インスタに自分の裸の合成画像が…「フォロワーに送るぞ」20代男性を突如襲った“セクストーション”の恐怖

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SNSなどで性的な画像を送らせて脅迫する、卑劣な手口『セクストーション』。相談の多くは10代と20代の若者で、男性も被害に遭うケースが増えている。その実態を取材した。
『セクスストーション』とは、「SEX(性的な)」と「extortion(脅迫)」を意味する英語を組み合わせた造語で、SNSなどで相手に送信させた“性的な”画像を、“脅し”の材料に使う手口のことだ。

名古屋市昭和区にある性暴力救援センター・日赤なごや「なごみ」では、毎日24時間、電話で性被害の相談を受け付けている。日赤なごや「なごみ」 加藤紀子医師:「一番多いのが、SNSで知り合った人とやりとりしている中で、会話の距離が近くなっていろいろ画像のやりとりをすることで、“自分の体の一部を撮ってほしい”という希望があったのを、愛情と間違えて画像を送ってしまう。“彼にだけだから”ということで画像を送ってしまって」
実際に寄せられたセクストーションの被害相談の記録には、こんなことが書かれていた。<実際の相談記録>「顔と性器の写真、インスタグラムのアカウントと携帯番号をのせたものを送ってしまった。フォロワーに送ると脅されている。もう、送っていると思う」巧みな言葉で、いつのまにか「危険な行動」に誘導されてしまうのも特徴だ。
愛知県警のサイバー犯罪対策課によると、2025年6月末までに警察に届いたセクストーションと考えられる相談は、そのほぼすべてが10代と20代。子供や、大人になったばかりの若い世代が、被害に遭っている。さらにおよそ6割は、自ら画像や動画を送ったわけではなく、ビデオ通話で見せ合うことを要求された“みだらな姿”を録画され、「SNSのフォロワーなどに拡散する」と脅される手口だったという。
一度陥れば、何度も苦しめられる恐れがあるのがセクストーションだ。
セクストーションの被害に、性別は関係ないようだ。8月上旬に「セクストーション」を受けたという男性・ハルトさん(20代・仮名)に、話を聞くことができた。Q男性も被害に遭うことは想像できた?ハルトさん:「全く想像できなくて。男性も女性もターゲットにされてしまうのかなと」
友人との写真や旅行の思い出を投稿していたインスタグラムに、外国人女性を名乗るアカウントから、突然画像とメッセージが届いた。ハルトさん:「全身裸の男性の画像に、私の顔を引き伸ばした形で貼り付けられた画像が送られてきた。『この画像をばらまかれたくなければ、次の言うことに従いなさい』と。『ペイパルという送金ツールで、アカウントを登録して15万円振り込んで』と」全く予期せぬシチュエーションから、いきなり、しかも一方的に「ターゲット」にされたハルトさん。金銭目的の詐欺を疑い、アカウントを削除することで対処したというが、その“ねつ造画像”は、今も相手の手元に残ったままかもしれない。
ハルトさん:「画像を『フォロワーに送るぞ』というのは、心理的ダメージが大きいというか…画像も画像なので。合成画像を見せられて、すごい嫌な気持ちになるなというのを初めて経験した。警察とか身近な人になかなか相談できにくい内容なので、詐欺だと気づいても相談しにくいし、相談したとしても、もしかしたら画像がばらまかれてしまうと、それはそれで心理的負担になってしまうので、人の羞恥心につけこんだ詐欺だったなと」
愛知県警によると、SNSのDMや、ハロートークなどの「言語交換アプリ」を通じ、外国人から脅されるケースが多いという、金銭セクストーション。相談を受けるNPO法人『ぱっぷす』の代表は、「男性の被害が圧倒的に多い」と指摘する。NPO法人「ぱっぷす」の金尻カズナ代表:「男性の場合は、『確証バイアス』といって、自分の裸の画像とかが性暴力被害に遭うという認知がそこまで普及していないので、ターゲットにされやすい。“女の子の問題で俺は別に関係ないし”と思っている。反対に騙される人のほうが問題なんだと思っていますよね。だから、被害を受けて初めて事の本質に気が付かれる方も多い」
実際、2025年7月中旬までに寄せられたセクストーションの相談2126件のうち、およそ7割は男性からだったそうだ。一方、ネット上で今も不特定多数の目にさらされているみだらな姿の画像は、ほぼすべてが女性の画像で、繰り返しアップされるものもあるという。NPO法人「ぱっぷす」は、相談者の画像を見つければ、サイトの管理者に削除要請を出しているAIによる検索システムを導入し、相談者の顔と一致する画像がないか、短時間で探すことができるようになったというが、一度アップされた経験は、心に「不安」を植え付ける。NPO法人「ぱっぷす」の金尻カズナ代表:「不安と恐怖が襲ってくるわけですよね。被写体になった側は、一度は同意したかもしれないけど、撮影した側や持っている側はいつでも自由に見られるわけですね。“もしかしたらネットにアップされるかもしれない”とか不安にさいなまれて、日々自分の画像がネットにあがっていないか、疲労困憊するまでネットで探し続けている人もいる」
被害者を救う最新のシステムもうまれているが、最も大事なことは、“被害者になりうる行動”をとらないことだ。名古屋の性暴力救済センター「なごみ」。相談者の中には、被害に思い悩み、自殺を図った10代の男性もいた。日赤なごや「なごみ」 加藤紀子医師:「基本は“送らない”という事。相手がいくらSNSで優しい言葉をかけてきても、自分が送った時に、その動画をどのように扱うかというのは、自分ではコントロールできないので。自分の情報を自分の手から離すようなことをするときには、十分によく考えて一呼吸おいて相談してほしい」

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