信号ない横断歩道、停止率「過去最高56.7%」も依然4割超が通過 JAF調査で判明

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JAF(日本自動車連盟)が、2025年の「信号機のない横断歩道での一時停止状況全国調査」の結果を公表しました。
調査によると、歩行者が横断しようとしている場面で一時停止した車両の割合は56.7%となり、過去最高を記録。
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しかし、依然として4割以上の車両が停止しておらず、歩行者優先の原則が徹底されていない実態も浮き彫りになっています。
ドライバーが守るべき交通ルールと、安全な横断のためにできることとは何でしょうか。
JAFは2025年10月30日、同年8月7日から8月28日にかけて実施した「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における一時停止状況全国調査」の結果を発表しました。
この調査は、全国の信号機が設置されていない横断歩道を対象に、歩行者が渡ろうとしている際に通過する車両が一時停止するかどうかを調べたものです。
今回の調査では、全国で6,226台の車両を対象とし、そのうち歩行者のために一時停止した車両は3528台。この結果、一時停止率は56.7%となり、調査開始以来、過去最高の数値を記録しました。
この数値は、前年2024年の調査結果と比較して3.7ポイント増加しており、全国47都道府県のうち35の都道府県で停止率が上昇するなど、ドライバーの意識に改善の傾向が見られる結果となりました。
停止率が過去最高を記録し、年々増加傾向にあることは喜ばしいニュースです。しかし、この結果を楽観視することはできません。
なぜなら、調査結果を裏返せば、依然として4割以上(43.3%)の車両が、横断しようとする歩行者がいるにもかかわらず停止していないという重い現実を示しているからです。
全国で調査された車両6226台のうち、半数近くが歩行者優先という交通ルールを守っていないことになります。
JAFも指摘している通り、今回の調査は各都道府県2カ所ずつ(全国合計94カ所)で行われたものであり、すべての市町村の道路で全く同じ傾向が見られるとは限りません。
とはいえ、信号機のない横断歩道での一時停止が、いまだドライバーにとって「当たり前の行動」として定着するには至っていない実態が、改めて浮き彫りになったと言えます。
ドライバーの義務「歩行者優先」ルールの再確認そもそも、信号機のない横断歩道において歩行者の通行を優先することは、道路交通法によって定められたドライバーの明確な義務です。
道路交通法第38条では、車両が横断歩道に接近する際、横断しようとする歩行者がいる場合には、横断歩道の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げてはならないと定められています。
また、横断しようとする歩行者がいるかどうか明らかでない場合、つまり「いるかもしれない」状況では、横断歩道の手前で停止できるような速度であらかじめ減速することもドライバーの責務とされています。
「歩行者がいないことが明らかな場合」を除き、横断歩道の手前では速度を落とす必要があるのです。
さらに、横断歩道やその手前で停止している車両がある場合、その側方を通過して前方に出る際には、その車両の陰から歩行者が出てくる可能性があるため、一時停止しなければなりません。
あわせて、横断歩道とその手前30メートル以内では、追い越しや追い抜きが禁止されています。
横断歩道の手前には、道路標識や、路面に描かれた「ひし形」の道路標示(横断歩道ありの予告)が設置されています。これらのマークを見落とさず、常に歩行者の存在に注意を払う運転が求められます。
今回のJAFの調査結果は、停止率が向上しているというポジティブな側面と、いまだ4割以上の車が停止しないというネガティブな側面の両方を示しています。
ドライバーは「横断歩道は歩行者優先」という交通安全の大原則を改めて徹底する必要があり、ひし形のマークを見たらアクセルから足を離し、横断歩道に歩行者がいないかしっかりと確認し、もし歩行者がいれば安全に一時停止。この一連の動作を習慣化することが重要です。
一方で、JAFは歩行者に対しても、交通安全への意識を呼びかけています。
横断歩道を渡る際は、ただ待つだけでなく、手を挙げるなどして「渡りたい」という意思をドライバーに明確に伝えることも有効です。
また、クルマが確実に停止したのを確認してから渡り始めるなど、無理な横断をせず、お互いの安全を確認し合うことが、悲しい事故を防ぐために不可欠です。

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