万博開催に沸く大阪は、繁華街のミナミを中心に連日観光客で溢れかえる。そのミナミの中でも「オタロード」と呼ばれる一風変わった歓楽街で、鬼畜すぎるリンチ事件が起きた。
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大阪府警は9月12日、元同僚の男性に危害を加えたとして3人の男を暴行や強要の罪で逮捕・起訴したと発表した。社会部記者が解説する。
「逮捕されたのは大阪市のトレーディングカード店オーナーの山下諒(37)をはじめ、この店で働いていた竹内孔志(29)、橋本充輝(24)の3容疑者です。被害者の男性は山下の経営するカード店の仕事を手伝っており、3人は『仕事でミスをした罰』などと言って男性への様々な凶行に及びました」
犯行内容があまりに非道だった。
「3人は2月、被害者の男性に対して『目突くで。早うせい時間がない』と脅しながら、排泄物の入ったインスタント食品を無理やり食べさせた疑いがある。これは一度ではなく、山下は別の機会にも、路上で排泄物を被害者に食べさせようとしたとされています。また別の日には、被害者の頭髪をバリカンで刈り上げ、陰部にアルミホイルを巻いた上でコンセントに差し込ませて感電させる暴行を加えたなどの疑いもある。さらに脚にアルコールスプレーを吹きかけ火をつけたともされます。別の事件で押収されたスマートフォンからこうした動画が見つかって発覚し、被害者には当然ながら処罰感情があるとのことです」(同前)
警察の調べに対し竹内と橋本は「山下の発案でやった」と供述しているという。主犯と目される山下はどのような人物なのか。幼少期の山下を知る人物が語る。
「山下は10代の頃からカードが大好きで、大阪市内の繁華街のカードゲーム店にしょっちゅう来て『遊戯王』のカードバトルをしていました。年上相手にもゲームに興じ、当時は『生意気な子供』という印象でしたが、単純に明るくて楽しい奴でした」
しかし青年になると変化したという。
「馴染みのカードゲームの店が閉店して、そのあたりから『イキリ』始めましたね。つるむ友達やSNSの投稿などだんだん変わっていきました。不動産の仕事や投資でお金を稼いでいる様子もありました」(同前)
やがて、自身でカードショップ経営を始めた。山下の店舗「T」は、大阪日本橋のアニメやオタク文化が栄える通称「オタロード」に立地し、「ポケモンカード」の買い取り・販売などを行っていた。それ以外にもビジネスは手広かったようだ。近隣店舗の店員が言う。
ポケモンカードなどを売り買いしていた(山下容疑者のカード店SNSの投稿より)
「山下さんは顔が広く、“アニキ”的なキャラですよ。他にもコンカフェ(コンセプトカフェ)やシーシャバーなど、近辺で複数店舗の“オーナー”をやっていた。面倒見が良く、自分にも挨拶や声かけをしてくれるので、事件はニュースで知りました。ただ、そういえば以前、ご飯を一緒に食べた時に、うどんの中に大量の醤油や塩を入れて周りに渡したことがあった。そういう学生のいたずらのような悪ノリをすることはありましたね」
電気街から発展したオタロードには今、夜ともなれば、道ゆく人に声をかけるコンカフェ嬢たちが道路脇にずらっと整列する。あるコンカフェ嬢は言う。
「きちんとねぎらいの言葉をかけてくれるオーナーさんですよ。見た目はいかついんだけど、その割に優しいんだなと思いましたね。羽振りも良くて、キャストが卒業する日には高級ブランド品を買ってきてプレゼントしていました」
他方で金銭トラブルを予感させたことも。
「そういえば、山下さんの経営するコンカフェで働いていた女の子たちが『給料が支払われていない』と不満を口にするのを聞いたことがあります」(別のコンカフェ関係者)
山下はふとこんな考えを呟くこともあったという。
「頭がぶっ飛んでる人が多いから人生って楽しいんやろうなあ」
山下にはYouTuberとしての顔もあった。
「山下さんはYouTubeコンサル会社の代表という肩書も持っている。超有名YouTuberたちと交友関係があると話し、そういう有名人とのツーショット写真を見せてくれたこともあります」(別の知人)
本人が出演するYouTubeチャンネルもある。投稿動画は、例えば大阪・西成で「覚醒剤の売人」に遭遇した、といったものだ。動画内の山下はナイキのTシャツ姿で、モザイク姿の「売人」と談笑し、「びっくりした、呂律回ってへんし」「ヤバかったやろ」などと囃し立てている。
山下は今回の逮捕・起訴発表よりもしばらく前から捜査を受けていたとみられ、最近は姿が見えなかったという。山下と仕事で関わってきた飲食店関係者はこう呟いた。
「なぜだか『入院したらしい』と人づてに聞いていました。それにしても長い入院だと思ったら、逮捕だったので、僕らも驚いています」
オタク文化の聖地としてインバウンド客や子供たちも訪れる街が、鬼畜によって汚れてしまった。
(「週刊文春」編集部/週刊文春)