【ミニストップ消費期限偽装】オーナーが実名告白「店は任せきりになっていた」 別店舗の元従業員は『不正を内部通報』本部の対応は… 再発防げるか

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全国に約1800店舗を展開するコンビニチェーン「ミニストップ」で今年8月に発覚した、おにぎりや弁当など店内調理品の消費期限の偽装。25の店舗で、商品の消費期限を本来より長く表示していたことがわかっています。食の安全を揺るがす問題はなぜ起こってしまったのか。問題が発覚したフランチャイズ店のオーナーが偽装の手法や背景を実名で告白しました。 また、偽装に関わってしまったという元従業員からは、ミニストップの本部に対し「偽装について内部通報していた」という証言も……組織として問題はなかったのか、取材しました。

(ミニストップ6店舗のオーナー 中村尊人さん)「(消費期限の)シールをずらして貼ることを起こしてしまった。全ての責任は私にあります。その点について本当に心からおわびしたいと思います」
懺悔の言葉を口にする男性。コンビニチェーン「ミニストップ」で6店舗のオーナーを務める中村尊人さん(54)です。「消費期限偽装」について、店に来てくれた客に謝罪したいと、実名で取材に応じました。
(ミニストップ 堀田昌嗣社長※9月1日)「改めて、深くおわび申し上げます。大変申し訳ございませんでした」

ミニストップは9月までに東京・大阪・福岡など全国25店舗で店内で作るおにぎりや弁当、惣菜で消費期限の偽装が行われていたことが分かったと公表しました。期限のラベルを貼り替えたり二重に貼ったりするなどの方法で、最大で14時間延長されていたケースもあったといいます。
ミニストップの魅力でもある「店内調理品」で発覚した不正。問題を受け、全国のミニストップ約1800店舗で今も販売が中止されています。

中村さんは、偽装が確認された東大阪市内の2店舗を経営していました。店舗で実際に行われていた、消費期限偽装の手口とは…
(店舗オーナー 中村尊人さん)「2~3時間かけて(おにぎりや惣菜を)作る。全て作り終わってから消費期限のシールを発行して貼っていた」
中村さんの店では、夜勤の従業員は翌朝用のおにぎり60~70個を毎晩ひとりで作ることになっていました。 全て作り終えるのに3時間ほどかかりますが、最後に同じ消費期限ラベルを“まとめ貼り”していたのです。つまり、最初の方に出来上がったおにぎりには、本当の消費期限より最大で3時間遅らせたラベルが貼られていました。
不正なラベルの貼り付けは「従業員たちが自らの判断で始めたこと」だといいますが、なぜ、こうした手法が取られてしまったのでしょうか。
(中村尊人さん)「(手づくりおにぎりは)作業にすごく時間がかかる。現場の私たちにとっては負担になるような商品」
一方で、オーナーの中村さんは店で不正が行われていることに気づかなかったといいます。
(中村尊人さん)「3年近く前から、今回問題が起こらなかった4店舗を主に見ていました。問題が起こった2店舗は、ほぼ”任せきり”になっていた。シールを数時間ずらすことがお客様の食の安全に関わる問題だ、という意識がみんなに少なかった。あまり考えていなかったということはあると思います」

今回、フランチャイズ25店舗で問題が起きた背景について、9月、ミニストップ本部の会見でも社長はこう言及しています。
(ミニストップ 堀田昌嗣社長)「複数の店を持っているオーナーが多く、ある意味、そこで目が行き届かなかった」
1人のオーナーが複数の店舗を経営し、監視の目が行き届かなかった可能性があると話しました。その上で本部からの偽装の指示や圧力については明確に否定しましたが、本部が不正を知る機会は無かったのでしょうか。
―――内部通報制度で、通報が見過ごされたことは? (ミニストップ 堀田昌嗣社長)「見過ごされたことはないです」

一方で、偽装が発覚した店の元従業員から「過去に本部に不正を内部通報していた」という証言がMBSに寄せられました。
偽装が発覚した大阪市鶴見区の店で、去年までアルバイトとして働いていた坂本さん(仮名)。
(偽装があった店の元従業員 坂本さん※仮名)「本部の方と連絡を取ったとき、『そういったこと(偽装)もやっているお店ですよ』ということはお伝えしました」
おにぎりやポテトの消費期限を遅らせるよう店長らから度々指示を受けていたといいます。
(坂本さん※仮名)「『朝8時をまわってから(消費期限が記された)レシートを出してください』と」
3年前、当時の店長からアルバイトらに向けて送られたというメッセージに書かれていたのは…
(店長からの指示)「作り置きは今まで通り、期限レシートは出さなくて大丈夫です」

夜勤の間に商品の作り置きを指示する一方、消費期限が印字される「レシート」の発行はしなくていいと書かれています。そして、朝8時にまとめて発行するよう記されていました。

長年続いた偽装に疑問を感じた坂本さんは、去年2月、ミニストップの親会社であるイオングループの内部通報窓口に通報したといいます。しかし……
(坂本さん※仮名)「『ミニストップの担当者から折り返してよろしいですか』とやり取りが始まった。(ミニストップの担当者は)めちゃくちゃ驚いたような反応ではなかった。『そうなんですか、そんなこともあるんですか』みたいな。『(店の)オーナーさんと連絡をしてみますね』と」
それから1か月後に店を辞めた坂本さん。その後、ミニストップから通報について連絡はなかったと話します。
内部通報は適切に扱われたのか。MBSがミニストップにインタビュー取材を申し込んだところ、文書で回答がありました。
(ミニストップの回答)「通報はあったが、店舗に直接行って調査をしたところ、その時点では不正は確認できなかった」

通報はあったと認めましたが、偽装は確認できなかったといいます。しかし、結果的には通報がなされたのと同じ時期に、この店で消費期限の偽装があったと判明しました。当時の調査は十分だったのかを問うと……
(ミニストップの回答)「不正防止策に取り組んでまいりましたが、十分とは言えなかったことは事実であり、深く反省しております」

期限偽装の問題を受けて、ミニストップは以下のような再発防止策を発表しています。
・すべてのミニストップ従業員が相談できる「厨房衛生相談窓口」の開設・見守りカメラの設置・商品の「製造数」と「販売数+廃棄数」のデータの定期照合の仕組化 など
客の信頼を裏切った消費期限の偽装。同じことを二度と起こさないよう、ミニストップ全体での意識の変革が求められています。

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