「おうしゅうたろう」ゆるさ人気、頭に奥州の「O」手には南部鉄器…ファンは「たろ活」

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岩手県奥州市の公式マスコットキャラクター「おうしゅうたろう」が県内外で人気を集めている。
市内に国立天文台水沢VLBI観測所があることに由来し、コンセプトは「奥州市に住み着いた宇宙人」。市民とともに育てるというアイデアもヒットし、キャラを活用した取り組みが全国で表彰されるなど、躍進が止まらない。(松本茉莉)
先月14日、同市内で開かれた「第60回奥州市水沢産業まつり」で、おうしゅうたろうのイベントが開催され、多くの家族連れが集まった。会場では誕生の背景や活動について紹介されたほか、同市のウクレレシンガー・ツジヤマガクさんが作詞作曲した「おうしゅうたろうのうた」を披露した。
会場を訪れた女児(5)は「幼稚園にも飾ってあって、みんな大好き。不思議なところがいい」と話し、母親(42)は「去年からグッズを買って親子でどっぷりはまっています」と笑顔だった。

おうしゅうたろうは、市役所の堅いイメージを払拭(ふっしょく)しようと、若手職員が市PRのキャラクター構想に向けたプロジェクトチームを結成。奥州大使を務める漫画家の吉田戦車さんがデザインし、昨年5月に誕生した。頭には奥州を連想させる「O」のマークを掲げ、手には特産品の南部鉄器を持つという脱力感漂う見た目や、独特のゆるさが際立つ。
自ら投稿しているような内容で、市の公式インスタグラムに祭りや観光地など市の魅力を発信し始めると、徐々に注目度が上昇。10月末時点のフォロワー数は約6200人と当初の3倍超に増えた。
ファンによる「たろ活」という言葉も生まれ、SNSを中心に写真が数多く投稿されているほか、市役所では各課に配置されたぬいぐるみに職員が衣装を着せて、市民を出迎えている。
市は全国の民間事業者にイラストを無償提供し、商品化を承認。シールやキーホルダーなど多彩なグッズが展開され、使用実績は官民で計250件を超える。
同市の南部鉄器工房「及富」が手掛けるおうしゅうたろうの文鎮は6月に販売されると、これまでに約200個が完売。県外の観光客の土産として好評という。
ドリップバッグを販売している同市の「HATOMUNE COFFEE」の渡辺輔代表(47)は「たろうのイラストを入れたところ、一気に売れ行きが伸びた」と話し、今後も様々なイラストを活用し、販売を続けるつもりだ。
おうしゅうたろうを市民や事業者と一緒に育て、活用する取り組みが高く評価され、市は自治体による情報発信の優れた取り組みを表彰する今年の「シティプロモーションアワード」で、東北初の金賞・育成賞を受賞した。
自治体の優れた広報紙などを表彰する「全国広報コンクール」の広報企画部門でも取り組みが評価され、同市の高橋海人主事は「おうしゅうたろうを活用した広報が、早速このような形で評価されてうれしい。たろ活をどんどん広げていきたい」と意気込んでいる。

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