死者12人に…クマ被害急増の背景に「ドングリ大凶作」 人里に慣れた“子グマ”が成長か “クマ災害”に政府も緊急対策【サンデーモーニング】

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クマの被害が連日報じられる中、秋田県が自衛隊派遣を要請。政府も緊急対策本部を立ち上げるなど、クマ被害は災害レベルの異常事態となりました。
【写真を見る】扉に突進し、ガラスを割ってしまうクマ
盛岡市で5年前に撮られた映像では、親子グマが道路脇の草を食べ続けています。車が行き交っても逃げないクマの出現を捉えた貴重な映像のひとつだと、専門家は言います。
人を恐れない「アーバンベア」が近年増え続け、さらに大胆な行動に出るようになったクマによる被害が今、連日報じられる事態となっています。
山形県南陽市の小学校のカメラが捉えた映像には、1頭のクマが突然、通用口に突進し、扉のガラスを割ってしまう様子が映っていました。
人間の生活エリアに平然と侵入してくるクマ。なぜ、こうしたクマが増えているのでしょうか。
クマ被害の急増。襲われた場所は山の中ではなく人里です。
27日、岩手県一関市の民家の敷地で67歳の男性が。また、秋田市の田んぼのそばで81歳の女性がクマに襲われ、死亡しました。
25年度の死者は既に12人、過去最多です。なぜ、クマ被害が急増しているのでしょうか。専門家は、2年前のドングリの大凶作で、人里に現れた多くのクマの“子ども”が成長したためだと指摘します。
岩手大学 山内貴義 准教授「人がいるのをわかっていながら、家の中に入ってきたりとか、“大胆な個体が非常に増えた”というのが今年の大きな特徴。人の近くに行けば何か(エサが)あると学習してしまった親子グマがいて、その個体が徐々に大きくなってくれば、行動が大胆になってくる」
25年度、56人の死傷者が出た秋田県。クマの駆除数は既に1000頭を超え、異例といえる自衛隊派遣の要請に踏み切りました。
秋田県 鈴木健太知事(28日)「『有害駆除』がいま手一杯。猟友会をはじめ、マンパワーが相当割かれています」
「有害駆除」とは、人や農作物を守るため、危険なクマを捕獲・処分することで、主に猟友会の人々が担っています。
小泉進次郎防衛大臣(28日)「(猟友会は)駆除したクマの輸送・解体でもかなり疲弊している。『駆除を自衛隊にやって欲しい』という思いではなくて、『止むにやまれず自衛隊に』という思いだと聞いています」
小泉防衛大臣は、自衛隊を派遣する方針を表明。秋田駐屯地では、箱ワナの運搬などの訓練を始めました。
さらに政府は、環境省のクマ対策会議を「関係閣僚会議」に格上げ。30日、初会合を開きました。
木原稔 官房長官(30日)「国民の命と暮らしを守るため、追加的・緊急的なクマ対策を強化します」
木原官房長官は、自治体が判断して発砲できる「緊急銃猟」について、警察官や狩猟免許を持つ公務員も協力できる体制を整えるよう指示。
警察による駆除や、自衛隊の支援。これまで経験したことのない“クマ災害”へ政府をあげた手探りの対策が始まりました。

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