり勉強をしている様子ではなく、妹が怒って(山上容疑者が)落ち込んだこともあった」という。
5カ月超にわたる鑑定留置は今月10日に終了予定。奈良地検は刑事責任能力があると判断しており、13日までに殺人罪などで起訴される見通しだ。伯父は「裁判では事件の背景も考え、正当な量刑になればいいと考えている。適切に裁いてほしい」と語った。

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